2025年の Chromebook と ChromeOS を振り返り。来年は Aluminium OS や多数の新モデルに期待

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Chromebook Plus の MediaTek Kompanio Ultra のロゴステッカー

2025 年に発表された Chromebook はマイナーアップグレードモデルが目立ちましたが、MediaTek のハイエンド向けプロセッサを搭載した新しい Chromebook Plus の登場や、エントリーモデルのスペック底上げ、新しい Chromebox OPS の導入など、ハードウェアに選択肢の広がりと実用面でのアップデートが提供されました。

この記事では 2026 年に向けて、2025 年に発表・発売された Chromebook および ChromeOS デバイスについて振り返ります。

目次

2025 年の ChromeOS デバイス動向

2025 年は、年初から教育向けの新しい Chromebook だけでなく、電子黒板やサイネージなどインタラクティブディスプレイ向けの Chromebox OPS が登場しました。

その後、新しい Chromebook Plus の投入や Intel N シリーズプロセッサを搭載したスタンダードな Chromebook など様々なモデルが発表されました。また、国内メーカーからも新モデルの投入がありました。

教育現場向けデバイスの拡充

日本では GIGA スクール構想の影響によって、教育現場における ChromeOS のシェアは 6 割に到達しており、教育向けの Chromebook が多数登場しています。

海外でも同様に教育市場向けには継続した動きがあり、例えば、ASUS からは Intel N150 / N250 を搭載した Chromebook CR11 / CR11 Flip シリーズや CR12 / CR12 Flip シリーズCZ11 Flip、Acer からもタブレットタイプを含む新しい 4 つの Chromebook、デル・テクノロジーズから Chromebook 11 2-in-1 などが発表されています。

新規格「Chromebox OPS」デバイス

また、今年の BETT では法人・文教市場向けに、「Chromebox OPS」規格に対応したデバイスが発表されました。これは電子黒板や業務モニターの背面スロットに直接差し込んで使用するモジュール型の Chromebox です。

配線不要でモニターと一体化し、故障時や更改時にはモジュールを交換するだけで済むため、ハードウェアの管理・運用コストを削減できる製品としてラインナップに加わりました。

なお、国内ではインクルーシブ電子黒板「ミライタッチ」のさつきからも Chromebox OPS がリリースされています。

また、Acer からは Chromebox が発表され、高性能な「Chromebox CXI6」とファンレスの「Mini CXM2」が登場しました。この他、Google Meet ハードウェアに関するアップデートもありました。

MediaTek Kompanio Ultra 搭載の Chromebook Plus が登場

MediaTek がフラッグシップ・プレミアムモデル向けとして「Kompanio Ultra 910」と呼ばれる新しいチップをリリースし、Lenovo と Acer から搭載するモデルが発売されました。

これまで Arm プロセッサ搭載モデルは、省電力性には優れるもののパフォーマンスはエントリーまたはミドルレンジという位置づけでした。

しかし、新しい Kompanio Ultra は Intel Core Ultra 5 115U などと同等以上の性能を備え、かつバッテリー駆動時間は最長 17 時間という強力なプロセッサになりました。

また、50 TOPS の AI 処理能力を備えた NPU を搭載しており、ChromeOS においても AI を活用した機能への対応と拡大が期待されるものとなっています。

国内メーカーの動き

2025 年は国内メーカーにも動きがあり、次のような新モデルが投入されました。

  • FMV Chromebook 11K : 2024 年発表ですが、2025 年 1 月から正式に販売を開始し、公式サイトで購入できるようになりました。レビューはこちら

そのほかの新しい Chromebook / Chromebox の登場

2025 年の Chromebook 全体として、Celeron 採用モデルが Intel N シリーズにアップグレードされたり、Intel N でも N100 が N150 に更新されるなどマイナーアップグレードも多い傾向にありました。

しかし、Chromebook における Intel N シリーズ搭載デバイスは、性能とバッテリー駆動時間、価格面でバランスが取れているため、劇的な変化はなくても順当なアップグレードと言えます。

とくに Intel N150 や N250、Core 3 N350 / N355 といった Intel Twin Lake プロセッサを搭載するモデルは、2026 年のスタンダードモデルという立ち位置になるかもしれません。

なお、日本では次のような Intel N シリーズモデルが発売されました。

ChromeOS と Android の統合に向けた準備

2025 年のデバイス動向を語るうえで欠かせないのが、背後で進められている ChromeOS と Android の技術的な統合です。

Google は ChromeOS の基盤となる技術スタック(Linux カーネルやフレームワークなど)を、Android ベースのものへと統合する計画を進めています。

2025 年に目立った動きはありませんでしたが、統合する計画であることが公式に認められ、このプロジェクトが「Aluminium OS」と呼ばれていることも明らかになりました。

「Aluminium OS」の詳細や具体的なタイムラインは不明ですが、これまでの開発情報から 2026 年のリリースに向けて進められていると言われています。

技術的には ChromeOS から置き換えられますが、Google はユーザーや管理者の混乱を避けるための方法を用意していると考えられます。

この点のヒントとして、Google は「Android 上での ChromeOS エクスペリエンス」という表現をしており、基本的な操作性 (UI) や管理性、セキュリティ機能などは維持する方針であることを示唆していました。

AI 機能の拡充、Chrome に Gemini が統合

ChromeOS にも AI 機能が統合されはじめており、Android スマートフォンで先に利用できるようになった「かこって検索」の導入やクイックインサートによる画像生成機能、AI 壁紙生成機能、文書読解サポートの「簡略化」機能、ギャラリーアプリの AI 画像編集機能、スマートグルーピングなどが展開されました。

また、Chrome ブラウザにも Gemini が統合され、海外では Windows / macOS のデスクトップ版 Chrome で利用可能になり、Chromebook でも ChromeOS 144 以降で導入予定となっています。

これにより、複数のタブにまたがる情報を要約・整理したり、質問することが可能になるほか、Google アプリとのシームレスな連携、保護機能が利用できるようになります。将来的にはユーザーに代わってウェブページを操作するエージェント機能も予定されています。

レガシーアプリへの対抗策 : Cameyo by Google

Google が企業のレガシーアプリ問題を解消するために、Virtual App Delivery (VAD) 技術を採用した新しい仮想アプリ配信プラットフォーム「Cameyo by Google」の一般提供を開始しました。

これにより、企業が ChromeOS や Google Workspace 採用の最大の障壁だった Windows または Linux のレガシーアプリを、ブラウザ上のプログレッシブウェブアプリ(PWA) として直接 Chromebook で使うことができるようになります。ただし、一般ユーザー向けではないため、影響を受けるユーザーは限定的です。

2026 年に登場予定の新機種

2025 年に引き続き、2026 年の Chromebook も魅力的な新機種が登場する予定です。

例えば、10 月には MediaTek から発表された新チップ Kompanio 540 (MT8189) を搭載する Chromebook は 14 機種以上登場する見込みで、いまの Intel 優勢の Chromebook 市場を塗り替える可能性があります。

また、現在水面下で開発が進められているモデルには、Qualcomm の Snapdragon X シリーズチップを搭載したもの、Intel の Panther Lake 世代を搭載したもの、さらに Kompanio Ultra を搭載したタブレットタイプの新モデルなどが確認されています。

すでに 2026 年初頭と予告されている Kompanio 540 を除き、いつ正式にリリースされるかは分かりませんが、法人や一般ユーザー向けにも大きな動きがあると予想されます。

まとめ

2025 年は、MediaTek の Kompanio Ultra 910 の登場により、Arm プロセッサ搭載機がハイエンドとしての実力を証明した記念すべき年となりました。また、Chromebox OPS や Intel Twin Lake 搭載機など、派手さはなくとも実用性を高める選択肢が着実に増えています。

ChromeOS については、「Aluminium OS」という統合計画が明らかになり、2026 年に向けた大きな変化が示唆されました。また、Cameyo によるレガシーアプリ対応や、Gemini をはじめとする AI 機能の統合が進み、Chromebook はより多機能で便利なデバイスへと進化しています。

HelenTech では、2026 年も引き続き Chromebook と ChromeOS に関する最新情報レビュー設定・活用などをお伝えしていきます。

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著者情報

尾村 真英のアバター 尾村 真英 Technical Writer

HelenTech を運営している 尾村 真英 です。これまでに 50 台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動し、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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