今回の記事では、国内 BTO PC メーカーのマウスコンピューターが初めてリリースした、「マウスコンピューター Chromebook U1-DAU01GY-A」の実機レビューをお届けしていきます。なお、本レビューにあたり実機の貸出を受けています。
「マウスコンピューター Chromebook U1-DAU01GY-A」は2024年3月に国内文教向けとして発表され、その後6月に個人向けにも発売されたマウスコンピューター初の Chromebook となります。実機は2024年5月8日から東京ビックサイトで開催されていた教育総合展(EDIX) 2024 でも展示されており、実際に触れることができていますが、その時点でも初の Chromebook としてはバランスよくまとまっているという印象でした。
マウスコンピューターの「mouse Chromebook U1-DAU01GY-A 」は、もともと第2期 GIGA 向けを想定しているため、11.6インチサイズで堅牢性を重視した本体の造り、コンバーチブルタイプでタッチペン(USIペン)に対応、アウトカメラを搭載しているといった特長を備えています。
スペック
ディスプレイ | 11.6インチ グレア 1,366×768 タッチ対応 |
---|---|
CPU | Intel N100 |
RAM | 8GB |
内部ストレージ | 64GB eMMC |
外部ストレージ | microSD |
Webカメラ | 1MP |
アウトカメラ | 5MP AF |
ポート | USB-C ×2 USB-A ×2 3.5mm オーディオジャック |
ネットワーク | Wi-Fi 6E Bluetooth 5 |
バッテリー | 最大10時間 |
その他 | 落下テストクリア(75cm) IP4X 防塵 3年センドバック保証 スタイラスペン付属 |
サイズ | 292×204×21.3mm |
重さ | 1.43kg |
ディスプレイは11.6インチ 1,366×768(HD) 解像度のグレアタイプで、タッチスクリーンと USI スタイラスペンに対応しています。本体は 机からの落下を想定して75cmからの落下試験と IP4X の防塵規格を備えています。
プロセッサは Intel N100 を採用し、GIGA 向けでは珍しく 8GBRAM を搭載していることがポイントです。これまで教師向けには 8GBRAM モデルはありましたが、生徒向けモデルで 8GBRAM を搭載したモデルはかなり限定的でした。
ポートも USB-C と USB-A の両方が2つずつ搭載されており、左右に1つずつとバランスの良い配置です。なお、同梱されているスタイラスペンは USB-A ポートにホルダーを差し込むタイプとなっています。
Web カメラは 1MP 720p、アウトカメラ(キーボード上にある)は 5MP でオートフォーカスに対応しています。バッテリー駆動時間は最大10時間、Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.0 をサポートなど、必要な機能は揃っています。
デザイン
では、実際に「mouse Chromebook U1-DAU01GY-A 」のデザインをチェックしていきます。
本体は濃いグレーの色合いで、しっかりとした造りになっています。このモデルの特長はヒンジ部分にキャリングハンドルが付いていることで、海外でも CTL などの一部のモデルでしか存在しなかったため国内メーカーで採用しているのはかなりレアです。
11.6インチなのでコンパクトなサイズですが、重さが約1.43kgあるため見た目の割に少しずっしりと感じます。堅牢性を重視した GIGA スクール向けの Chromebook としては標準的ではあります。
ディスプレイ
ディスプレイは11.6インチサイズのグレア液晶で解像度が1366×768となっているため、GIGA向けやタッチ対応の小型 Chromebook としてはスタンダードな構成です。
ただ、ディスプレイ下のベゼルがかなり広く取られており、天板のサイズからするとディスプレイの表示領域が狭く感じるかもしれません。ベゼル幅があるおかげでディスプレイの位置が下になりすぎないので、姿勢がそこまで辛くならないという地味なメリットはありましたが、もう少しスッキリとまとめっていれば良かったと思います。
色味は少し薄く見えますが広視野角なので見づらいことはなく、タッチやペンへの反応もよいため、11.6インチのスタンダードな Chromebook として特に問題はありません。
時折、このサイズでフルHDを求めるユーザーがいることは承知していますが、コストやバッテリー駆動時間への影響、小さい画面でフルHDの領域を活かすにはある程度の条件(視力の良さなど身体的なものも含め)があるので HD でも仕方ないかと思います。私も昔はフルHDを求めていましたが、今だと小さすぎて見えない。ネイティブで使わず高精細な画質にしたい場合はその限りではありませんが、やはりコストやバッテリーへの影響が気になるところ。現状では素直に別のデバイスか iPad などのタブレットを検討するしかないと思います。
ポート&ペン
続いて側面ですが、本体の左側面にはケンジントンロックのセキュリティスロット、USB-A、USB-C ポートがあります。右側面にも USB-A、USB-C、3.5mm ヘッドセット端子、microSD カードスロットがあります。
コンパクトな Chromebook では比較的ポートが充実しており、HDMI ポートがないことは残念ですが、USB-C ポートとコネクタを使えばカバーでき、反対側の C ポートを使えば充電も犠牲にならないのでさほど問題はありません。学校では子どもの Chromebook を接続するより、教師のデバイスを接続したりデジタルホワイトボードなどに画面共有するなどが主になるはずなので、HDMI がないことはデメリットにはならないと思います。
ただ、スタイラスペンのペンホルダーが USB-A ポートに差し込んで使うタイプとなっていて、これを利用してペンを置いておくと片方の USB-A ポートだけでなく USB-C ポートの位置も塞いでしまうというデメリットがあります。
ペンホルダーがあることも本体とセットにしておけることも良いことではありますが、併用すると少し制限されてしまうのが残念でした。
ちなみにスタイラスペンとペンホルダーは同梱されており、ペンは4,096段階に対応した USI 規格を採用しており、デバイス側は1.0でも2.0でも対応したため、USI スタイラスペンであれば好みのペンを使って操作したり書き込むことができます。
なお、付属のペンはUSB-C 経由の充電式となっていて、やや充電の手間がかかることがネックです。
キーボード
キーボードは ChromeOS では平均的な日本語配列キーボードで、各キーがしっかりと独立しており、少しキーサイズは小さめですが文字入力はしやすく、扱いやすいキーです。
打鍵感は少し硬めでしっかりとした反発があり、長文の文字入力でも不満はありません。エンターキー周りが少し小さいことは気になりますが、変則的な配列・配置でもないためキーが小さいことには慣れてきますし、おそらく大きな問題は出ないと思います。
タッチパッドも小さいながらしっかりと作られていて、反応や滑りもよく操作性は悪くありません。このあたりをちゃんと作ってくれるのが日本メーカーならではというところ。
なお、キーボードの上部にはアウトカメラが搭載されており、5MP AF 対応なのでQRコードを読み込んだりホワイトボードや紙の資料を Google ドライブに保存するときに地味に役立ちます。
パフォーマンス
では、実際にマウスコンピューターの mouse Chromebook U1-DAU01GY-A を使っての印象です。まずは実機で測定した各種ベンチマークの結果を紹介しておきます。
ベンチマークソフト | スコア |
---|---|
Geekbench Single | 1,018 |
Geekbench Multi | 2,197 |
Geekbench Vulkan | 3,024 |
PCMARK | 10,931 |
Octane v2 Plus Single | 46,954 |
Octane v2 Plus Multi | 172,355 |
JetStream2 | 152 |
Speedometer 3 | 9 |
さらに参考までに Octane v2 Plus ベンチマークのスコアで マウスコンピューター Chromebook U1-DAU01GY-A (Intel N100) の測定結果の前後5つのプロセッサのスコアを紹介しておきます。
ベンチマークスコアでは Intel Celeron N4500 や Kompanio 520、Snapdragon 7c Gen 1 といったこれまでのエントリークラスの Chromebook よりも上になります。
いくつかの作業で実際に使っていても、Celeron N4000/N4020 (第1期 GIGA に採用されていた)に比べてもスムーズに動作し、Google Meet を開いて共有作業をするときでも大きなカクつきなどは発生しませんでした。Intel N100 というだけでなく 8GBRAM を搭載していることも影響しているかもしれませんが、かなりスムーズです。
Android アプリを利用したときもスムーズで、例えば Adobe Lightroom や Squid (手書きノートアプリ) を立ち上げたときの読込や操作性は Celeron N シリーズや Snapdragon 7c のデバイスよりも快適でした。
もちろん、Core i3 以上のハイエンド Chromebook に比べるとタブを20個以上開いたときの動作やアプリの立ち上げ・操作可能までの時間、描画などで負荷のかかるグラフの多いスプレッドシートや Looker Studio などを利用すると少し待ち時間は長くなるなどの差はあります。しかし、画面サイズ的にもシングルタスクが中心であればかなりスムーズに動作し、複雑な使い方をしなければ十分にメインデバイスとしてもやっていけるパフォーマンスです。
また、バッテリー駆動時間も自然とシングルタスクが中心となってくるため、私の普段の使い方であれば大体7〜8時間くらいのバッテリー駆動時間となりました。そのため、出先や充電できない環境で使う時間が長ければ Chromebook U1-DAU01GY-A は良いデバイスになります。
しかし、本体サイズが小さいことで調べ物をしながら資料を作成したり、資料を比較しながら別の作業を行うといったマルチタスクがやりづらく効率は落ちるため、一長一短であることは間違いありません。
これも使い方次第ですが、ドキュメントやスライドの作成を行う、オンライン会議に参加する、Google スライドから会議に画面共有をするといった、1つのウィンドウで集中して行うようなタスクであれば、パフォーマンスもバッテリー駆動時間もバランスが良く、扱いやすい Chromebook です。
最後に改めて気になる点を挙げるとすれば、11.6インチモデルですが重さが約1.43kgあること、ディスプレイのベゼルの厚みがあることでしょうか。ただ、前者は堅牢性とのトレードオフですし、後者も含めてコストの問題ということもあるので仕方ない点だとは思います。あとはペンの置き場所さえ確保できればですが、これらを気にしなければバランス良くまとまっているスタンダードな Chromebook です。
まとめ
マウスコンピューターから初めてリリースされた mouse Chromebook U1-DAU01GY-A は、GIGA 向けですが性能面ではバランスの良い11.6インチモデルで、子どもはもちろんはじめて Chromebook を使うユーザーやサブデバイスを考えているユーザーにもおすすめできるモデルです。
マウスコンピューター Chromebook U1-DAU01GY-A は現在公式サイト経由でのみ購入することができ、価格は69,850円で販売されています。少し高めにも思えますが、Intel N100 プロセッサと 8GBRAM を搭載した11.6インチモデルは貴重なので、値段設定ですが検討する価値はあります。