今回の記事では、日本国内で最大級となる教育分野向け展示会 EDIX(教育 総合展)の東京2023 に参加したレポートをお届けしていきます。
視点は教育関係者ではなくいちユーザーとなりますが、Chromebookはもちろん教育向けならではの製品、企業でも使えそうなサービスやデバイスが様々展示されていますので、見応えがありました。
ただ、一人では回れるエリアに限界があったことと、当ブログ的にはデバイスをピックアップして紹介していきますのでその点はご了承ください。
Chromebook 関連
まず最初にGoogleブースから。ここでは2箇所でミニセミナーやセッションなどが時間ごとに行われていました。
例えば、ミニセミナーではChromebookメーカーの担当者が、児童生徒と教員向けにおすすめのChromebookを紹介しており、紹介されたChromebookを隣のハンズオンコーナーで試すことができるようになっていました。
昨年は各メーカーごとに担当者が付いていたように思いますが、今回はそれぞれの機種がテーブルにぐるっと置かれている感じで、気軽に触ることができるように。
ここで紹介されているモデルは限られていましたが、GIGAで導入されているChromebookだけでなく、リリースされたばかりのモデルやハイエンドモデルも展示されていました。
中でも珍しいモデルは法人向けにもリリースされている「HP Elite Draonfly Chromebook」と「DELL Latitude 5430 Chromebook」、先月アップグレードモデルが発表されたばかりの「Acer Chromebook Spin 513」でした。
これらのモデルは生徒というよりも教員向けの意味合いが強く、校務と授業の両方を1台で賄うためによりハイエンドなChromebookを求めているのであれば検討する価値は間違いなくあります。
ちなみに今回の展示会では、古くから国内でChromebookをリリースしているASUSがEDIXでは初の単独出展を行っており、そのブース内で2023年5月12日に発表したばかりの「ASUS Chromebox 5」の実機も展示。
さらにひっそりと、間違いなく名機であった10.1インチのコンパクト・軽量モデル「ASUS Chromebook C100PA / C101PA」が飾られていました。昔からChromebookを使っていた人はきっと懐かしいと思うはず。
いろいろな場所でミニセミナーが行われていたためすべてを追うことはできませんが、Google関連で言えば、例えばGoogle Workspace (for Educationを含め)の活用や事例なども多数紹介されていました。10Xでお馴染みの平塚さんもミニセミナーを行っていました。
ちなみにこのセミナーはTD SYNNEXブースで行われたものですが、TD SYNNEXでは「教育のデジタル化に向けたICTの最適解」というものを図式化して表現していました。
この図では、2030年に向けて年ごと起きるであろうトレンドに対して、どのような支援・ソリューションが必要になるかを示しています。一応、来場者に配布というスタイルでしたのでここでは写真撮影したパネルのみを掲載しておきます。
教育業界はGIGAによって強制的に(良い意味で)デジタル化の波に乗せられたことで、これまでの遅れを一気に取り戻さん勢いで進んでいます。そのため、企業側もそれを追い越すくらいのレベルで気合を入れないと、数年後にはデジタルを活用して共同作業をすることに慣れた新入社員が入ってきたら、冗談抜きでやっていけない可能性が高いです(お互いに)。混乱するのは目に見えるので、対岸の火事ではなく自分ごととして考えたほうが良いでしょう。本当に。
ChromeOS Flex 関連
Googleブースに戻りますが、古いWindows PCなどを復活させるために活用できるフリーのOSとなるChromeOS Flexを実際の機種にインストールしたものを展示していました。
ここでは「Microsoft Surface Pro 3」や「Dynabook K50」、「ARROWS Tab Q508」といった古いモデルやエントリークラスのモデルがChromeOS Flexになって展示されていました。以前から展示をしていますが、回を追うごとに攻めたラインナップになっている気がします。
ChromeOS Flexを使うことで、古いPCや低スペックのモデルでもChromeOSに入れ替えて使うことができるため、個人だけでなく学校や企業でも利用する価値はあります。
ChromeOSで動作するため、学校や企業であればChrome Enterprise Upgrade や Education Upgrade ライセンスを導入することで管理対象のデバイスにすることもできます。眠っているデバイスを有効活用することができますので、まずはChromeOS Flexを一部に導入して、実用できるのであればChromebookという流れも十分ありですね。
さつき の MIRAI TOUCH
ChromeOS Flex 繋がりで紹介すると、以前実機を紹介しているさつき株式会社のChromeOS Flex搭載電子黒板「MIRAI TOUCH」も大々的にブースを出していました。
さらに前回紹介したモデルから新しいモデルと、電子黒板「MIRAI TOUCH」やブラウザなどから操作できる「MIRAI CLOCK」という丸時計のような円形スクリーンデバイス、サイネージなどにも使える縦型ミラースクリーンなども展示されていました。
新モデルはこれまでよりも性能が向上したことで、動作感や操作性がよりスムーズになり、書画カメラに光学ズーム機能搭載、8アレイマイクが内蔵され上向きスピーカーも追加されているなど、様々な改善と機能追加が行われています。
特にMIRAI CLOCKは、時計を表示しておくだけでなく電子黒板などホスト側から様々な操作をすることで様々な内容を表示することができ、活用の幅はとても広いと思います。デモでは地震アラートや学校行事の通知、時計表示などを行っていました。学校だけでなく企業などでも役立つデバイスだと思います。
周辺機器
続いて会場を歩いていて気になった周辺機器をピックアップしていきます。今回は本業の情報収集も兼ねていたのでやや偏りがあります。
エレコム
まずはエレコムが、EDIX中にプレスリリースを流していた子供向け学習用キーボード「キーパレット」です。産学連携プロジェクトから生まれた「キーパレット」は、誤入力や操作ミスによる混乱、不慣れなキーボード操作で学習が進まない、なくしたり壊すといった問題を解決するための製品としてリリースされました。
エリアごとに色分けされていて正しい指の位置を覚えやすく、子どもの小さな手でも押しやすく、感覚や重さ、キートップと凹みなどにもこだわりがあります。また入力した文字とキーの文字がわかりやすくキーは小文字印字、アルファベットなどのよみがなシール、憎きCaps Lock機能(主観です)を無効化するスイッチなども備わっています。
なお、このモデルには有線モデルとワイヤレスモデルがあり、さらにWindows/Chromebook用とMac/iPad用の2種類があるため、合計4機種となっています。公式ストア以外にもAmazonなどで購入が可能となっていますので、興味のある人はチェックしてみてください。
Gumdrop (ガムドロップ)
学習端末用の耐衝撃ハードケースであるアメリカの「Gumdrop」製品もTD SYNNEXブース内で紹介されていました。MILスペックなどを備えるChromebookなどの上にさらにハードケースを重ねることで、端末の破損をさらに防ぐことができます。
Chromebook本体に簡単に装着でき、テントやタブレットモードにも対応、ボタンや本体収納式スタイラスペンの出し入れを邪魔しない作りになっていることも特長です。GIGAで導入されている11.6インチモデルを中心に取り揃えています。
Jabra
筆者が愛用するJabraも教育向けのWeb会議システムやヘッドセットで出展していました。つい先日購入した「Jabra Evolve2 65 Flex」も展示されていたほか、手頃な価格帯の業務用ヘッドセットや業務用スピーカー・マイクの新製品なども展示されていました。
Jabra のヘッドセットは愛用しているように、高品質なマイクと音質で仕事用として申し分のない機種が多くなっています。筆者はこの手の業務用を検討するときには真っ先にJabraですね。
余談ですが、いろいろと話を聞いたところ社内でも「Jabra Evolve2 65 Flex」が想像以上に良いと評判のようです。あと「Evolve2 Buds」は先日のアップデートによってヒアスルーモードが改善したため、音楽を聞くデバイスとして一気にお勧めになったとか。
Poly
そんなJabraの対抗馬となる、昨年秋頃にHPが買収したPolyもZoom内ブースで出展していました。Polyもビデオ会議ソリューション等を手掛けており、テレワークやオフィスワーク向けとして様々な製品を展示していました。
ここで気になったのは、3〜4人程度がオープンスペースで会議に参加するときに使いたいWebカメラとスピーカー&マイクが一体型になっているモデル「Poly Studio R30」でした。このモデルは4Kに120度広角WebカメラとAIノイズキャンセリング機能、さらにAcoustic Fenceと呼ばれる機能によって、画面に写っているユーザー以外の音を極力カットすることができます。そのためオープンオフィスや開けた場所での会議でも周りの音や話声を広いにくくなるという優れものです。
なお、ほとんどのデバイスがTeamsとZoom、Google Meetの認定を取得しています。接続はChromebookでも問題ありませんが、一部機能の設定などは専用のアプリケーションを使う必要があります。
サンワサプライ
PC周辺機器でお馴染みのサンワサプライでは、Chromebookやタブレット、スマートフォンを収納するためのラックや、セミクローズ型ワークブースなどが展示されていました。
気になったのは組み立てで設置できるワークブースで、周囲の騒音をシャットアウトしつつ集中できる場所を簡単に作ることができます。
企業やオープンスペースでの導入や大学の図書館などにある視聴覚スペースとかにも置いてあると便利そうです。ただ、この手のブースの例に漏れずかなり暑くなるらしいので、空調の真下など設置場所はよく考える必要があります。
WICUE
直接はEDIXに関係なかったりしますが、展示会でひっそりと置いてあったのが周囲の明るさによって自動で調光するWICUE(ウィキュー)のサングラスです。
すでに家電量販店や一部眼鏡店でも取り扱いがあるためご存知の人もいると思いますが、このサングラスは日差しの強さや明るさに合わせて自動的にレンズの透過率と濃度が無段階で切り替わっていきます。しかも一瞬(約0.1秒)で変化していくため、待ち時間や煩わしさがありません。太陽電池を搭載しているため充電する必要もないというメリットもあります。この他にはUVカット99%であったり
筆者は車で走ることが趣味だったりもするので、ドライブ中には間違いなく便利だと確信しています。なので、欲しくなりました。
なお、展示では自動調光だけでなく手動でスライドさせて調光するタイプのサングラスもありました。
Fitbit
こちらも直接EDIXとは関係ありませんが、隣の会場で行われていた別の展示会で電算システムとともにFitbitが展示していました。大雑把に言えば、従業員向けの健康管理にFitbitデバイスを用いて、Fitbit APIを経由してGoogleのサービスを使い、健康状態の把握や分析をするといったことを検討しているようです。
以前、Fitbitのイベントでも同様に社員の健康管理のためにFitbitを用いているというケースが紹介されていましたので、日本でもこういったデバイスとサービスを使った健康状態の把握や分析、改善といったことができるようになると面白いですね。ただ、個人情報が云々や監視されているといった不安はつきまとうので、ユーザー側がどこまで許可するかにもよりますが。
まとめ
ということで、この他にも様々なものを見て・聞いてきたんですが、なかなか情報量が多くまとめられないので、今回のレポートはここまで。
今回の展示会も、一般ユーザーが使うでも企業で使うでもなく、学校で子どもたちが使うという点で、様々な工夫や思いつかないアイデアの製品やサービスがあって新鮮でした。ただ、こうやってGoogleはじめ各社のブースをまわると、GIGAの影響によって子ども向けのほうが大人たちよりも一気にIT化が進んでいると感じます。また実際にクラウドを使ったコラボレーションを活用しているわけなので、大人たちもうかうかしていられないと思います。
冗談抜きにあと数年でこういったテクノロジーを活用できる子どもたちが社会に出てくるわけなので、企業側もしっかりと準備をして組織や仕組みを整えておくべきです。