Google は Android スマートフォンにおけるマルチタスクの操作性向上を目指し、以前からタブレット向けに提供しているタスクバー機能をスマートフォンにも導入しよう取り組んでいます。
現在も水面下で開発が進められており、今回は機能の改善と新機能が追加されていることが報告されました。
この報告は Android Authority によるもので、Google は公式なリリース日については依然として情報がないものの、スマートフォン向けのタスクバー機能の開発を続けており、最近の変更によって視覚的なバグの修正や、「最近使用したアプリのカルーセル」表示などが追加されているようです。
タブレット版タスクバーの利便性がスマートフォンに?
Android 12L 以降、タブレットや折りたたみ式デバイスなどの大画面デバイスには、画面下部にタスクバーが表示されるようになりました。これにより、アプリへの素早いアクセスや、常にタスクバーを表示する機能と一時表示の切り替えが可能になり、ユーザーは好みに合わせて利用方法を選択できます。

Google は昨年から、このタブレット版タスクバーをスマートフォンに適応させる開発を進めており、「小型タスクバー」として知られています。見た目や動作はタブレット版とほぼ同様ですが、スマートフォンの小さな画面に合わせて縮小されています。
最近のアップデートで新機能が追加
この機能が Android 16 で正式にリリースされるかは不明ですが、開発は継続的に行われており、最近のアップデートで以下の点が改善・追加されました。
- 視覚的な不具合の修正: 「小型タスクバー」有効時にナビゲーションハンドルが重複して表示される問題が修正されました。
- 最近使ったアプリのカルーセル表示: タスクバーに新しいボタンが追加され、直近で開いた 6 つのアプリがカルーセル形式で表示されるようになりました。これは、Android の Alt + Tab スイッチャーに似ていますが、カルーセルをタップで操作できる矢印が追加されている点や、概要メニュー全体にアクセスするためのボタンがない点が異なります。

なお、この最近使ったアプリのカルーセル表示は、現時点ではスマートフォン版タスクバー限定の機能であり、タブレット版には搭載されていません。これは、タブレット版タスクバーには既に直近で使用した 2 つのアプリが表示されるため、このカルーセル機能の必要性が低いと判断された可能性があります。
しかし、スマートフォン限定でこの機能が追加されたことは、Google が画面サイズの制約を認識し、より多くのタスクバー機能を小さなディスプレイに導入しようと様々な方法を検討している可能性が示唆されます。
現時点では開発途中のため課題も残る
現時点では、スマートフォン版タスクバーはまだ開発途中となっているため、主に次のような課題が残されているようです。
- 最近使ったアプリのカルーセル機能が部分的にしか動作しない: 現状では、カルーセルに最近使ったアプリが表示されるものの、タップしてもアプリが切り替わらない。
- レイアウトの問題: ホーム画面のグリッドサイズを 5×5 に設定すると、タスクバーが途切れてしまう問題が残っている。これは、タスクバーがホーム画面のドックと統合されており、その構成では 5 つのアプリを収めるための水平方向のスペースが不足しているためと推測。
Google がこれらの問題を解決できれば、「小型タスクバー」はスマートフォンのマルチタスク機能を大幅に向上させ、正式にリリースする可能性があります。
まとめ
Google は、バブル機能や分割スクリーンモードの改善にも取り組んでおり、Android スマートフォンのマルチタスクの操作性向上に注力していることは間違いありません。現在これらの機能をあまり活用していないユーザーも、機能がより充実すれば、その利便性を見直すことになるかもしれません。
ただ、スマートフォンの画面サイズには物理的な制約があるため、タブレットや PC のような本格的なマルチタスクによる生産性の大幅な向上を期待するのは、現時点では少し難しいかもしれません。
重要なのは、この新機能が「スマートフォンの限られた画面で、いかにストレスなくアプリを扱えるようにするか」という点にあると考えられます。例えば、頻繁にメッセージアプリを確認しながらブラウザで情報を検索したり、複数の SNS を素早く切り替えたりといったシーンでは、このタスクバーが大きな助けとなる可能性があります。
しかし、これも 2 つのアプリを行き来するだけであれば、ナビゲーションハンドルを左右にスワイプすることで移動できるので、タスクバーである必要はありません。しかし、3 つ以上のアプリを頻繁に切り替える場合や、起動したいアプリがドックにない場合には、タスクバーの一覧性が活きてくるかもしれません。
いずれにしても、この機能が最終的に実装されるかもわからない段階ですが、スマートフォンでもマルチタスクをしたいユーザーには歓迎すべき新機能になる可能性があります。