「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」をレビュー。 今後の対応サービス拡張に期待

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ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip CX5501 レビュー

「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」は、10月11日にGoogleからクラウドゲーミング向けの新しいChromebookとして発表、その翌日にASUS JAPANが日本国内でも発売をアナウンスし、26日から販売を開始しています。

このモデルはコンバーチブルタイプで15.6インチディスプレイを搭載し、Chromebookとして初となる144Hzの高リフレッシュレートをサポートしていることが特長となっています。今回は「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」の実機を試す機会をいただきましたので、レビューしていきたいと思います。

目次

スペックと特長

まずは「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」のスペックと特長をおさらいします。国内ではCPUがCore i3-1154G4もしくはCore i5-1135G7のいずれかを選択でき、それ以外は共通した構成となっています。

ディスプレイ15.6インチ IPS
1920 × 1080
144Hzリフレッシュレート
タッチスクリーン
CPUCore i3-1115G4
Core i5-1135G7
RAM8GB
内部ストレージ128GB PCIe SSD
外部ストレージmicroSD
ポートUSB-C ×2
USB-A ×1
HDMI ×1
3.5mmジャック
Webカメラ92万画素
ネットワークWi-Fi 6
Bluetooth 5.1
バッテリー最大9.3時間
その他キーボードバックライト
JIS配列
USIペン対応
harman/kardonオーディオ
サイズ357.6×244.2×18.5mm
重さ1.95kg
販売価格Core i3 : 89,800円
Core i5 : 119,800円

“ゲーミングChromebook”という言い方をされていますが、WindowsなどのOSとは異なりグラフィックボードは搭載されていません。そのためローカルがメインではなくGeForce NOWやXbox Cloud Gamingなどのクラウドゲームサービスを活用することが前提となります。ここがChromeOSならではのポイントと言えます。

なお、今回テストしている実機はCore i3モデルとなっています。

デザイン

まず本体の外装ですが、天板はミネラルグレーカラーのアルミニウム合金製となっていて、全体はブラックカラーとなっています。安っぽさは感じず高級感がありはありますが、天板部分は触った後が少し目立つ印象です。

底面はファンの給排気口があり、天板を開いていくと底面が持ち上がるエルゴリフトを採用しているため、負荷の高い作業中でも熱が溜まりにくい設計となっています。

左右側面にはそれぞれUSB-Cポート(左右一つずつ)、USB-Aポート、3.5mmジャック、HDMIポートが搭載されています。筆者としてはもう一つAポートがあれば、有線接続のゲームコントローラーとUSBヘッドセットなどを共用できたので便利かなと思います。あとはせっかくなのでEthernetもあれば。

キーボード

キーボードなテンキーを搭載した日本語配列キーボードとなっていて、”WASD”のキーがオレンジ色に縁取られていることも特長です。

このキーボードにはバックライトが搭載されているだけでなく、WASDキーを含む15キーまでの同時入力に対応したアンチゴースト機能も搭載されています。これによって誤入力や複数キー同時押し操作で反応しないといったゲームプレイ中のミスも防ぐことができます。

筐体の雰囲気やキーの質感などを含めた印象としては、同じ15.6インチの「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」や「ASUS Chromebook Flip CM5(CM5500)」とかなり似ていると思います。ここに不満はありませんが、キーの配置に関しては少々難ありと言わざるを得ません。

良くも悪くもASUSのChromebookらしい日本語配列キーボードだと思いますが、左側のAltキーを半分のサイズにして”英数”を配置、スペースキー右端をカットして”かな”キーを配置、”バックスペース”と”¥”が詰まり過ぎているため、普段使いではタイプミスが頻発しました。また筆者は”Ctrl”と”Alt”を入れ替えて使っているので、ゲームプレイ中には”Alt(実際にはCtrl)”と間違えて”英数”を押してしまうといった問題も生じました。

これは一部ユーザーのみかもしれませんが、ゲーム以外の日常使いでの使いやすさも考えると、今回のキー配置は非常に勿体ないと言えます。これならテンキーを削って余裕のある日本語配列を採用した方が良かったのではないかと思っています。とは言え、テンキーがあることで全体的に左側にキーが寄ってWASD操作時に身体を無理に縮めなくても良いというメリットはあります(キーボードをナナメにする派でなければ)。

タッチパッドに関してもASUSのモデルお馴染みとなった横長タイプで、質感というか触り心地がペタっとした印象なので好みは分かれるかもしれません。ただ反応が悪いといったことはなかったので、日常使いに不満はありません。

ディスプレイ

「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」に搭載されているディスプレイは広視野角の15.6インチでフルHD(1920×1080)、タッチ操作に対応してUSIペンもサポートしています。

タッチ操作やUSIペンへの反応は良く、ディスプレイも見やすくて大きいため、日常使いでもゲームプレイ中でも不満なく使えるかと思います。そして144Hzリフレッシュレートをサポートしていること大きな特長になりますが、残念ながらこちらは現時点ではあまり活かせてはいません。

スムーズだと感じるのは、マウスカーソルやウィンドウを移動させるときの滑らかさですね。これも注意して見てみないと気づかないかもしれませんが。

ゲームプレイ

ということで、この流れで実際に「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」を使ってゲームプレイでの使用感についてまとめていきます。

まず144Hzリフレッシュレートのディスプレイですが、残念ながら記事執筆時点では例えばクラウドゲーミングサービスのGeForce NOWは、日本国内においては144Hzリフレッシュレートサポートに未対応(Chromebook/ブラウザ上でプレイ)であり、60Hzまでしかサポートしていません。

一応、海外ではGeForce NOWのRTX 3080プランでのみChromebookでも120Hzリフレッシュレートに対応したため、日本でも将来的に展開される可能性はあります。

またAndroidアプリのゲームであれば120Hz〜をサポートするものもありますが、それがChromeOS(全画面表示やレスポンシブ)をサポートしていない可能性があるという問題が残されています。ただ、これらについては「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」のせいではなく、アプリやサービス側の対応の問題ですので、ここも今後に期待したいところです。

ディスプレイ以外の点で実際のプレイでは、クラウドベースのおかげでChromebookへの負荷はそこまで大きくなく、GeForce NOWを使ってゲーム内ボイスチャットを使った状態でもCPU使用率は40〜50%程度、また筐体温度もさほど上がらず室温23度の状態で本体温度が35〜40度くらいで安定していました(ChromeOS組み込みのDiagnosticsアプリで測定)。

ゲームプレイ中はもちろんですが、基本的にファンが回りっぱなしでそれなりに音はします。筆者としては許容範囲でしたが、静かな部屋だと気になるかもしれません。しかしヘッドセットを使っていたりゲーム内音楽をChromebookやスピーカーから出していればさほど気にならないと思います。

クラウドということもあると思いますが、ローカルに比べて熱による影響を受けず動作が安定していた印象です。しっかりファンが仕事をしてくれているのが良いですね。

ちなみに本体内蔵のスピーカーにharman/kardonを採用し、FPSや音ゲーなどでなければ内蔵スピーカーだけでも十分アリだと感じました。

プレイにはネットワークが大事

クラウドゲーミングサービスという性質上、やはり大事になるのはネットワークです。この「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」はWi-Fi 6をサポートしているため高速な無線通信が可能ですが、それを活かすためのインターネット回線は用意しておく必要があります。

筆者のテスト環境はあまり良いとは言えず、マンションタイプの光回線で平均80〜100Mbps、時間帯によっては30Mbps以下というのもザラです。そのためGeForce NOWをデフォルト設定のままでプレイしていると画質が荒くなったり、ラグが発生することがあります。ソロプレイであればまだ何とか耐えられますが、マルチプレイだと気になってくると思います。

ユーザーによっては回線ではなく無線LAN側が安定しないこともあると思います。そういう場合には外付けハブなどでEthernet有線接続がおすすめです。やはり有線接続のほうが通信環境は安定しますので、どうせならChromebook側に搭載されていても良かったかなと思います。

気軽にゲームしたい人に最適

クラウドゲーミングサービスがメインとなることでそれ故の制限があり、わずかな遅れも許さないようなプレイには向きませんが、ちょっとした空き時間や場所を選ばずにプレイできるといったゲーム機に近い感覚で遊びたい人には良い選択肢になると思います。

それとChromeOSではソフトウェアによって制御されるタイプのマウスやキーボードのマクロが使えない(正確にはChromeOSで動作するアプリが提供されていない)場合がほとんどのため、そのあたりまで突き詰めたプレイをするユーザーもChromebookだと厳しいかもしれません。なので、細かいことは気にせずやりたいゲームをやりたいようにパッとやるライトゲーマー向けのデバイスです。

あとは筆者のように、ブログや仕事用とは別のGmailでGeForce NOWアカウントを取得している人など、ゲームのときだけ別のGoogleアカウントでプレイしたいといった切り分けたい人にも向いていますね。

あとは実作業の頻度次第

実際にどの程度を普段使いするかだと思います。基本的な作業はほぼクラウドベースになるわけですが、ブラウザやメール、YouTube視聴、ボイスチャット(オンライン会議も含め)といった基本的な作業は問題ありません。

「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」は、インテル第11世代のCore i3もしくはi5を採用しているため、普段使いのChromebookとしてハイスペックなモデルとなります。そのため実作業に関しては一般的な用途である限りは特に不満は出ないと思います。

ただ、バッテリー駆動時間は公称値も一般的なChromebookに比べてやや短めなとおりで、筆者の恒例作業でゲームプレイをしなくても3〜4時間程度しかバッテリーが持ちませんでした。サイズ的に持ち運びがメインの人向きではありませんが、ゲームプレイをするしないに関わらず、充電器を持って充電できる環境で使う方が良いでしょう。

もう一つ、実作業で気になるとすればキー配列の問題くらいで、慣れれば良いかもしれませんが心配な人は一度店頭などで実機を確認してみることをおすすめします。

まとめ

ということで、普段使いの延長線として色々とゲームをプレイしたりと「ASUS Chromebook Vibe CX55 Flip (CX5501)」をレビューしてきました。

ゲームに関してはGeForce NOWなどのクラウドゲーミングサービスを利用するのであれば不満や問題はありません。回線さえ安定してしまえば非常に快適にプレイすることができます。しかし、ゲームサービス側のリフレッシュレート対応問題などによってせっかくの強みが活かされていないこと、キーボードの配置が少々難ありで人によっては実作業やゲームプレイでもコレがネックになる可能性があります。

とは言え、性能面は実作業もゲームも必要十分なものですので、144Hzを活かせるような対応ゲームやサービス拡張に期待をしながら遊びたい人に良い選択肢になると思います。

最後に価格についてですが、Core i3モデルが89,800円、Core i5モデルが119,800円となっています。これはインテル第11世代搭載+アルファ(144Hzとか)のChromebookとして日本では一般的な価格設定だと思います。ゲームだけでなく日常使いでも快適にChromebookを活用したい人は検討してみていはいかがでしょうか。

なお、公式ストアやAmazonだけでなく家電量販店でも販売されています。一部店頭には実機が展示されているという報告もありましたので、お時間のある人は店頭チェックをおすすめします。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Product Marketing Manager

Professional ChromeOS Administrator 取得者。これまでに40台以上の Chromebook を試し、業務でも Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行う。本業はアクセス解析や広告運用、ときにPMM。プロフィールはこちら

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