富士通 FMV Chromebook 11K を実機レビュー。コンパクトでもキーボードが快適

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今回の記事では、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が初めて自社国内生産をする Chromebook として発表した FMV Chromebook 11K の実機レビューをお届けします。なお、レビューにあたり実機をお借りしています。

この富士通(FCCL)の FMV Chromebook 11K は国内で2024年10月29日に発表されました。このモデルはMediaTek Kompanio 520 を採用した11.6インチのコンバーチブルタイプの Chromebook です。国内生産モデルであり、富士通独自の落下試験テストや耐久性テストを実施しており、普段使いしやすいように、持ち運びやすく滑りにくい形状と加工が施されています。

また、日本語配列キーボードも独自にカスタマイズしており、打鍵感の工夫や配置の調整などを行い、快適なタイピングを実現しています。さらに国内で製造することにより品質の確保とスピーディーな課題解決ができることが強みです。子ども向けのパソコンとしての使いやすさと堅牢設計なども考慮されています。

なお、記事執筆時点ではまだ販売を開始しておらず、富士通のショッピングサイト WEB MART にて2025年1月中旬から予約を開始し、2月から販売開始予定です。そのため、本レビューで使用しているデバイスは検証機となり、ベンチマークを含めていくつかの情報は実機で測定したものではない点に注意してください。

ちなみに富士通からコンシューマー向けとなる Chromebook は2機種目で、最初の1機種は2021年11月16日にインテル第11世代プロセッサを搭載する「FMV Chromebook 14F (WM1/F3)」が発売されています。当時もお借りして実機レビューをしています。

目次

スペック

まずは富士通 FMV Chromebook 11K のスペックから紹介します。記事執筆時点で公開されている仕様となりますが、ほぼ最終製品と同じです。

ディスプレイ11.6インチ
1,366×768
タッチ対応
CPUMediaTek Kompanio 520
RAM4GB
内部ストレージ32GB eMMC
外部ストレージ
ウェブカメラ92万画素 HD
リアカメラ5MP
ポートUSB-C ×1
USB-A ×1
HDMI ×1
3.5mm Audio
バッテリー最大14時間
その他本体収納式スタイラスペン
サイズ286×202×19.9mm
重さ約1.19kg

性能面では Kompanio 520 と 4GBRAM を搭載するためエントリークラスの Chromebook となりますが、本体収納式スタイラスペンを備えた11.6インチのコンバーチブルタイプで、重さが約1.19kgという点はなかなか魅力的です。

最近ではコンシューマーでも11.6インチあるいは12.2インチモデルのリリースはいくつかありますが、クラムシェルだったりコンバーチブル(フリップ)でもペンに非対応という機種がほとんどです。その中でも「本体収納式スタイラスペン」というのは久々なので、いざというときにペンが欲しいユーザーにおすすめできるモデルです。

実機レビュー

本体の外観は樹脂(プラスチックっぽさ)はありますが、表面加工が施されているため光沢が抑えられ、滑りづらく油脂も目立ちにくくなっています。堅牢性テストをクリアしているため、樹脂ですが筐体のたわみなども少なく、全体的にしっかりとした造りです。

天板には久々にカラフルな Chromebook のロゴ、富士通のロゴがあります。11.6インチで重さも1.19kgなので、大人であれば片手でも持ちやすく取り回しやすいです。

なお、キーボード側の4つの角にはラバーバンパーが取り付けられており、角から落下したときでも衝撃を抑えて壊れにくいようになっています。

FMV Chromebook 11K のポートには、左側面に USB-C ポート、HDMI ポート、3.5mm オーディオジャックがあります。右側面にはケンジントンロック、本体収納式スタイラスペン、USB-A ポート、電源ボタン・ボリュームボタンがあります。

ちなみに HDMI だけでなく USB-C ポートも外部モニター出力にも対応しており、どちらも 1920×1080 解像度の 60Hz で1枚まで出力に対応しています。2枚以上の外部モニターに出力しようと思ってもどちらか1枚にしか出力されず、フルHD以上の解像度の場合は2048×1080に制限されます(これは Kompanio 520 の仕様よるものです)。

本体収納式のスタイラスペンは充電式を採用しており、本体に収納しておくだけで自動的に充電されています。

USI 方式を採用しているため、同梱されているペン以外の USI ペンを使って筆記することも可能です。試してみたところ USI 1.0 規格と USI 2.0 規格(後方互換あり)のスタイラペンの両方で使うことができました。

キーボードとタッチパッド

FMV Chromebook 11K のウリとも言えるキーボードですが、今回のデバイスでも一般的な Chromebook のキー配置から逸脱(良い意味で)しており、独自仕様となっています。

また、Samsung Galaxy Chromebook Plus で初お披露目された新しい「クイックインサートキー」と「G (ランチャー)キー」、「Fn キー」などが搭載されています。また、上部のファンクションキーには「F◯」表記が追加され、「アクセシビリティ(ユーザー補助)キー」や「ディクテーションキー」も追加されました。

キーの使用感については、小さい筐体ながら無理のない配置になっており、最初は慣れが必要かもしれませんが違和感なく入力ができます。

とくにエンターキーを幅広くとり、バックスペースキーも独立させつつ幅を確保、エンター周りの記号はやや小さいものの文字キーは同じ大きさで確保されています。カーソルキーも間隔を開けて位置をずらしているため、確実に操作することができます。

スペースキーは小さくなりましたが、左右の Alt / Crtl / Fn / G などのキーサイズが統一されているため、これも違和感なく使うことができます。ちなみに左右に fn キーがあるのは珍しい気がします(Chromebookでは初めてかも)。

打鍵感についてはストローク量は少し多めでしっとりとしていて、長時間のテキスト入力でも苦痛にはなりません。14Fのように押下圧を変えているかはわかりませんが、かなり快適に入力できます。

そのため、小さな筐体でもテキスト入力を快適にしたいと考えている Chromebook ユーザーにはおすすめできる1台です。ただ、キーは一般的なサイズに比べてやや小さめというなので慣れは必要です。

一方、新しく導入された「クイックインサートキー」は文書作成サポート (Help me write)やクリップボード、絵文字などへのショートカット、Google ドライブやファイルの検索などを利用することができる便利なキーです。このキーがない Chromebook でも「ランチャー + F」で同じことができますが、単独でキーがあるとやはり便利です。

しかし、これまで「ランチャーキー」があった場所なので、例えばこれを使って仮想デスクトップの切り替えやなどをしていたユーザーは少しだけ慣れが必要です。なお、これまでのランチャーキーは「G」がその役割を担うことになりました。位置的には Windows キーと同じような使い勝手になるため、Windows からのリプレイスユーザーには違和感が少ないかもしれません。ちなみにChromeOS の設定からキーの機能を変更することができるため安心です。

タッチパッドに関しては小さめですが、滑りもスムーズで反応もちゃんとしています。タップも押し込みクリックも問題ありませんでした。

前機種となる FMV Chromebook 14F は、タッチパッドが柔らかく故障しやすいことがネックになりましたが、今回の Chromebook 11K は隙間もなくそういった印象はありません。ここはしっかりと改善してきたようです。

ディスプレイ

続いてディスプレイですが、タッチ対応でペン対応の11.6インチ 1,366×768 (HD) 解像度を採用しています。グレアの広視野角タイプで、色味なども変に見えることもない、ごく一般的なものです。

画面解像度と性能的にも、2つの画面を並べて作業するような使い方は向いていないため、1つのウィンドウ(タブ)で1つの作業に集中する使い方向きです。これはエントリークラスのコンパクト Chromebook に共通するものです。

作業領域が必要であれば、フルHDの外部モニターに出力するか、小さい筐体を活かしてポータブルモニターと組み合わせて使うのがちょうど良い感じでした。

パフォーマンス

肝心のパフォーマンスについてですが、今回は検証機となるため実機でのベンチマーク測定が許可されていませんでした。そのため、既存の Kompanio 520 を搭載する別の Chromebook で測定したベンチマークスコアを参考値として紹介します。

Score
Geekbench (Single)620
Geekbench (Multi)1,642
PCMARK7,360
CrXPRT275
Octane 2.0 Plus (Single)21,494
Octane 2.0 Plus (Multi)147,637
JetStream277
Speedometer 3.0 3 (v2.0では57)

ベンチマークスコアで言えば、GIGAスクール構想第1期で導入されている Celeron N4020 / 4GBRAM を搭載する Chromebook よりも少し上のスコアとなり、パフォーマンスはわずかながら向上しています。Snapdragon 7c や Intel N100、Celeron N5100 に届きませんが、エントリークラスの Chromebook としては必要十分な性能と言えます。

実際にセットアップのときの重さや引っ掛かりは、Intel N4020 や N4100 などに比べて感じることはなく、Snapdragon 7c を搭載する Chromebook の体感に近い印象でした。参考までに近い性能を持ついくつかの Chromebook の Geekbench のスコアを比較しておきます。

数年前のエントリー Chromebook から見ればパフォーマンスは向上していますが、少し上の機種に比べると控えめな性能であることに変わりはありません。例えば、今回の Kompanio 520 と 4GBRAM のモデルでは同時にタブを開いて操作するときにはタブが5個前後であれば快適ですが、10個近くになるとアプリを開くときや何等かの処理をするとき、重たいサイトを開くときなどに引っかかりや待ち時間の長さを感じるようになります。

そのため、マルチタスクや大量のタブを開くという使い方ではなく、1つのタスクに集中したり、2〜3枚のタブを開いて行き来するような使い方を考えているユーザー向きとなります。もちろん、ちょっとした調べものや YouTube などでの動画視聴、メールやチャットなどの目的であれば十分です。小中学生、高校生が勉強で使う目的であれば、困ることはおそらくないはずです。

また、バッテリーは Intel や Ryzen などの Chromebook に比べて長持ちします。このレビューを仕上げるに当たり、ブラウザベース(ドキュメント、Wordpress、その他チャットなどを開きながら)で作業をしましたが、1時間あたり12%前後のバッテリー消費で済んでおり、うまく使えば8時間から10時間程度使うことができます。

もともと省電力ということもありますが、無理なマルチタスクや高負荷の作業をしない(できない)ため、結果的にバッテリー駆動時間が延びます。出先でブラウザ、メールやチャット、文書やスライドの作成といった1つのタスクに集中する使い方を考えているのであれば、FMV Chromebook 11K で何ら問題はありません。

全体的に良くまとまっていて、普段使いや子どもの学習用端末としてならおすすめできます。とくに日本語配列が必要で11.6インチのコンパクトなモデルを求めているのであればとてもお勧めです。

まとめ

性能は控えめですが、複雑なことは負荷のかかることをしなければ快適で、普段使いや子どもの学習用、サブデバイスとしてちょっとしたときに使う Chromebook としておすすめできます。特に文書作成をする場合に、コンパクトな筐体の日本語配列キーボードモデルが必要で、できるだけ快適な文字入力をしたいというユーザーにはオススメです。

ただ、記事執筆時点では価格が明らかにされていません。性能で見れば手頃な価格帯に落ち着いて欲しいところなので、ここは期待したいですね。

ちなみに子ども向けを想定しているようですが、大人でも十分に使えるモデルです。また、国内製造による品質の確保と課題解決という点では、家庭や教育向けだけでなく法人(企業)向けとしても強みになるので、今後そういったデバイスのリリースにも期待です。

最後に、冒頭でもお伝えしていますが、記事執筆時点では FMV Chromebook 11K はまだ販売を開始しておらず、富士通ショッピングサイト WEB MART にて2025年1月中旬から予約を開始し、2月から販売開始予定となっています。価格を含めた詳細については予約開始時に改めて発表される予定です。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Product Marketing Manager

Professional ChromeOS Administrator 取得者。これまでに40台以上の Chromebook を試し、業務でも Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行う。本業はアクセス解析や広告運用、ときにPMM。プロフィールはこちら

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