Samsung Galaxy Chromebook Plus を実機レビュー。大型、最薄、最軽量の Plus モデル

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Samsung Galaxy Chromebook Plus の実機レビューのヒーロー画像

今回の記事では、満を持して Samsung が発表した Chromebook Plus デバイス「Samsung Galaxy Chromebook Plus」の実機レビューをお届けします。

新しく発表された Samsung Galaxy Chromebook Plus は、Chromebook として初めて「クイックインサートキー」と「G / ランチャーキー」を搭載し、15.6インチのテンキー搭載モデルでありながら、重さは約1.17kg、厚みはわずか11.8mmとなっていて、現時点における最薄・最軽量の Chromebook Plus デバイスです。

もちろん性能にも妥協はしておらず、15.6インチ フルHD 解像度、1ms の応答速度、DCI-P3 120% を備えた AMOLED ディスプレイ、Intel Core 3 100U プロセッサと 8GBRAM、256GB UFS ストレージ、1080p ウェブカメラを搭載しています。また、最大13時間のバッテリー駆動時間や組み込みの Google AI、バックライトキーボードなどを備えています。

まずは Samsung Galaxy Chromebook Plus のスペックです。

目次

スペック

ディスプレイ15.6インチ AMOLED
1,920×1,080
DCI-P3 120%
応答速度 1ms
400nits
Eye Care Display
CPUCore 3 100U
RAM8GB
LPDDR5X
内部ストレージ256GB eUFS
外部ストレージmicroSD
Webカメラ1080p
ネットワークWi-Fi 6E
Bluetooth 5.3
ポートUSB-C ×2
USB-A ×1
HDMI ×1
3.5mm Combo
バッテリー最大13時間
45W急速充電
その他キーボードバックライト
テンキー
周囲光センサー
クイックインサートキー
Gランチャーキー
(MIL-STD 810H?)
サイズ355.4×225.8×11.8mm
重さ1.17kg

現在、市場で購入できるモデルは Core 3 100U と 8GBRAM を搭載したモデルで、今回レビューしている実機も同様の構成です。しかし、過去にベンチマークから Core 5 120U と 16GBRAM を搭載するモデルが発見されており、今回の構成でも十分な性能を実感していますが、上位モデルが存在するのであれば期待せざるを得ません。

なお、記事執筆時点では Samsung 公式サイトまたは Bestbuy でしか購入できないタイミングでしたが、偶然 Big Apply Buddy に掲載されていることを発見したため、そちらを経由して購入しました。そのため、諸々の費用込みで約14万円で購入しています。

実機レビュー

まずは本体のデザインはとにかく薄いという印象ですが、素材がアルミニウムのため剛性感はちゃんとあります。カラーリングも落ち着いており、手にしただけでも良い機種だと思います。また、15.6インチの見た目でも片手で簡単に持てるほど軽いことも大きな特長です。

15.6インチなので割と横長に見えますが、横幅については MacBook Pro 16インチとほぼ同じでした。縦幅は Galaxy Chromebook Plus のほうが小さく本体も薄いため、ケースやスリーブなどジャストサイズであっても流用できます。

ちなみに足の部分を除いた本体の厚みは、Pixel 9 Pro Fold とほぼ同じで、ケース装着した Pixel 9 Pro よりも薄くなりました。最も薄くて軽い Chromebook Plus というのは間違いありません。

本体の左側面には HDMI ポートと2つの USB-C ポートがあります。右側面には 3.5mm オーディオジャックと USB-A ポート、microSD カードスロットがあります。

数としては一般的な Chromebook (Plus) のポートですが、USB-C は左右に散らして欲しかったことと、microSD カードスロットではなく別のポートであればなお良かったと思います。というのも、Galaxy Chromebook Plus の標準のストレージ容量が256GBあることや、microSD を使う機会があまりないため、USB-A または C ポートがもう一つあれば、より汎用性が高まったはずです(コストやパーツ配置の問題もありますが)。しかし、この薄さでしっかりとポート数を備えていること自体は素晴らしいですね。

ディスプレイについては、AMOLED で見やすく十分な明るさもあり、色域も DCI-P3 120%をカバーするためこれも十分です。タッチについてはユーザー次第ですが、私は最近ほぼ使わなくなってしまったので、なくても問題ありませんでした。

ただ、せっかくなら16:10や3:2のように縦方向の広さもあるアスペクト比を採用していれば、より生産性の向上に役立ったと思います。

キーボードとタッチパッド

続いてキーボードですが、Galaxy Chromebook Plus はテンキーを搭載しているため、タッチパッドを含めて全体的にホームポジションが左寄りになります。正直テンキーを必要としていないため、むしろ左右のスペースでスピーカーを配置したほうが嬉しいですね。なお、キーボードバックライトも搭載しています。

Galaxy Chromebook Plus では、Chromebook として初めて「クイックインサートキー」と「G (ランチャー)キー」を搭載しています。また、これまでにごく限られたモデルにしかなかった Fn キーや「F◯」表記のファンクションキー、音声入力(ディクテーションキー)とユーザー補助(アクセシビリティ)キーも搭載されています。

クイックインサートキーについてはこちらで説明していますが、これを入力すると閲覧履歴やクリップボード、絵文字の入力、Google ドライブやファイルからの貼り付け、ChromeOS 130 から利用可能になった「文書作成サポート」などのショートカットを利用できます。

ただ、位置的にはこれまでランチャーキーがあった場所で、従来のランチャーキーは「G」キーに役割が変わっています。そのため、デフォルトのままで使うには操作にかなり慣れが必要です。

私はしばらくデフォルトで使っていましたが、仮想デスクトップ関連の操作に不便を感じたので、「クイックインサート」と「G」キーの役割を入れ替えて使うことにしました。ちなみに「クイックインサート」はキーがない Chromebook または Chromebook Plus でもキーボードショートカット「ランチャー + f」を入力することで利用可能です。

また、fn キーが追加されたことで、これまでのように画面をスクロールするキーボードショートカットが「ランチャー + ↑ または ↓」ではなく、「FN + ↑ または ↓」に変更されました。「G」キーや Fn キーの存在のおかげで、どちらかと言えば Windows に近い操作感となっています。

打鍵感について語る前に、見た目の印象はまるで Google Pixelbook Go に似ていることに気づいたユーザーもいると思います。そして、嬉しいことに打鍵感も Pixelbook Go に近い、しっとりとした静音なタイプです。

文字入力も快適で、個人的にはかなり好みの打鍵感です。ただ、エンターキーの右側やスペースなど一部のキーや箇所だけが軽い音がすることがあるので、Pixelbook Go までの完成度ではありません。とは言え、久々にこういうキーボードが出てきたので満足です。

タッチパッドについても反応はスムーズで、かなり大きめに配置されているので特に不満はありません。一般的な下半分で押し込みの出来るタイプとなっているため、価格的には仕方ないのかもしれませんが、触覚タッチパッドなどを導入しても良かったかもしれません。

バッテリー

バッテリー駆動時間についてですが、これだけ薄型&軽量な Chromebook でありながら、私の普段の使い方で5〜6時間程度は問題なく使うことができました。だいたいブラウザのタブを10〜15個程度、Nord VPN をオンにして、画面の明るさは大体70%程度、キーボードバックライトはオフといった状態で使っています。

同じ条件で例えば HP Elite Dragonfly Chromebook は4.5〜5時間、ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus が6〜6.5時間といったところです。CX54 に届かないものの実用上大きな差はなく、性能面では体感上 Galaxy Chromebook Plus が上だと思いますので、かなりバランスの良いモデルです。

なお、今回のレビュー中にたまたま1週間程度の出張があったので Galaxy Chromebook Plus を持っていきましたが、サイズが大きい割に軽量なため、持ち運びすること自体は苦になりませんでした。15.6インチという画面サイズなので出先でも見やすく、解像度もフルHDまたはそれ以上(少し荒いが)で作業領域も確保できる点は魅力でした。

しかし、持ち運びのバッグを選びますし、性能よりも持ち運びを重視するのであれば大きすぎます。このあたりは何を選ぶかですが、少なくとも15.6インチで1.17kgという軽さと11.8mmという薄さを備え、高性能かつ長時間バッテリー駆動、大きな画面を重視するのであればベストな1台です。が、この場合でもテンキーが必要とは思いませんでした。

パフォーマンス

実際に Samsung Galaxy Chromebook Plus で測定した各種ベンチマークスコアです。

ベンチマークアプリスコア
Geekbench (Single)1,931
Geekbench (Multi)5,943
Geekbench (GPU Valkan)8,550
PCMARK14,822
Octane 2.0 Plus (Single)88,414
Octane 2.0 Plus (Multi)403,773
JetStream2287
Speedometer (2.0)304
Speedometer (3.0)19

CPU パフォーマンスで言えば、現在一般販売されている Chromebook および Chromebook Plus のなかでも最上位クラスに入る性能です。参考までに Core i5-1240P や Core i7-1265U、Core Ultra 5 115U といった Chromebook のハイエンドモデルとのベンチマークを比較してみました。いずれも手持ちの実機で測定しているものです。

正直、Core Ultra 5 115U よりも Core 3 100U のほうが Geekbench、Octane 2.0 Plus のどちらのベンチマークスコアが高いことは意外でした。大きな差ではありませんが、実際に使っていてもタブを大量に開いたときの挙動は Core 3 100U を搭載する Galaxy Chromebook Plus のほうが Core Ultra 5 115U の Chromebook Plus よりも安定していると感じます。

以前、ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus の 16GBRAM モデルのレビューで比較したように、Core Ultra 5 115U と 8GBRAM を搭載したモデルではタブを15〜20個開いたあたりで少しずつ苦しさが出てきます。しかし、Core 3 100U と 8GBRAM を搭載したモデルでは、プラス5個程度の余裕があり、CPUのパフォーマンスが高いことで RAM がカツカツになっても動作に多少のゆとりが生まれます。

もちろん、16GBRAMあるほうが安心ですが、8GBRAM でもかなり動作に余裕があるため、私の使い方でも8GBRAMなのに大きな不満を感じませんでした。ただ、負荷のかかる作業を並行して行うことがわかっている場合には、素直に上位のCPUと16GBRAM以上を選ぶほうが無難です。

とは言え、一般的な Chromebook Plus デバイスでここまでの性能があれば、タブを50枚も開くような使い方を除いて、学生やビジネスユーザーでもほとんどの作業はこれで十分です。

まとめ

Samsung Galaxy Chromebook Plus はスキがない1台として仕上がっていますが、細かいところを見ていくとカメラにプライバシーシャッターがない、指紋センサがない、テンキーがある(人によります)、テンキーがあることでタッチパッドやキーが中央から左にずれているといった気になる点も多々あります。

また、最大のネックは Samsung が日本でも Chromebook Plus をリリースするかどうかわからないことと、海外でも記事執筆時点では Samsung US/UK 公式または Bestbuy などから転送や購入代行を利用して買う必要があり、ハードルがかなり高いことです。

しかし、これらの欠点があっても全体的にかなりバランスが良く仕上がっており、実際に使い始めれば十分おすすめできる Chromebook Plus モデルでした。日本での投入にもぜひ期待したいですね。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Product Marketing Manager

Professional ChromeOS Administrator 取得者。これまでに40台以上の Chromebook を試し、業務でも Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行う。本業はアクセス解析や広告運用、ときにPMM。プロフィールはこちら

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