この記事では、GEEKOM が「7万円以下で最高のミニPC」としてリリースした、Ryzen 7 6800H と 32GBRAM を搭載するコストパフォーマンスに優れた GEEKOM A6 の実機レビューをお届けします。なお、今回のレビューにあたり実機の提供を受けています。
GEEKOM のミニPCは何度かレビューしていますが、いずれもコストパフォーマンスに優れたモデルが多く、エントリーからハイスペックまで多数の種類を用意していることも特長です。今回の GEEKOM A6 は、どちらかといえば尖りすぎていない手頃な価格のモデルという立ち位置で、性能と静音性もしっかりと確保されており、使いやすいミニPCに仕上がっています。
なお、GEEKOM A6 は通常68,000円で販売されていますが、2025年4月1日までの期間は公式サイト、Amazon でそれぞれクーポンを利用すると 5% 割引で購入することができます。クーポンは記事末に記載してあります。
デザイン
GEEKOM A6 は、これ以外の GEEKOM デバイスとほぼ共通したアルミニウム筐体を採用しており、少しマットな雰囲気のあるシルバーカラーです。
天板には GEEKOM のロゴがあるだけで、比較的シンプルです。本体のサイズは 112.4×112.4×37mm と小さいため、机の上においても邪魔になりにくく、付属の VESA マウントキットを使うことでモニターなどの裏面に取り付けることも可能です。
なお、本体は堅牢性と信頼性を確保するために、複数の独自テストによって検証されています。例えば、200トンの油圧スタンピングテスト、15,000回のUSBプラグ抜き差しテスト、120時間の高温・低温環境テスト、90分の振動テスト、11回の品質検査、EMI 放射試験などが行われています。
また、このモデルも底面のゴム足を外すことで内部にアクセスすることができ、RAM とストレージを交換・追加することも可能です。今回の実機では、最初から 32GB DDR5-5600 RAM と 1TB PCIe 4.0 SSD が搭載されているため、余程のことがない限りはこれで十分だと思います。
ポートも充実しており、背面には USB-C (USB4 規格) ポートが1つ、USB-C (2.0) ポートが1つ、2つの HDMI 2.0 ポート、USB-A ポートは 3.2 Gen 2 と 2.0 規格がそれぞれ1つずつ、2.5Gbps Ethernet ポートがあります。なお、USB-C ポートはどちらも外部出力をサポートしており、HDMI ポートと組み合わせて最大4枚の外部モニターに出力することができます。
前面には2つの USB-A (3.2 Gen 2) ポートと 3.5mm オーディオジャック、側面にはフルサイズの SD カードスロットが搭載されています。
GEEKOM のミニPCは USB-C ポートが2つ搭載されていることがほとんどなので、USB-A の周辺機器に限らずモニターも含めた機器との接続の選択肢が多いことはメリットです。 2.5Gbps のイーサネットポートがあるので、安定した接続や高速な転送速度を得たい場合には、有線によるネットワーク接続という手段が取れるのも良いですね。
スペックとベンチマーク
今回レビューしている GEEKOM A6 は、以下のようなスペックです。
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 7 6800H |
GPU | AMD Radeon 680M |
RAM | 32GB DDR5-5600 |
内部ストレージ | 1TB PCIe SSD * 2.5″ SATA HDD 空スロット |
外部ストレージ | SD カード |
前面ポート | USB-A (3.2 Gen 2) ×2 3.5mm Audio jack |
背面ポート | USB-C (USB4) ×1 USB-C ×1 USB-A (3.2 Gen 2) ×1 USB-A (2.0) ×1 HDMI 2.0 ×2 Ethernet (2.5Gbps) ×1 |
ネットワーク | Wi-Fi 6E Bluetooth 5.2 * MediaTek MT7922 |
その他 | VESAマウント(キット付属) |
サイズ | 112.4×112.4×37mm |
Windows 11 Pro で動作しており、コンパクトな筐体ですが、プロセッサーは最大 4.7GHz で動作する Ryzen 7 6800H、内蔵グラフィックスは Radeon 680M、32GB DDR5-5600 RAM、1TB PCIe Gen 4 SSD を搭載しています。
参考に、GEEKOM A6 の実機で測定した各種ベンチマークソフトの結果を紹介しておきます。
Score | |
---|---|
Geekbench Single | 2,065 |
Geekbench Multi | 10,453 |
Geekbench OpenCL | 29,184 |
Geekbench Vulkan | 30,007 |
PCMARK 10 | 6,232 |
PASSMARK | 6,332 |
Octane 2.0 Plus Single | 79,115 |
Octane 2.0 Plus Multi | 739,450 |
JetStream2 | 295 |
Speedometer 2 | 322 |
Speedometer 3 | 23 |
FF14 最高品質 FHD | 3,340 (設定変更を推奨) |
FF14 高品質 (ノートPC FHD) | 4,840 (普通) |
FF14 標準品質 (ノートPC FHD) | 4,746 (普通) |
3DMARK (Night Raid) | 26,101 (非常に良好) |
3DMARK (Fire Strike) | 6,757 (良好) |
3DMARK (Steel Nomad Light) | 2,362 (非常に良好) |
3DMARK (TimeSpy) | 2,727 (良好) |
CPU のベンチマークでは、例えば Octane 2.0 Plus のスコアはデスクトップ向けの Core i3-12100 や Ryzen 7 5700X / 5800X あたりに近いスコアとなっています。ノートPC向けでは、Core i5-13500H や Core i7-1280P などと同程度です。
グラフィックス性能も Radeon 680M のおかげで、画質を調整すればそこそこ重たいゲームでもプレイすることが可能です。ただ、あくまでもプレイできる程度なので、ちょっとした息抜きに軽めの3Dゲームをやるくらいなら問題ありませんが、しっかりとプレイしたい場合にはゲーミングPCやコンシューマー機を使うほうが確実です。
使用感
ベンチマークスコアからも予想できるように、家庭での一般利用や事務、経理などのビジネス用途であれば動作に特に不満はありません。
例えば、ブラウジングなどの簡単な作業や音楽や動画の視聴といったことであれば非常に快適です。仕事やオフィスで使う場合でも、Chrome でタブを20枚開いての作業、Microsoft オフィスソフトやその他のビジネスソフトの利用であれば大きな問題もなく快適です。重たいタブを一気に20枚くらい開く(タブグループに保存したものなど)とさすがに挙動が不安定になりますが、極端な使い方をしなければ問題はありません。
また、Lightroom による簡単な RAW 編集や Photoshop を使った数枚のレイヤーの画像編集、フルHD(1080p)の簡単な動画編集であれば、ほぼ問題なく利用できます。Visual Stadio Code と WSL (Debian) を使った簡単なコーディング(Nuxt、 Python/Django、 Postgres)などもとくに問題は起きませんでした。
これらの作業中、例えばオンライン会議中や動画の書き出し、Windows Updates など、連続して負荷のかかるタイミングではファンの音が聞こえるくらい回りましたが、そうでない限りはファンの音はほぼ気にならないレベルです。周囲で加湿器や空調などが動いていれば、ファンの音はまず聞こえません。ファンの音は静かですが、本体が過熱することもなく安定しているため、GEEKOM が自社開発した Iceblast2.0 冷却システムはしっかりと機能しているようです。
また、ゲームでも Steam でレトロゲーや2Dゲーム、軽めの3Dゲーム(PSやPS2のリメイクなど)であれば問題なく動作し、オンラインゲームでも画質を落とすことでプレイできるので、用途は幅広いと思います。どうしても重たいタイトルをプレイしたいときには、GeForce Now や Xbox Cloud Gaming を利用すれば問題はありません。例えば、GEEKOM A6 でも GeForce Now を使えば Cities: Skylines II をプレイすることも可能です。
ちなみに、このときにも Ethernet による有線ネットワーク接続ができることや、Windows でありポートも豊富なのでコントローラなど周辺機器を使いやすいという点が便利です。
GEEKOM A6 での大きな不満はありませんが、しいて言えば、GEEKOM の上位モデルに比べて性能は控えめのなので、大きな負荷のかかる作業をするときや Chrome のタブを50個くらい開いて会議するときの安定性はやや劣ります。使い方次第ですが、極端な負荷をかけなければ日常やビジネスでの利用は十分可能なので、7万円以下で購入できるミニPCとしては十分です。
まとめ
GEEKOM が「7万円以下で最高のミニPC」をコンセプトにした GEEKOM A6 は、確かに性能と価格のバランスが優れているため、コストパフォーマンスは申し分ないと思います。必要に応じて RAM やストレージも拡張できますので、あとから少しの底上げも可能です。
できるだけ価格を抑えつつ、パフォーマンスを犠牲にしない範囲での手頃なミニPCを探しているのであれば、GEEKOM A6 は検討する価値がある1台です。ただ、価格だけで見ると他にもいくつか候補は出てきますので、今回のようなクーポンやセールのタイミングで購入することをおすすめします。
なお、GEEKOM A6 は通常68,000円で販売されていますが、2025年4月1日までの期間は公式サイト、Amazon でそれぞれクーポンを利用すると5%割引の64,600円で購入することができます。購入の際はクーポンの利用を忘れないようにしてください。
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