ある程度の機種が揃ってきましたので、今回は“GIGAスクール構想”に準拠するChromebookのまとめていきます。
そもそも、”GIGAスクール構想”とは何か?について調べて紹介しようと思っていましたが…お役所の資料の何と読みにくくわかりにくいこと(笑)
専門家でもありませんので、どんなものかについてはさっと紹介だけして、当サイトらしくChromebookについて取り上げます。
なお今回は公式に「GIGAスクール構想対応」を謳っているモデルだけを抜き出していますが、以下に説明する条件に当てはまるモデルはいくつかあるため、”対応を謳ってないけど仕様は対応している”というものを含めると、数としてはそれなりにありそうです。
GIGAスクール構想 とは?
様々なメディアの説明を見たところ、ざっくり一文で表すと以下のようなものです。
児童生徒1人1台の端末と高速なネットワークを整備し、ICTを活用するための5年間の計画
GIGAスクール構想実現パッケージ
端末だけでなくそれを利用するための設備も整え、クラウド化することで指導する側の負担を減らしていくという考えのようです。
日本は海外と比べてもICT活用が遅れているということや所謂パソコンを利用する時間が短いことも明らかになっていますし、とくに教育現場でのICT化が遅れているため、ここを改善する狙いですね。
ネットワークに関する仕様規定などもあるようですが、とりあえずChromebookに関連する箇所を説明します。
端末の標準仕様
ここで、文部科学省が各自治・各学校での活用を想定して作成した仕様書について、Chromebookに関する関する項目だけを抜き出して紹介しておきます。
- Intel Celeron 同等以上
- 2016年8月以降に製品化されたもの
- 4GBRAM
- 32GBストレージ
- 9〜14インチディスプレイ
- タッチパネル対応
- Wi-Fi 802.11ac(LTEは必須ではない)
- Bluetoothではないハードウェアキーボード
- 音声接続端子あり
- 外部接続端子1つ以上(型指定なし)
- 8時間以上駆動のバッテリー
- インカメラ/アウトカメラ搭載
- 原則1年保証/セカンドバック方式/予備常時
これに加えて仕様書に提示されている文言も紹介してくと、
- 十分な通信ネットワークとクラウド活用の下で、ブラウザベースでの活用が大前提
- 米国300ドルパソコンを念頭に、大量調達実現を含めて、5万円程度の価格帯
- デジタル教科書・教材等の操作性向上に役立つタッチパネル、ハードウェアキーボード、QRコード読み込みを想定したインカメラ/アウトカメラを共通しよう
- Wi-Fiを補完するLTEも選択肢に含める
としています。
うーん、なんかわかっている人が書いているようで書いていないような…しかもここには堅牢性の基準とかは特に指示されていないんですね。
まぁ、それはそれとして、このような仕様のChromebookが”GIGAスクール構想”では求められているということになります。詳しい内容については、文部科学省の「GIGAスクール構想の実現について」をご覧ください。
ということで本題に戻って、すでに発表されている”GIGAスクール構想”に準拠したChromebookを各メーカーごとまとめていきます。
Acer
まずはAcerから2つのモデルが発表されています。
相変わらず型番がややこしいのが残念。
Acer Chromebook Spin 511 R752T-G2 / R752TN-G2
こちらは名前によって、スタイラスペンが付属しているかしていないかだけの違いになっています。
「R752T-G2」はスタイラスペンなし、「R752TN-G2」がスタイラスペン付属(本体収納型)となっています。
詳しいスペックはすでに別記事でまとめていますので、そちらをご確認ください。
どちらも現行で一般販売されているモデルのCPU(Celeron N4000)からを新しい世代(Celeron N4020)に載せ替えたものとなっていて、それ以外は現行世代と共通のスペックとなっています。
性能面ではChromebookとしては文句なしで、Celeron N4020を搭載するモデルが国内でのスタンダードになっていきそうです。
Lenovo
Lenovoからは3つのモデルが登場しており、CPUによる差別化がしっかりとされているため、目的によって選びやすく感じます。
Lenovo 500e / 300e Chromebook 2nd Gen
こちらも外装に関する基本的な項目は共通していますが、「500e Chromebook」がCeleron N4120を搭載し電子ペンが内蔵されているのに対し、「300e Chromebook」はAMD A4-9120Cを搭載しアクティブペンに対応となっている点が違います。
単純な性能で言えば、「500e」の方はChromebookでもハイスペック寄りに位置し、「300e」はスタンダードなモデルであると言えます。
Lenovo 10e Chromebook Tablet
こちらはタブレットタイプのChromebookで、キーボードカバーが別途付属しているモデルとなっています。
海外での発表時、USIスタイラスペンに対応していることが示唆されているため、キーボードで入力するのに不慣れな年代への導入も可能なモデルですので、幅広い層への利用に向いているChromebookと言えそうです。
採用されているCPUは、Chromebookでは初となるMediaTek MT8183となっているため性能面は未知数ですが、これまでに登場しているChromebookタブレットなどから改善されていることを考えれば、教育現場での活用であればとくに問題はおきないだろうと思います。
「Lenovo 300e / 500e Chromebook」と「Lenovo 10e Chromebook Tablet」についても別途記事でひとまとめに紹介していますので、そちらをご覧ください。
NEC
続いて国内メーカーのNECから。
NEC Chromebook Y2
「Y1」というモデルは、Lenovoの「500e(2019)」をリプレースしたような残念な印象のあるものでしたが、「Chromebook Y2」は性能をしっかり向上させ、LTE対応モデルが存在するなど、かなり気合を入れたモデルであると思います。
ただ、開発中ということもあって詳細や仕様が変更する可能性もあるようですが、日本向けのChromebookとしてはかなりバランスの取れたモデルですね。
NEC Chromebook Y1 Gen2
この記事を書く途中で気づきましたが、さりげなく「Chromebook Y1」もCPUが載せ替えられて「Chromebook Y1 Gen2」という名称に変更され、GIGAスクール構想対応モデルとされていました。
「Y1」との「Y2」の違いは、外装のデザインが違うこととLTEに対応するかどうかだけになるようですね。
「Y1 Gen2」は5月下旬頃に提供開始、「Y2」は6下旬頃に提供開始とリリース時期もずれているようです。「Y1」の発表時点の記事はこちら、「Y1 Gen2」についてはNECの製品詳細をご覧ください。
DELL
正式な発表は現時点(2020/03/18)ではありませんが、GIGAスクール自治体ピッチで明らかにされた内容から、すでに発売されている「DELL Chromebook 3100」と「3100 2-in-1」の2モデルが、GIGAスクール構想に準拠したモデルであるようです。
DELL Chromebook 3100 / 3100 2-in-1
詳細ははっきりしていませんが、ちらっと見えた資料からは、LenovoやAcerのモデルと同様に現行モデルからCPUがCeleron N4020に置き換えられたものと考えて良さそうです。現行モデルは昨年発表されているため、CPU以外の基本スペックはこちらをご覧ください。
DELLの堅牢性基準は、Chromebookでは最多となるMILスペックの17項目のテストをクリアしているだけでなく、落下テストもコンクリート床へ落下させているなど、堅牢性については他メーカーより厳しい環境をクリアしています。
ライブストリーミング中に実際に落としてみせるパフォーマンスなどができるのも、このようなテストをクリアしてるからこそですね。その分、若干重さがあるなど仕方のない部分もありますが、サポートやサービス面で大手ならではの強みがありますので、導入の安心感もあると思います。
現行モデル(昨年発売)の自動更新ポリシーは、2025年6月までとなっていますが、おそらくGIGAスクール構想に準拠するモデルは延長されていると思いますので、正式に発表され次第、まとめたいと思います。
まとめ
ということで、現時点(2020/03/09)におけるGIGAスクール構想に準拠したChromebookは以上となりますが、今後も新しいモデルが登場すれば、都度追加していく予定です。
各メーカーは機種だけでなく、そぞれ独自の教育向けクラウドサービスも提供していますし、サポートや管理などもそれぞれ違いますので、導入の際にはそちらもしっかりとご確認ください。
また、「Chromebookってなんなの?」と思っていたり、一般向けはどんな機種があるのかと興味を持たれた方のために、以下のような記事もまとめていますので、ぜひ併せてご覧くださいませ。