「ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)」は、2021年11月26日にASUS JAPANが国内販売を開始した、インテル第11世代のCore i5-1130G7を採用する14インチのコンバーチブルタイプChromebookです。
10月末頃にしれっと海外のASUS公式サイトに掲載されていたので紹介していますが、そこから1ヶ月程度で国内投入となりましたので、機種の存在を知らなかった人もいると思います。
今回も実機を触る機会を得ましたので、「ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400FMA-E10014)」の実機レビューをまとめていきたいと思います。
スペック
まずは「ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400FMA-E10014)」のスペックを紹介しておきます。
ディスプレイ | 14インチ グレア 1,920 × 1,080 250nits |
CPU | Core i5-1130G7 |
RAM | 8GB |
内部ストレージ | 128GB NVMe |
外部ストレージ | microSD |
Webカメラ | 720p プライバシーシャッター |
アウトカメラ | 5MP |
ポート | USB-C ×2 USB-A ×2 3.5mmジャック |
ネットワーク | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.1 |
バッテリー | 最大11時間 |
サイズ | 325×219.8×1.99mm |
重さ | 1.72kg (実測 1,710g) |
その他 | 日本語配列 キーボードバックライト 本体収納式USIスタイラスペン MIL-STD 810H 準拠 |
自動更新ポリシー | 2029年6月 |
公式価格(税込) | 99,800円 |
14インチのフルHD、IPS方式でグレアのディスプレイを採用し、コンバーチブルタイプのためタッチ操作対応、USIペンもサポート、Webカメラだけでなくキーボード側にも5MPのアウトカメラを備えています。
8GBRAMと128GB NVMe PCIeストレージを搭載し、CPUはインテル第11世代のCore i5-1130G7で、省電力のためファンレス仕様のハイスペックChromebookとなっている点が特長です。
USB-CとAポートも左右に1つずつあり、Wi-Fi 6とBluetooth 5.1、米国軍の堅牢性規格MIL-STD 810Hにも準拠しており、普段使いのChromebookとしては十分過ぎる性能を有しています。
ベンチマーク
ここで実機で測定したベンチマークスコアを先に紹介しておきます。
まずお馴染みのGeekbenchで測定したスコアで、すべて手持ちの実機(過去含め)を使って測定したデータで、上から順に下記モデルを使用しています。
- Core i5-1130G7 : ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)
- Core i5-10210U : Acer Chromebook Spin 713(CP713)
- Core i7-10510U : HP Chromebook x360 13c
- Core i3-1115G7 : 富士通 FMV Chromebook 14F
- Core i5-1135G7 : ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500 / C536)
シングルコアは第10世代よりも改善していて、第11世代のファン搭載モデルと大きな違いはありませんが、マルチコアスコアでは第10世代も含めて低いことが気になります。
CeleronやPentiumモデルよりも上とは言えますが、一般的なイメージの”Core i5″としてみると、やや物足りない印象を受けるかもしれません。
ただChromebookとしてみればハイスペックである点に違いはないため、性能よりも静音性を重視する場合にはファンレス仕様のCore i5-1130G7を検討することも悪くはないと思います。
同機種の順で、Octane、JetStream2、Speedometerのいつものベンチマークも測定しておきました。
Octane | JetStream2 | Speerometer | |
Core i5-1130G7 | 37,044 | 132 | 131 |
Core i5-10210U | 36,231 | 108 | 109 |
Core i7-10510U | 50,497 | 135 | 139 |
Core i3-1115G7 | 57,793 | 150 | 182 |
Core i5-1135G7 | 60,691 | 163 | 171 |
OctaneとJetStream2のスコアは、第10世代のCore i5と同程度になっていますが、同じ第11世代と比べるとCore i3とも大きな差ができています。
他のスコアも少々振るわない印象ですが、ベンチマークスコアですべてが決まるわけではありませんので、参考程度にとどめておいてください。
とは言え、価格も含めて考えると物足りない印象であることは否めません。
実機レビュー
では外観チェックから始めます。
外観チェック
まずは外観ですが、天板部分はツルッとした表面で安っぽさは感じません。しかし、底面部分はややプラスチック感が強く、触ってみるとそれを特に感じてしまいます。
ただヒンジ部分もプラスチックになっていますが、こちらはかなりしっかりとしているため不安に感じたり気になることはありませんでした。
ちなみに天板も指をかけやすいように段差を設けてあるので開きやすいですが、ヒンジがしっかりとしすぎているので片手で天板を開くことはできません。
天板を90度以上に開いていくと、キーボード部分が持ち上がって角度が付くエルゴリフトヒンジを採用しているため、タイピングしやすい傾斜がつく点は良いと思います。
また360度回転可能なため、テントモードやタブレットモードの利用も可能です。
ただ、14インチというサイズに加えて1.72kgという重さがネックになるため、タブレットモードにして持ち続けたり、立った状態で長めの時間使うのは厳しいと思います。
続いて本体の側面部ですが、左側面にUSIペンの収納場所、USB-C、A、microSDカードスロット、イヤホンジャックがあり、右側面にはUSB-CとA、ボリュームボタンと電源ボタンがあります。
そう、この「ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)」には充電式のUSIペンが本体収納されている点が特長です。
ペンは充電式ですが、15秒間で最大45分利用可能であり、4,096段階の筆圧検知とメモやノートを取るには十分なものとなっています。普段からペンを使うユーザーにも良いと思いますが、必要になることがたまにあるけど、普段から意識して持ち運ぶほどではないといったユーザーには良いと思います。
キーボードとトラックパッドとアウトカメラ
キー配列は日本語配列で、英語配列の位置をそのまま日本語配列向けに変更した、ASUSのChromebookでは一般的になりつつあるスタイルです。
エンター周りも幅を確保するために工夫されていますが、バックスペースが窮屈である点などが気になります。最近、このレイアウトのパターンが多いので慣れていれば気にならないのかもしれません。
キーの打鍵感はやや固めで、しっかりと押している感覚を得られるため、クリッキーな感じが好みであれば悪くはないと思います。個人的には固すぎず柔らかすぎず好みです。
ちなみにバックライトを搭載しているので、薄暗い場所などでは活躍しますが、グレーのキートップに白文字なので、明るさがある程度あるときにバックライトがついていると若干見えづらいです。
トラックパッドは反応もよく、押し込んだときも柔らかすぎずしっかりとしていて、とくに気になる点はありませんでした。
なお、「ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)」にはキーボードのパームレスト部分に5MPのアウトカメラが搭載されています。
さすがにキレイな写真撮影をするには向きませんが、オートフォーカスなのでメモ代わりの撮影や仕事・授業等で使う程度なら問題なく使えると思います。
ディスプレイ
「ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)」のディスプレイはグレア液晶である点は好みが分かれるかもしれませんが、IPS方式を採用しているため色味もはっきりとしていて見やすく、角度がズレても見やすいので実用的です。
14インチでフルHDのため、普段使いでも仕事でも問題なく使うことのできるスタンダードなものですが、明るさを最大にしてもやや暗めな印象を受けました。なので、屋内での使用ならさほど気にならないかもしれませんが外で使うことが多いユーザーは注意してください。
ちなみに「ASUS Chromebook CX3」のWebカメラには、スライドさせてカメラを隠せるシャッターがついています。
自宅や職場などで思わぬ映り込みを避けることができるので、プライバシーを(物理的にも)守りたい人にはありがたい機能です。
実際の使用感
ここ数日間、「ASUS Chromebook CX3(CX3400)」を活用してますが、性能面ではさすがハイスペックなインテル第11世代のCore i5だと思います。またファンレスなので静かなこともメリットです。
基本的にクラウドベースの作業を中心に行っていますが、動作面で不満になることは特にありませんでした。
全体的にソツなくこなせるモデルだと思いますが、やはり14インチクラスで重さが1.71kg(実測)あるというのは持ち運ぶには辛いと感じ、日常的にChromebookを持って移動する、特に徒歩や電車の場合だとおすすめはしづらいです。
一方で、部屋の中を移動する程度だったり、一つの場所に置いて使うことが多いのであれば重さは問題になりにくいので、どちらかといえば自宅や職場に置きっぱなしで使うことを考えているユーザー向けのChromebookです。
スタイラスペンも内蔵されているため、メモやノート、書類への書き込みが必要になった際にもこれ1台で対応できるので、置いてあると安心できるChromebookだと思います。
全体的に悪いモデルではないと思うのですが、やはり問題となるのは99,800円(税込)という価格だと思います。
インテル第11世代のCore i5を搭載するとは言え省電力となったCore i5-1130G7ですし、指紋センサなどのプラスアルファの機能もなく、堅牢性を有しているとは言え1.71kgと重たいことなどを考えると、どうしても高価な印象を受けます。
例えば、同じASUSであれば15.6インチにテンキー、i5-1135G7を採用した「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」は価格も大きな違いはありません。
他メーカーのモデルでも、同価格帯で近い性能を持ち、指紋センサなどプラスアルファを搭載したモデルがいくつか存在していますので、そういったモデルと比べてしまうと厳しいというのが正直な感想です。もし、指紋センサなどプラスアルファがあったとしたら、あるいはもう少し価格が控えめだったとしたら良かっただろうと思います。
まとめ
ということで、今回は「ASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)」のレビューでした。
機種自体は悪いわけではないですが、サイズ感と重さ、価格の高さがネックとなって、ライバル達と比べてしまうと物足りない印象を受けてしまいました。
とは言え、国内では14インチでコンバーチブル、MILスペックとハイスペック、本体収納式USIペンという組み合わせのモデルはないため、そこに魅力を感じるのであれば検討してみる価値はあるかと思います。