Google は Android 17 において、ワイヤレスデバッグ機能の基盤を全面的に刷新した「ADB Wi-Fi 2.0」を導入し、Android 11 から続いていたワイヤレス ADB 接続の不安定さの問題を解消することを発表しました。
この詳細については、Google の ADB テックリードである Fabien Sanglard 氏が Android Makers のセッションで説明しています。
ADB Wi-Fi 1.0 が抱えていた問題
ADB (Android Debug Bridge) は、PC から Android デバイスを操作したり、アプリのログを確認したりするためのツールです。有線接続に加え、Android 11 からワイヤレス (Wi-Fi 経由) での接続に対応しています。
しかし、Mac 向けには Apple の mDNSResponder、Windows と Linux 向けには Chrome の Open Screen という、それぞれ別の大規模なサードパーティライブラリに依存していたため、ワイヤレス接続には問題がありました。
とくに Chrome の Open Screen ライブラリは Chromecast 向けに設計されたものであり、PC のスリープや Wi-Fi 環境の変化を想定していなかったため、ネットワーク接続が変わるたびにワイヤレスのスタック全体が切断され、ペアリングをやり直す必要があったことが課題でした。
ADB Wi-Fi 2.0 での変更点
ADB Wi-Fi 2.0 では、サードパーティ製ライブラリへの依存を廃止し、すべてのデスクトッププラットフォームでのネットワーク変化の監視を目的として専用開発された、約 4,000 行の Rust 製軽量ライブラリに移行しています。デバイス側でも、既存の Android プラットフォームスタックである NsdManager を活用する実装に変更されています。
信頼済みネットワークへの自動再接続
信頼済みネットワークに接続している状態であれば、離席や移動後に戻った際に ADB Wi-Fi 2.0 が自動で再接続を行い、手動でのペアリングやり直しが不要になります。
信頼済みネットワークの識別は、これまでの BSSID(MAC アドレス)のみの方式から、SSID と BSSID を組み合わせた方式に変更され、複数のアクセスポイントで構成されるネットワーク環境でも接続が正しく維持されるようになりました。
Android Studio のペアリング UI も刷新
Android Studio では、従来はネットワーク側でブロックされた場合に QR コードが表示されたまま止まるという問題がありましたが、新しい UI ではローカルネットワーク上で検出されたデバイスの一覧がリアルタイムで表示される形式になります。カスタム設定されたデバイス名も一覧内に表示されます。
Android 17 未満のデバイスへの対応
デバイス側で ADB Wi-Fi 2.0 が利用できるのは Android 17 以降ですが、PC 側 (ホスト側) については ADB 37.0.0 および最新の Android Studio に更新することで、Android 11 以降のデバイスでも一部の安定性向上が得られるとしています。
ADB Wi-Fi 2.0 のサポート状況は、デバイスでワイヤレスデバッグを有効にした後、PC のターミナルで adb mdns track-services --proto-text を実行し、出力に mdns_service_version: "2.0" が含まれているかどうかで確認できます。
ワイヤレスデバッグの信頼済みネットワークへの自動有効化については、以前より Android Canary ビルドでテストが報告されており、今回の ADB Wi-Fi 2.0 でその仕組みが正式に実装されました。







