Googlebook 向け Qualcomm チップ「Calypso」は Snapdragon X2 世代の可能性

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Chromebook と重ねた Qualcomm Snapdragon X2 Plus と X2 Elite のブランドロゴの画像
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Googlebook 向けに開発が進む Qualcomm の未発表 SoC「Calypso」について、Chromium Gerrit のコミットから、Snapdragon X Plus (第 1 世代) ではなく次世代の Snapdragon X2 Plus または Snapdragon X2 Elite に相当する可能性が報じられました。

これまで「Calypso」とそれを搭載するリファレンスボード「Mensa」の開発が確認されており、コード上は Snapdragon X Plus X1P-42-100 をベースに開発が進められていることを報じていますが、Calypso がどの世代・グレードの製品に相当するかは明らかになっていませんでした。

目次

Gerrit のコミットから読み取れる 4 つの手がかり

今回、Chrome Unboxed の報告によると、Gemini を用いて Calypso 関連のコミットを調べた結果、チップが高性能 PC クラスであることを示す 4 つの技術的手がかりが見つかったとしています。

CPUCP バイナリの分割

Qualcomm のシリコンアーキテクチャにおいて、CPUCP(CPU Control Processor)は CPU クラスタリングや電力スケーリング、サーマル制御を OS から独立して処理する専用マイクロコントローラです。

Calypso のコードではこの CPUCP バイナリが明示的に分割・管理されており、Qualcomm のカスタム CPU アーキテクチャ「Oryon」が動作していることを示すとされています。

Chromium Gerrit

CPUCP を持つのは Qualcomm のハイエンド PC 向けプラットフォームに限られており、Snapdragon X Plus X1P-42-100 をベースにしていることからも想定できました。

なお、Oryon コアを搭載しているため、「Calypso」は先日発表されたばかりのエントリー向けチップ「Snapdragon C」ではないことも裏付けられました。

ROMSTAGE のメモリ領域の拡張

coreboot 開発における「romstage」は、システムメモリ(RAM)を初期化する起動プロセスの初期フェーズです。

Chromium Gerrit

Calypso のコミットではこの romstage 領域のサイズが拡張されており、初期化すべきハードウェアブロックの量が多いことを示しています。メモリチャンネル数が多く、深いキャッシュ階層を持つ高性能チップほど、この初期ファームウェアのフットプリントは大きくなります。

Delta DCB サポートの追加

DCB(Device Configuration Block)はディスプレイパイプラインの初期化に用いるファームウェア構造で、「Delta DCB」はマルチディスプレイ環境や高リフレッシュレートの外部モニター、高帯域幅の eDP パネルに対応するための動的ルーティングを可能にするものです。

Chromium Gerrit

Calypso のコードにこのサポートが追加されていることは、複数の外部ディスプレイを同時に扱うことを前提とした設計であることを示しています。

非セキュアブロブへの切り替え

新しいプロセッサの初期開発段階では、ハードウェアの動作検証を目的として、セキュリティロックを一時的に解除した「非セキュア」バリアントのファームウェア(qclib などの「ブロブ」と呼ばれる閉鎖的なバイナリ)が使用されます。

Chromium Gerrit

Chrome Unboxed によれば、Qualcomm がこの多層的な初期化アーキテクチャを採用するのは PC クラスのハイエンドプラットフォームに限られており、NPU などの複雑なサブシステムを起動するための処理量が多いためとしています。

「Bluey」世代との関係性

Googlebook の第 1 弾として開発が進む Snapdragon X シリーズを搭載したモデルは、「Bluey」シリーズが確認されています。

「Bluey」シリーズは、これまでの開発情報から Snapdragon X Plus のうち X1P-42-100 を搭載することが示されており、このチップの SoC ID は「53」が割り当てられていることも確認しています。

一方で、Calypso の詳細は分からないものの、SoC ID が「54」と異なる ID が割り振られていることから、既存の Snapdragon X Plus X1P-42-100 を流用したものではなく、独立した新チップであることは確実となっていました。

Chromium Gerrit

今回の Chrome Unboxed の報告から、Calypso が最新の X2 Plus または X2 Elite になる可能性が示され、これまでの情報どおり X1P とは異なるチップになることが示唆されました。

Snapdragon X2 Plus と X2 Elite

Snapdragon X2 シリーズは、昨年 10 月に発表された Snapdragon X2 Elite と、今年 1 月に発表された Snapdragon X2 Plus があります。

どちらも第 3 世代 Oryon CPU と 80 TOPS の NPU を搭載しており、X2 Plus に関しては初代 X Plus からシングルコア性能が最大 36% 向上しています。

また、新しいプロセス製造技術と電力管理機能により、パフォーマンスを維持しながら消費電力を抑えることに成功し、長時間バッテリー駆動が期待できます。

すでに Snapdragon X2 Plus / X2 Elite を搭載する Windows ノート PC は登場しています。

まとめ

今回の分析はあくまで Chrome Unboxed がコード上の情報から読み取ったものですが、Calypso が X1P-42-100 とは異なる独自 SoC ID を持つこと、Bluey 系列が X1P-42-100 ベースであることはすでに確認しており、今回の報告はこれまでの情報と一致しています。

ただ、Calypso の正式な仕様は Qualcomm および Google からまだ公式に発表されておらず、今後の開発から明らかになることに期待です。

なお、Snapdragon X Plus および X Elite は 2024 年後半から Windows デバイスへ搭載され、Chromebook / Googlebook での採用はおよそ 1 年遅れとなります。

Calypso の開発ペースが同様の流れをたどるとすれば、X2 シリーズチップを搭載した Googlebook が登場するとしても同程度の時間がかかると予想され、早くても 2027 年以降になります。

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尾村 真英
Technical Writer
HelenTech を運営している 尾村 真英 です。これまでに 50 台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動し、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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