Google は 2025 年 7 月 23 日(米国時間)、Chromebook などのサポートされる ChromeOS デバイスおよび ChromeOS Flex デバイスに向けて、ChromeOS 138 安定版のメジャーアップデートをリリースしました。このアップデートは今後数日かけて、順次展開される予定です。
今回のアップデートにより、Chrome ブラウザのバージョンは 137.0.7151.137 から 138.0.7204.163(プラットフォームバージョン: 138.16295.0)へと更新されます。
サポートされるほとんどのデバイスが更新されていますが、cros.tech でアップデートの状況を確認したところ、ASUS Chromebox 5 (CN67) や Acer Chromebox CXI5、Lenovo ThinkCentre M60q といった一部の Chromebox、Acer の一部の Chromebook が 137 のままとなっているようです。
記事執筆時点では、今回のアップデートのリリース告知とともに、セキュリティ修正についての記載がありましたが、アップデートで提供される新機能などの記載はありませんでした。
ただし、管理者向けリリースノートでは ChromeOS 138 で導入される新機能と変更点について記載されています。
ChromeOS 138 のアップデート内容
今回のアップデートで判明している内容は、主にセキュリティの修正です。 ChromeOS 本体と、内蔵されている Chrome ブラウザの両方で脆弱性が修正されています。
ChromeOS のセキュリティ修正
ChromeOS に関する脆弱性として、以下の内容が修正されました。
- CVE-2025-6044 (High): ロック画面が表示された後もスタイラスツールが表示され、ファイルにアクセスできてしまう問題。
Chrome ブラウザのセキュリティ修正
Chrome ブラウザに関する脆弱性として、主に以下の内容が修正されました。
- CVE-2025-7657 (High): WebRTC における解放済みメモリの使用 (Use after free)。
- CVE-2025-7656 (High): V8 (JavaScript エンジン) における整数オーバーフロー。
- CVE-2025-6558 (High): ANGLE および GPU における、信頼できない入力の不適切な検証。
- CVE-2025-6555 (Medium): Animation における解放済みメモリの使用 (Use after free)。
- CVE-2025-6556 (Low): Loader における不十分なポリシー適用。
ChromeOS 138 の新機能について
Google の公式リリースノートではセキュリティ修正のみが告知されていますが、管理者向けに公開されている別のリリースノートでは、ChromeOS 138 で導入される新機能や変更点について記載されています。
主な変更を抜粋すると、次のようなものが含まれています。
- [教育向け] Class Tools の導入
- ChromeOS の AI による「フリーフォーム」壁紙生成
- 「文書読解サポート」の新しい「簡略化」機能
- ChromeOS の「デスク同期」
- 一部のユーザー補助機能の問題を修正
- [管理者向け] 特定のシステム機能を無効化できる Disabled system features ポリシーの適用対象拡大
これらの新機能や変更点の詳細は こちらの記事 でもまとめています。
実際に確認できている機能
記事執筆時点で、筆者の Chromebook および Chromebook Plus で確認できている機能は、Plus 向けの「文書読解サポート」の「簡略化」機能のみです。
これ自体は ChromeOS 137 でもボタンは表示されていましたが、実際にはまだ機能していませんでした。

ChromeOS 138 では、テキストを選択して [簡略化] をクリックすると、選択した部分だけを分かりやすく要約(単純に短くまとめるのではなく、言い回しなども分かりやすくしてくれる)してくれます。

既存の [要約] ボタンは、Web ページや PDF 内など全体の文章を短くまとめる機能なので、挙動が少し異なります。
なお、この機能は個人の Google アカウントと Google Workspace アカウント(AI 利用を許可済み)の両方で確認しました。
未確認の機能
一方、確認できていない機能では、「フリーフォーム壁紙」、「デスク同期」の 2 つです。ユーザーやデバイスごとに展開ペースが異なる可能性や ChromeOS 138 のマイナーアップデートで利用できるようになる可能性もあるため、今後に期待です。
その他の機能
なお、ChromeOS 138 とは直接関係はありませんが、先日から ChromeOS に直接統合された「かこって検索」が一部ユーザーから展開され始めています。一部の AI 機能は Chromebook Plus のみでしか利用できませんが、「かこって検索」自体は Plus 以外の Chromebook でも使うことができますので、ぜひ試してみてください。
既知の問題について
現時点では、ChromeOS 137 の最終バージョンとなる 137.0.7151.137 および ChromeOS 138 へのメジャーアップデートに関連するバージョンでは、ユーザーに影響を与える大きな問題は発生していないようです。
IssueTracker や海外のコミュニティなどを確認してみましたが、ユーザーからの報告もまだありませんでした。ただ、リリースノートのバージョンが間違っているという指摘(ChromeOS 138 を示す M138 ではなく M136 と書かれており、ビルドも間違っている)はありました。
今後、問題などが発生した場合には X 等でお知らせしていきます。もし、問題に遭遇して一般的なトラブルシューティングでも解決できないときには、以下の手順で Google にフィードバックを送信してください。
- ChromeOS の [設定] > [ChromeOS について] > [フィードバックを送信]
まとめ
今回の ChromeOS 138 へのアップデートは、セキュリティの強化が中心となっています。特にロック画面に関連する脆弱性など、重要な修正が含まれているため、アップデートが利用可能になり次第、適用することをおすすめします。
アップデートはすべてのデバイスに同時に配信されるわけではなく、数日かけて順次展開されるため、まだ通知が届いていない場合でもしばらく待ってみてください。
管理されているデバイスの場合は、管理者がアップデートを制限している可能性もあるため、適宜確認をお願いします。
今後、公式からの新機能リリース告知や機能の確認、問題などを確認した場合には、お伝えしていきます。
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出典: Chrome Releases