今回の記事では、ASUS JAPANが2023年7月19日に発表、7月21日(金)より販売を開始したゲーミングスマートフォンの新モデル「ASUS ROG Phone 7」の実機レビューをお届けします。
「ROG Phone 7」シリーズは海外市場で4月13日に発表されており、昨年のモデルから性能面・機能面、特に冷却技術が強化されたハイエンドゲーミングスマートフォンです。今回も「ROG Phone 7」だけでなく背面にアニメーションを表示できるROG Visionを搭載した「ROG Phone 7 Ultimate」もラインナップされています。「ROG Phone 7 Ultimate」は選択できるRAM/ストレージ容量と背面デザイン、付属品が「ROG Phone 7」と異なります。
なお、このレビューではベーシックな「ROG Phone 7」の実機を使用しており、メーカーより実機の貸出を受けて記事を執筆しています。
デザイン
「ASUS ROG Phone 7」は165Hzリフレッシュレート、タッチサンプリングレート720Hz、応答速度1msに対応した6.78インチ AMOLEDディスプレイを搭載しています。最大輝度は1,500nitsと非常に明るく高色彩・高精度のため、滑らかなだけでなくしっかりとした色の違いを見ることができます。
高リフレッシュレートのためスクロールやスワイプ操作もスムーズに動き、色に関しても画像・動画を見る限りかなり高精細でキレイに見ることができます。また、ディスプレイには指紋センサが内蔵されており、こちらも反応は正確かつスムーズで不満に思うことは特にありませんでした。
ディスプレイの上下ベゼルは左右に比べてやや幅がありますが、横向きで持ったときに手のひらで間違って触れてしまわないような絶妙な幅感となっています。また上ベゼル部分にはフロントカメラと通知LEDが配置されています。
最近のハイエンドモデルは通知LEDがないことが多いですが、これがあることで通知の有無や充電ができているかどうかも確認しやすいため便利です
本体側面には、右側面(長辺)にボリュームボタンと電源ボタン、下側面(短辺)にUSB-Cポートと3.5mm コンボジャック、左側面にはもう1つのUSB-Cポートと専用アクセサリとのピンコネクタが備わっています。
短辺と長辺にUSB-Cポートがあることが「ROG Phone 7 / 7 Ultimate」の特長ですが、それぞれで規格が異なっています。短辺(下側面)にあるCポートはUSB 2.0で一般的なスマートフォンと違いはありませんが、長辺(左側面)にあるCポートはUSB 3.2となっていて、ゲーミングアクセサリーはこちらに取り付けることになります。
どちらもUSB PD(Power Delivery) 3.0とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力に対応しています。長辺側からも充電できることで横持ち状態でゲームしながら、あるいは動画を見ているときにケーブルが邪魔になりません。
そしても一つの特長は、電源ボタン等がある側の左右両端に超音波センサーのAirTriggerが搭載されています。
このAirTriggerは、カスタマイズすることで物理ボタンのように使うことができ、横持ちしたときにゲームコントローラーのLRボタンのようにしたり、予めプリセットされている9つの動作(うち1つはシングタップ)を割り当てることによってマクロボタンのような扱いにすることも可能です。さらにタップだけでなくスワイプ・スライドなどを使い分けることもできます。
また、縦持ち時には”握る”という動作で特定の機能やアプリの起動など2つの設定(軽く・強く)をできるため、縦・横どちらでも活用ができることもポイントです。これによりゲームだけでなく日常使用における実用性もあり、AirTriggerの活用の幅は広いと思います。
「ROG Phone 7」の背面パネルはツートンカラーを採用しており、光るAuraグローとROGのロゴを光らせるAuraライトが搭載されています。
このうちAuraグローは光の色を変更することができ、ROGのロゴ部分のAuraライトは色だけでくグラデーション表示などパターンを変更することもできます。また、常時点灯させたり通知に合わせて点灯させることもでき、デザインだけでなく実用性も兼ねています。ちなみに「ROG Phone 7 Ultimate」のROG Visionなら、アニメーションやテキストを表示するなど自由にカスタマイズすることができます。
搭載されているリアカメラは50MPメイン、13MP超広角、5MPのトリプル構成となっており、前モデルから大きな変更はありませんが、日常生活におけるちょっとした写真撮影や動画撮影であればまず問題はありません。
実際にカメラで簡単に撮影してみましたが、よほどこだわりが無い限りは十分キレイに撮影できるかと思います。ある程度の明るさがあれば問題ありません。
「ASUS ROG Phone」シリーズを選ぶユーザーはカメラなどよりも、その性能と機能とアクセサリによる拡張性をより重視していると思いますが、カメラもハイスペックモデルらしいレベルだと思います。
使用感
実際にいくつかのゲームをプレイしたり、普段使いとして数日間使用してみましたが、動作感・使い勝手ともハイエンドゲーミングスマートフォンとして申し分ありません。ライトゲーマーなら十分過ぎるレベルですし、ヘビーゲーマーでも満足の行く性能だと思います。
また、「ROG Phone 7」シリーズにもゲームプレイ時のパフォーマンスを高めるため統合管理アプリ「Armoury Crate」が搭載されています。このアプリを使って、背面のライトを変更したりゲームパフォーマンスの設定を行うことができます。
なお、ゲームプレイ中にはディスプレイ左上から右下に向けてスワイプすることで、パフォーマンス設定やCPU/GPU使用率リアルモニタリング、マクロやAirTriggerの設定変更などを行うことができる”Game Genie”をオーバーレイ表示させることもできます。
ゲーミングスマートフォンとして初めてIP54防水・防塵に対応するなど、ゲームだけでなく日常生活で使用のためのハイエンドスマートフォンとしても申し分はありません。あとは本体オーディオの音も良く、低い音もしっかり出ているためゲーム内BGMを聞いたり、音楽を聞くにも十分です。ハイレゾ音源にも対応している点もGood。
使ってみた中では、ネックになるとすれば「ROG Phone 7」シリーズもFelica/おさいふケータイには非対応という点でスマートフォンでSuicaやQuickpayなどの電子マネー決済を使っている人は不便に感じるかもしれません。とは言え、過去のモデルと同じくNFC(A/B)は搭載されているためVISA/Mastercardのタッチ決済は使えますし、Suicaであれば対応するスマートウォッチを使えば解決するので大きな欠点とまでは言えません。
「ROG Phone 7」はハードウェアだけでなくソフトウェア側も、スマートフォンでゲームを快適にプレイするための機能が詰め込まれており、日常生活での使いやすさも兼ね備えているため総じてバランス良くまとまっているという印象です。
スペック&価格
最後に「ROG Phone 7」および「ROG Phone 7 Ultimate」のスペックと価格です。
ROG Phone 7 | RPG Phone 7 Ultimate | |
OS | ROG UI based Android 13 | ROG UI based Android 13 |
ディスプレイ | 6.78インチ AMOLED 2,448×1,080 165Hz | 6.78インチ AMOLED 2,448×1,080 165Hz |
CPU | Snapdragpn 8 Gen 2 | Snapdragpn 8 Gen 2 |
RAM | 12GB 16GB | 16GB |
内部ストレージ | 256GB 512GB ※UFS4.0 | 512GB ※UFS4.0 |
外部ストレージ | – | – |
リアカメラ | 50MPメイン 13MP超広角 5MPマクロ | 50MPメイン 13MP超広角 5MPマクロ |
フロントカメラ | 32MP | 32MP |
ネットワーク | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.3 NFC | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.3 NFC |
ポート | [下部] USB-C (2.0) ×1 [左側面] USB-C (3.1) ×1 3.5mm combo jack | [下部] USB-C (2.0) ×1 [左側面] USB-C (3.1) ×1 3.5mm combo jack |
バッテリー | 6,000mAh 65W高速充電 | 6,000mAh 65W高速充電 |
その他 | 画面下指紋センサ AirTrigger 超音波センサ IP54 防水・防塵 Hi-Res / Wireless 対応 | 画面下指紋センサ AirTrigger 超音波センサ IP54 防水・防塵 Hi-Res / Wireless 対応 ROG Vision AeroActive Portal |
サイズ | 173×77×10.3mm | 173×77×10.3mm |
重さ | 239g | 246g |
カラー | ファントムブラック ストームホワイト | ストームホワイト |
付属品 | Aero Case | Aero Case AeroActive Cooler 7 トラベルポーチ |
価格 | 12GB/256GB : 129,800円 16GB/512GB : 149,800円 | 179,800円 |
両者のディスプレイ、CPUなどを含めてほとんどの性能が共通しており、「ROG Phone 7」は12GBRAM/256GBストレージモデルと16GBRAM/512GBストレージの2モデルを選べ、カラーもBlackとWhiteがありますが、「ROG Phone 7 Ultimate」は16GBRAM/512GBストレージのホワイト1モデルのみとなっています。
主な違いは背面のデザインとROG Vision、AeroActive Portalの有無となります。また、「ROG Phone 7 Ultimate」には専用クーラーアクセサリー「AeroActive Cooler」とトラベルポーチが同梱されています。
前モデル「ROG Phone 6」と比較しても、ベースとなる「ROG Phone 7」は値上げされずに据え置きですし、「ROG Phone 7 Ultimate」も「6 Pro」からRAM容量が抑えられたもののアクセサリが同梱されているため、ほぼ変わらずの価格で購入できます。
「ROG Phone 7」と「ROG Phone 7 Ultimate」のどちらを選ぶかは、背面のカスタマイズをしたいかどうかと発熱をどこまで気にする&負荷を減らしたいかによります。筆者としては、ゲームプレイ時間がそこまで長いわけではないため、コストが抑えられるベースの「ROG Phone 7」がおすすめです。長時間プレイすることがわかっているのであれば、AeroActive Cooler付きの「ROG Phone 7 Ultimate」のほうが良いでしょう。
まとめ
「ROG Phone 7」はゲーミングスマートフォンとしてだけでなくハイエンドスマートフォンとしてもバランス良くまとまっており、価格も昨年から大きな変化はなくいい具合になっていると思います。
スマートフォンでゲームをプレイすることが多いユーザーで、快適な性能と安定したプレイ環境、より快適にプレイするためのアクセサリーも必要と考えているのであれば「ASUS ROG Phone 7」はオススメの1台です。