今回の記事では、Withings が2023年12月に海外で発表し、日本では2024年9月末から販売を開始した高級ハイブリッドスマートウォッチ「Withings ScanWatch Healthmaster」の実機レビューをお届けします。
なお、このスマートウォッチは海外発表時に「Withings ScanWatch Nova」という名称になっており、その後に一部の市場で「ScanWatch Healthmaster」へと名称が変更されましたそのためアプリなどでは「ScanWatch Nova」のままになっていたりしますが、どちらも同じ機種を指しています。
デザイン
ScanWatch Healthmaster は、前世代 ScanWatch Horizon と同じダイバーズスタイルを踏襲し、ウォッチフェイスやベゼルのデザインが少し変更されています。サンレイ仕上げのダイヤル、スーパルミノバ(蓄光性夜光顔料)のインデックスと針、ステンレススチールケース、サファイアガラススクリーン、セラミックとステンレススチールの回転式ベゼルといった特長を備えています。
見た目はまさに高級ダイバーズウォッチのようで重厚感があります。デフォルトでメタルバンドということもありますが、スマートウォッチというよりも普通の腕時計として考えるほうが自然です。
とは言え、ケース直径は Pixel Watch 3 45mm と変わらない程度で、大型のスマートウォッチに慣れていると案外小さく感じます。ただ、本体の厚みと重さはそれなりにありますので、重たい時計やデザインが苦手ではない人向きです。
ウォッチフェイスの上部にある黒丸部分がグレースケールディスプレイになっており、ここでは現在時間と日付/曜日、歩数、睡眠、体温、高低差、血中酸素、心拍数、消費カロリー、移動距離、呼吸トレーニングのショートカット、トレーニング、月経サイクル、設定を見ることができます。どの項目を表示・非表示にするかはアプリから設定することができます。
本体の側面にあるクラウンをワンプッシュすることで画面を点灯・消灯でき、クラウンを回転させることで、ディスプレイに表示される上下にスクロールすることができます。一部、トレーニング系の項目では測定するトレーニングの選択や時間の設定などもクラウンのプッシュとスクロールで操作することができます。長押しショートカットにも対応しており、これはアプリで変更することができます。
ここのディスプレイではスマートフォンからの通知を確認することができますが、一般的なスマートウォッチとは違ってディスプレイが小さいため、横スクロールで様々な通知内容が表示されます。一部のアプリは英語で表示されてしまうことがあったり、表示速度や量を調整することができないため、通知の内容を確認するには不向きです。
そのため、いわゆるスマートウォッチとは違ってウォッチ上から何か操作を行うことは難しく、基本的には「トラディショナルな時計に健康測定機能と、デジタルな機能がオマケでついている」くらいに考えておくほうが良いでしょう。これは Healthmaster だけでなく、過去の Withings ScanWatch などと変わりません。
機能とアプリ
健康測定機能については、過去の Withings ウォッチやその他のスマートウォッチと同様に、24時間心拍測定や心拍変動、血中酸素濃度測定、睡眠モニタリング、皮膚温度変動、呼吸数、40以上のアクティビティ(ワークアウト/スポーツ)認識などを備えています。本体は10 ATM 耐水も備えており、水泳も測定することができ、標高(メートルと階数)の測定も対応しています。ただし、Healthmaster には GPS が内蔵されていないため、位置情報を記録するためにはペアリングされたスマートフォンを一緒に持ち運ぶ必要があります。これが過去のモデルも同様ですが、地味にネックです。
測定結果はアプリを介して確認することができます。Android スマートフォンであれば「ヘルスコネクト」機能を使うことで、互換性のあるアプリ・サービスと歩数・心拍数、睡眠の質などを同期できるため、複数のデバイスを使っている場合に以前よりデータがバラバラにならずに済むようになりました。
なお、医療専門家と健康データをリンクする HealthLink 機能や子どものデータを健康を追跡する機能、健康情報をPDFとして、医師やコーチ、家族などに非公開で共有する機能なども搭載されています。
アプリからは ScanWatch Healthmaster のいくつかの設定を行うことができ、例えば通知の有効・無効(アプリごとの設定にも対応)、アラームの設定(◯分前から状態に合わせて鳴動するスマートウェイクアップ対応)、長押しショートカットの変更や明るさ、ディスプレイに表示する内容のカスタマイズができます。また、健康機能の設定では血中酸素の測定タイミングや安静時の高/低心拍通知、呼吸スキャン、1時間毎に起立を促すアクティブリマインダー、歩数目標やアクティビティ自動検出などもあり、最低限の設定はできると思います。
アラームは複数の設定が可能で、曜日ごとの繰り返しもできますが、時間を設定するときの操作性が少し悪いのが難点です。また、通知に関してはアプリケーションごとにオン・オフができますが、個人用プロファイルのみとなり、仕事用プロファイルの通知は変更できない(通知されない)ことに注意してください。
基本的にスマートウォッチ上から操作することはなく、アプリからも多くの操作ができるわけではありません。そのため、健康測定に大きな不足はありませんが、Wear OS のように様々なアプリを連携させたり、あるいはそれ以外のスマートウォッチ OS のように何らかのミニアプリや機能を組み合わせて色々と使いたいユーザーには正直向きません。音楽アプリの操作や非接触決済も非対応なので、使い勝手という点では良いとは言えません。
しかし、ScanWatch Healthmaster は健康測定機能が搭載されていて、最低限通知やアラームを確認できるだけで十分で、それよりもトラディショナルなダイバーズウォッチスタイルのデザインに魅力を感じるという割り切ったユーザーであればおそらく困ることはないと思います。
なお、Healthmaster にはシリコンバンドも付属しているため、就寝中やエクササイズ中にバンドを付け替えるということもできます。
ピン方式を採用しているため付け替えは難しくありませんが、正直毎回付け替えることは面倒です。常にメタルバンドのままでも平気であれば気になりませんが、就寝時やエクササイズ中に気になる場合は、別のウォッチやスマートリングを併用するほうが良いかもしれません。
バッテリー駆動時間については、一般的なスマートウォッチよりも長く、1日45〜1時間のウォーキング計測と24時間装着しっぱなしの状態で1日あたり7〜10%程度のバッテリー消費でした。うまく使えば15日くらいは持つと思いますが、公称値である30日はさすがに厳しいと思いました。
充電は専用のドッキングステーションで行い、USB-C ケーブルを使って電源に接続して充電することができます。充電速度も早めに感じたので、心配なユーザーは1週間に1度の充電などクセをつけておけば困ることはありません。3〜4泊の出張でも充電いらずなので、Suica などでスマートウォッチを利用していないユーザーには便利です。
おそらく、ScanWatch Healthmaster を検討するユーザーはこの見た目に惹かれていると思いますので、健康測定+アクティビティ測定と、最低限の設定が搭載されている普通の時計と考えて購入するほうが安心かもしれません。
まとめ
今回は Withings ScanWatch Healthmaster の実機レビューをお届けしました。最後に価格についてですが、日本国内では99,800円となっています。正直、機能面だけで言えば割高ですが、デザインを重視したハイブリッドスマートウォッチという一点突破に納得が行けば、他にないデバイスなので検討する価値はあります。
実際、私も機能よりもデザインに惹かれて購入したので、高いことは間違いありませんが後悔はしていません。万人受けするデバイスではありませんが、いわゆるダイバーズウォッチの見た目で健康測定やアクティビティも測定したいと考えている人はぜひチェックしてみてください。
ただ、記事執筆時点ではなぜか Amazon.co.jp からページが削除されており、ソフトバンクのトレテク(公式または楽天市場店)から購入するしか方法がなくなりました。