今回の記事では、コストパフォーマンスに優れたオーディオ製品で人気の EarFun から登場した、ノイズキャンセリング機能に特化したワイヤレスイヤホン「EarFun Air Pro 4i」の実機レビューをお届けします。
本製品は、ハイレゾ認証や LDAC コーデック、強力なハイブリッドアクティブノイズキャンセリング (ANC) 機能を搭載しながら、販売価格は 7,990 円と比較的手頃なのが大きな特長です。
結論から言えば、1 万円以下の価格で強力なノイズキャンセリングと高音質、日常使いに便利な機能を高いレベルで両立した、非常にバランスの取れた一台と言えます。
なお、本レビューはメーカーより実機の提供を受けていますが、記事の内容に関与はなく、デザインや装着感から音質、マイク性能に至るまで、実際に使用したうえでの率直な感想をまとめています 。
EarFun Air Pro 4i の主なスペック
まずはじめに、「EarFun Air Pro 4i」の主なスペックをまとめました。
項目 | スペック |
---|---|
Bluetooth バージョン | V5.4 |
対応コーデック | LDAC、AAC、SBC |
ドライバー | 11mmチタンコーティング複合振動板 |
ノイズキャンセリング | QuietSmart ハイブリッドANC (最大50dB低減) |
通話機能 | AI ENC通話ノイズキャンセリング (マイク6基) |
再生時間 (イヤホン本体) | ANC OFF: 最大9.5時間 ANC ON: 最大6.5時間 |
再生時間 (ケース込み) | ANC OFF: 最大40時間 ANC ON: 最大27時間 |
防水性能 | IP55 |
充電方法 | USB-C / ワイヤレス充電 |
その他機能 | マルチポイント接続 Google Fast Pair ゲームモード (50ms以下) 3D サウンド専用アプリ対応 |
重量 | 約51.3g (ケース込み) |
なお、名前が似ているモデルに「EarFun Air Pro 4」がありますが、本機は単純な下位モデルではなく、特徴が異なります。
「Air Pro 4i」は、ドライバーが 10mm から 11mm へと大型化し、防水規格も防塵に対応した IP55 に向上、新たに 3D オーディオもサポートしました。
一方で、「Air Pro 4」が対応していた aptX Lossless や aptX Adaptive といったコーデックには非対応となり、イヤホン単体での再生時間も最大 11 時間から 9.5 時間に短縮されています。
より手頃な価格で、ドライバー性能や防水性、3Dオーディオといった異なる機能に焦点を当てたモデルと言えます。
デザインと操作性
充電ケースは比較的コンパクトですが、少し厚みがあります。形状的に片手でスムーズに開けるのは少し難しいかもしれません。表面はマットな質感で、指紋や皮脂などの汚れが目立ちにくいのは良い点です。




ケースの前面には LED インジケーターがあり、バッテリー残量やペアリング状態を色で確認できます。背面には充電用の USB-C ポートが搭載されています。この価格帯でありながら、ワイヤレス充電に対応している点は大きなメリットです。

ケースの蓋を開けると、イヤホンの間にペアリングやリセットを行うためのボタンが配置されています。
「EarFun Air Pro 4i」は、イヤホン本体を掴んでそのまま耳に装着できるよう自然な向きになっているので、スムーズに装着・収納ができます。
イヤホン本体と装着感
イヤホン本体は、一般的なスティック型です。装着感は良好で、耳への収まりも良い印象です。ただ、私の場合はイヤホンの耳穴に当たる部分の膨らみが少し大きく感じました。

幸い、XS から XL までの5サイズのイヤーピースが付属しているため、自分に合うサイズに交換することでフィット感を調整できます。実際に私もデフォルトの M サイズから一番小さいサイズに変更したところ、違和感が解消され、快適に装着できました。
他製品だとイヤーピースをデフォルトのまま違和感なく使えることがほとんどなので、「Air Pro 4i」は一般的な製品よりも少し大きめなのかもしれません。ただ、この大きさが遮音性に貢献しているとも言えますので、一長一短です。イヤーピースの交換で快適になれば、問題はありません。
操作方法
操作はイヤホンの側面にあるタッチセンサーで行います。センサー部分には小さな突起があり、触れる場所が分かりやすくなるよう配慮されています。デフォルトでの操作は、次のようになっています。

なお、これらの操作方法はアプリから変更することができます。EarFun のメリットの一つです。しかし、物理ボタンと違ってクリック感がないため、操作が正確に行われたかどうかが少し分かりにくく、慣れるまでは不安に感じることがありました。
実際の使用感
「EarFun Air Pro 4i」は Google Fast Pair に対応しており、Android スマートフォンであれば、ケースの蓋を開けるだけで簡単にペアリングが完了します。

また、2台のデバイスに同時接続できるマルチポイント接続にも対応しており、デフォルトで機能が有効になっています。PC やタブレットで音楽・動画を視聴しながら、スマートフォンにかかってきた電話に出るといった使い方がスムーズにでき、非常に便利です。
音質
11mm のチタンコーティング複合振動板ドライバーを搭載しており、価格を考慮すると音質は非常に優れていると感じました。低音、中音、高音のバランスが良く、特定の音域が強すぎることなく、クリアに聞こえます。

また、アプリからイコライザーをカスタマイズすることで、好みの音に近づけやすいというメリットもあります。ハイレゾ対応の LDAC コーデックもサポートしているため、対応する Android デバイスであれば、より高音質なサウンドで聴くこともできます。
さらに「EarFun Air Pro 4i」には、サラウンド効果を与える「シアターモード」があります。これをオンにすると、全体的な音の圧力がわずかに上がって広がりを感じることができますが、イコライザーが無効になってしまうため、好みが分かれるかもしれません。
ノイズキャンセリング (ANC) と外音取り込み
本製品の最も大きな特長であるノイズキャンセリング性能は、手頃な価格設定を考えると効果をかなり実感できます。特に、エアコンの室外機や冷蔵庫の駆動音といった低い周波数のノイズは、音楽を再生していなくても効果的にカットしてくれます。

キーボードのタイピング音については、静かなパンタグラフタイプであればほとんど気にならなくなりますが、クリック感の強いメカニカルキーボードの音を完全に消すのは難しく、カフェでも人のざわめきを消すまではいきません。
「EarFun Air Pro 4i」の ANC モードは、専用アプリから以下の 4 種類を選択できます。
- ディープ ANC モード: 最も強力なノイズ低減モードです。
- バランス ANC モード: 圧迫感を抑えつつ、快適で強力なノイズキャンセリングを提供します。
- AI 適応型 ANC モード: 周囲の騒音レベルに合わせて、ノイズ低減の強さを自動で調整します。
- ウィンドカット ANC モード: 風の強い環境で発生しやすい風切り音を低減します。
ちなみに「EarFun Air Pro 4」には、AI 聴覚適用型 ANC モードがありましたが、「Air Pro 4i」には搭載されていませんでした。
個人的には、「ディープ ANC」でも圧迫感が強すぎると感じることはなかったため、基本的にはこのモードで十分だと感じました。もし違和感があれば「バランス ANC」や「AI 適応型 ANC」に切り替えるほうが無難です。
一方、モードの切り替え操作は「ANC → 外音取り込み → ノーマル → ANC」という順番でローテーションする仕様です。アプリで細かくカスタマイズできるだけに、「ANC と外音取り込みのみ」といったように、切り替えるモードを選択できる機能があれば、さらに使いやすくなると感じました。
マイク性能
マイクは左右に 3 基ずつ、合計 6 基搭載されており、AI による通話ノイズキャンセリングに対応しています。
実際に通話やマイクテストをしたところ、静かな環境での通話品質は、声がクリアに相手に届き、特に問題はありませんでした。
しかし、カフェなど少し騒がしい環境では、周囲の雑音はある程度抑えられますが、ノイズ抑制の影響か、こちらの声が途切れるように聞こえることがありました。そのため、騒がしい場所での通話やオンライン会議などには不向きかもしれません。
以下は実際に、自宅とカフェでスマートフォン(Pixel 9 Pro Fold) に Bluetooth 接続して録音した音声サンプルです。
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間は、ANC オンの状態でイヤホン単体最大 6.5 時間、充電ケース込みで最大 27 時間です。実際に 3〜4 時間連続で使用(YouTube と DAZN で動画視聴)してもバッテリーが切れることはなく、1日に 2〜3 時間程度の通勤や通学で利用する場合、ケースでの充電を併用すれば平日中は十分持つと思います。
ワイヤレス充電に対応しているため、対応の充電器があればデスクなどで使わないときに置いておくだけで充電できる手軽さも魅力です。
専用アプリ「EarFun Audio」
「EarFun Audio」アプリを利用することで、イヤホンの各種設定をカスタマイズできます。Google アカウントなどでログインもできますが、アカウントを作成しなくても利用可能です。

アプリでは、前述の ANC モードの切り替えのほか、イコライザーの選択・カスタマイズ、ゲームモードや 3D サウンド (シアターモード) のオン/オフ、タッチ操作の割り当て変更などが可能です。機能が非常に充実しており、ユーザーの好みに合わせて細かく設定できる点は高く評価できます。
メリットとデメリット
これまでの内容を踏まえ、「EarFun Air Pro 4i」のメリットとデメリットをまとめます。
まとめ
「EarFun Air Pro 4i」は、1 万円以下という価格帯でありながら、強力なノイズキャンセリング性能、バランスの取れた高音質、そしてワイヤレス充電やマルチポイント接続といった便利な機能を高いレベルで実現した、非常にコストパフォーマンスに優れたワイヤレスイヤホンです。
マイク性能や着脱検知機能の有無など、上位モデルと比較するといくつかの妥協点はありますが、それらを考慮しても、日常的な使用における満足度は非常に高い一台でした。
特に、初めてアクティブノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを試してみたい方や、手頃な価格で多機能なモデルを探している方には、有力な選択肢になります。
一方で、「EarFun Air Pro 4」とどちらを選ぶかですが、筆者としては「Air Pro 4」の機能を使い切れないと感じる場合やそもそも違いがよく分からないという方には、より手頃な「EarFun Air Pro 4i」でも十分だと思います。