2024 年から Intel の次世代モバイル向けプロセッサ「Panther Lake (PTL)」を採用する Chromebook Plus の開発が進められてきましたが、2026 年 5 月に Google が新しい「Googlebook」カテゴリを発表したことで、Panther Lake を搭載する Chromebook は「Googlebook」としてリリースされることになります。
すでに Chromium Gerrit の公開コードからは、Panther Lake 搭載 Googlebook の設計基盤となる「Fatcat」を中心に、Felino、Francka、Kinmen、Lapis、Ruby、Moonstone の 6 つのモデルの開発が進められていることが確認されています。
本記事では、記事執筆時点で確認できている Panther Lake を搭載する Googlebook (Chromebook Plus) の開発状況をまとめます。
2026 年 5 月 18 日: Googlebook の正式発表に合わせて、新情報を含めて記事の内容を大幅に修正しました。
過去の更新内容
- 2026 年 5 月 13 日: Google が Aluminium OS を採用する新しいカテゴリ「Googlebook」を正式に発表しました。
- 2026 年 4 月 16 日: 新たに「Atria」と呼ばれるメインボードの開発が始まったことを追記しました。
- 2026 年 2 月 13 日: Ruby に関する情報を追記しました。
Fatcat ファミリーの登場と派生モデル
「Fatcat」は Intel の Panther Lake プロセッサを搭載する Chromebook 向けのリファレンスボード(量産機の開発前段階で使う)として、2024 年末ごろに初めて発見されました。
この「Fatcat」は、Google が進める ChromeOS と Android の統合プロジェクト「Aluminium (Aluminium OS)」と紐づけて開発が進められており、同 OS を採用する「Googlebook」カテゴリの最初の一つになることが示されています。
このボードをベースとして、現在は 6 つのモデルが確認されています。
| ボート名 | メーカー | フォームファクタ |
|---|---|---|
| Felino | 不明 | クラムシェル |
| Francka | 不明 | コンバーチブル |
| Kinmen | 不明 | クラムシェル |
| Lapis | ASUS | クラムシェル |
| Ruby | Lenovo | クラムシェル |
| Moonstone | Acer | クラムシェル |
なお、Google は「Googlebook」の初期リリースパートナーとして、Acer、ASUS、Dell、HP、Lenovo の 5 社を挙げています。そのため、すでにメーカーが確定している 3 つのモデルを除くと、HP または Dell からリリースされる可能性が高いです。


Chromium Gerrit や AOSP (Android Open Source Project) の開発情報などから、Fatcat 全体で次のような構成が用意される可能性が示されています。
Fatcat 全体の仕様
- 14 インチ、15.6 インチ、16 インチ
- Intel Core Ultra 5 335 (8 コア)
- 16GB、32GB RAM
- UFS、NVMe SSD ストレージ
- USB-C 最大 3 ポート (TB4 / USB4 対応あり)
- USB-A、HDMI
- 5G 対応あり (Fibocom FM350GL 5G Modem)
- LED ライトバー搭載
- 最大 100W 充電
Felino
「Felino(フェリーノ)」は、2024 年末の開発初期から動いているモデルです。


Felino の設定では、タブレットモードや回転ヒンジなどに関する記述がないことから、標準的なクラムシェルタイプのデザインを想定していることが分かります。
Chromium Gerrit のバッテリーに関するコミットから、SMP の「AP23B7Q」や LGES の「AP22A8N」と「AP23A8L」といった記述が確認されており、これらは Acer 製 Chromebook で広く採用されている型番であることから、バッテリー情報だけを見れば Acer 製の可能性が示唆されます。


ただし、同じく Acer 製であることが確認されている Moonstone がすでに存在するため、Acer が同世代で 2 モデルを展開する理由は薄く、開発元メーカーは現時点では不明です。
なお、流出した出荷マニフェストには「Felino」の名称とともに、16 インチ、Panther Lake 12Xe3、32GB RAM、1TB ストレージという構成が記録されていました。
Francka
「Francka(フランカ)」は、コンバーチブルタイプ(画面を反転してタブレットのように使える 2-in-1)を想定した派生モデルです。


キーボード関連の設定やタブレットモード切り替えに関する記述がそろっており、折りたたみヒンジを備えた 360 度回転タイプの設計を見据えています。


現時点で確認できる情報から、バックライト付きキーボードとファンを搭載しており、2 つの USB-C ポートと少なくとも 1 つの USB-A ポートを備える構成であることが示されています。
バッテリーには CosMX、LG Energy Solution、Panasonic の 3 社製が登録されています。当初は Acer の可能性も考えられていましたが、同世代で Acer 製であることが確認されている Moonstone がすでに存在するため、Googlebook の発売パートナーのうち残る HP または Dell、特に HP からリリースされる可能性が高まっています。
Kinmen
「Kinmen(キンメン)」は、2025 年 4 月に開発が始まった 3 つ目のボードです。
このデバイスには、3 つの USB-C ポートと 1 つの USB-A ポートが搭載され、最大 100W(20V / 5A)の充電をサポートする高出力設計となっています。


バッテリーには CosMX・ATL・LG Energy Solution の 3 社が登録されており、この構成は Lenovo の Chromebook で多く見られる組み合わせです。
ただし、同世代で Lenovo 製であることが確認されている Ruby がすでに存在するため、Lenovo が同世代で 2 モデルを展開する可能性は低く、開発元メーカーは現時点では不明です。
このほか、バックライト付きキーボードを採用し、キーの数から 14 インチモデルと予想されます。
Lapis : ASUS
「Lapis(ラピス)」は、2025 年 9 月から開発が始まったボードで、他モデルに比べ軽量・薄型化を意識した設計が確認されています。
ファンを搭載しつつも省電力構成を採用しており、内部構成からは 14 インチクラスの薄型モデルを想定していると考えられます。


バッテリーには、ASUS の Zenbook や Chromebook Flip CX シリーズなどに使われている CosMX の「C22N」が採用されており、当初から ASUS 製の可能性が示されていましたが、OS のブート画面のロゴから、Lapis が ASUS のデバイスであることが確認されました。
また、Android (Aluminium OS) に関連するコードもいくつか発見されています。
なお、「Lapis」の本体には 2 つの USB-C ポートと 1 つの USB-A ポートが搭載される予定です。


Ruby : Lenovo
「Ruby(ルビー)」は、10 月から開発が始まったボードで、 2 つの USB-C ポートと 1 つの USB-A ポートが搭載され、18 列のキーマトリクスを採用していることから、14 インチ以上のデバイスになると予想されます。
バッテリーは Francka と同じ CosMX・LG Energy Solution・Panasonic の 3 社を採用しており、その後の調査 (2026 年 1 月 28 日 追記) で Ruby が Lenovo 製であることが確認されました。
さらに Ruby が触覚タッチパッド (forcepad) をサポートする可能性が示唆されました (2026 年 2 月 13 日 追記)。
Moonstone : Acer
Moonstone(ムーンストーン)は、Fatcat ベースの派生のひとつですが、Kinmen の構成を広く流用しています。
当初、特定メーカーの筐体ではなく、Panther Lake 世代の USB4 や Thunderbolt 互換実装を確認するための検証を目的とした開発ラインと考えられていましたが、新たな情報によって Acer が開発しているデバイスであることが確認されました
さらに、「Moonstone」は Aluminium OS (ALOS) と関連付けられたテストを行っていることがコミットから明らかになりました。
このほか、Moonstone で確認されている仕様は次のとおりです。
- USB-C ×3、USB-A ×1
- Thunderbolt 4 または USB4 をサポート
- 最大 100W 充電
- 14 インチ
- バックライト付きキーボード
Wildcat Lake と Nova Lake 世代の開発
Fatcat ファミリーと並行して、Wildcat Lake と Nova Lake 世代の開発も進んでおり、どちらも Googlebook (Aluminium OS : ALOS) と紐付けられて開発されています。
Wildcat Lake (Ocelot ファミリー)
Intel Wildcat Lake(Core Series 3)を搭載する Chromebook については、リファレンスボード「Ocelot」をベースに、Ojal、Matsu、Kodkod の 3 つのリファレンスボードと、Matsu から派生した実機向けベースボード「Ocicat」の開発が確認されています。
- Intel Wildcat Lake プロセッサ搭載 Chromebook が開発中か。2つのリファレンスボードが登場
- Wildcat Lake 搭載 Chromebook、3つ目のリファレンスボード「Kodkod」と新しい「Ocicat」が発見
Nova Lake (Atria ファミリー)
「Atria」は当初、Panther Lake 向けとして確認されていましたが、その後のコード更新により Intel Nova Lake を採用することが示されています。
Atria は Fatcat の設計を継承しつつ、Nova Lake 向けにプロセッサを刷新したリファレンスボードとして位置づけられています。
まとめ
Chromium Gerrit 上で 2024 年末から追跡してきた Fatcat ファミリーは、2026 年 5 月に Google が正式発表した「Googlebook」の Intel 向け開発ラインです。
Lapis は ASUS 製、Ruby は Lenovo 製、Moonstone は Acer 製であることが確認されており、各ボードの開発元として示されてきたメーカーは、Googlebook の発売パートナーである Acer、ASUS、Lenovo とも一致しています。
Googlebook は Intel、Qualcomm、MediaTek の 3 社のチップを採用し、第一弾モデルは 2026 年秋の発売予定です。ハードウェアの詳細は発売前に公開されます。
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