Google ウォレット、英国と米国でデジタル身分証明機能を拡大。日本での提供は未定

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Google は 2025 年 4 月 29 日、Google ウォレットに新たな機能を追加し、スマートフォンでの年齢や身元の証明をより安全かつ簡単に行えるようにすると発表しました。英国では ID パスが導入され、米国でのモバイル ID 対応州の拡大が含まれますが、現時点で日本での提供予定は発表されていません。

目次

英国での ID パス導入

英国の居住者は、自身の英国パスポートを使用してデジタル ID パスを作成し、Google ウォレットに安全に保管できるようになります。

発表時点では、Rail Delivery Group と提携し、鉄道利用者が railcard.co.uk 上で特定のレイルカード(割引証)の資格基準を満たしているかを確認する際に、このデジタル ID を利用できるようになります。将来的には、英国の科学・イノベーション・技術省(DSIT)が定めるデジタルアイデンティティ信頼フレームワーク内での認証取得を目指しており、実現すればアルコール購入時の年齢確認など、より多くの場面での利用が期待されます。

米国でのモバイル ID 拡大と利用用途

米国では、新たにアーカンソー州、モンタナ州、プエルトリコ、ウェストバージニア州の居住者が、州発行のデジタル ID(運転免許証など)を Google Wallet に保存できるようになります。

また、すでにモバイル ID に対応しているアリゾナ州、ジョージア州、メリーランド州、ニューメキシコ州では、車両管理局(DMV)での手続きにもモバイル ID を利用できるようになり、利便性の向上が図られます。

2025 年 5 月 7 日に迫る REAL ID(米国内の連邦基準に準拠した身分証明書)の施行期限に関連し、対応している空港では、米国パスポートから作成された ID パスを国内線の TSA(運輸保安庁)セキュリティチェックで使用できます。これは、REAL ID 対応の運転免許証や州発行 ID を持っていない場合でも利用可能です(英国パスポート由来の ID パスは現在対象外)。ただし、Google は ID パスが物理的な ID の完全な代替ではないため、必要に応じて物理 ID も携帯するよう注意喚起しています。

さらに、パートナー企業との連携により、以下のような利用場面が今後追加される予定です。

  • Amazon アカウントの復旧
  • CVS や Epic の MyChart を介したオンラインヘルスサービスへのアクセス
  • Uber などのプラットフォームでのプロフィール認証

プライバシーを重視した年齢確認技術

多くのオンラインサービスで必要とされる年齢確認において、Google はプライバシー保護を強化する技術を導入します。ゼロ知識証明(Zero Knowledge Proof, ZKP)と呼ばれる技術を Google ウォレットに統合することで、年齢確認を行ったという事実のみを証明し、具体的な生年月日などの個人情報や、確認行為自体を個人の身元に結びつけられないようにします。

これにより、ユーザーはプライバシーを保護しながら、すばやく年齢確認を完了できます。Google はこの ZKP 技術を他の自社サービスにも展開するほか、マッチングアプリの Bumble など、パートナーアプリでの活用も進めています。Bumble では、Google Wallet のデジタル ID による本人確認と、ZKP 技術による年齢確認を導入する予定です。

さらに Google は、この ZKP 実装をオープンソース化し、他のウォレットアプリやオンラインサービスでも利用できるようにすることで、より安全なデジタル環境の構築に貢献するとしています。

日本での提供について

今回の Google による発表では、英国と米国を中心とした機能展開が告知されました。現時点において、これらの新しいデジタル ID やモバイル ID 機能が日本で提供されるという情報はありません。 日本のユーザーがこれらの機能を利用できるようになるかは、今後の Google からの発表を待つ必要があります。

なお、日本国内でもマイナンバーカード機能のスマートフォン搭載が進められており、行政手続きのオンライン申請などで利用できる、独自のデジタル身分証明の仕組みが普及し始めています。マイナンバーカードは運転免許証との一体化など拡充が進む一方、スマートフォンへの機能搭載や利用場面の拡大はまだ発展段階であり、物理的なカードの携帯が必要となる場面も当面は残ると考えられます。

Google ウォレットの提供国拡大

上記の新機能とは別に、Google ウォレットアプリ自体は新たに 50 カ国で利用可能になります。これは、NFC によるタップ&ペイ(タッチ決済)機能がまだ広く普及していない国々も対象としており、これらの国でもデジタルパス(搭乗券、ポイントカード、イベントチケットなど)をアプリやウェブ上で表示・利用できるようになります。

まとめ

Google ウォレット は、デジタル ID 機能の導入により、物理的なカードを持ち歩く手間を減らし、より安全で便利な本人確認や年齢確認の方法を提供しようとしています。また、プライバシー保護に配慮した技術の導入や、アプリ自体の提供国拡大など、サービス全体の改善も進められています。

現時点では、英国と米国での展開が先行しており、日本を含むその他の地域での提供については不明ですが、いちユーザーとして非常に便利な機能になり得ると思いますので、今後の展開に期待したいですね。

出典: Google The Keyword

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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