Google Pixel スマートフォンは、カメラ性能や AI 機能に注力して改善が進められていますが、一方でディスプレイに関しては、画面のちらつきに関連する PWM (Pulse-Width Modulation) 調光の問題が一部のユーザーから指摘されていました。
今回、Google が Android Central に対してこの PWM 問題への対応を示唆し、次期フラッグシップスマートフォン「Pixel 10」シリーズでの改善が期待されます。
PWM 調光と Pixel の問題
OLED ディスプレイで画面の明るさを調整する方法の一つに PWM 調光があります。これは、画面を高速で点滅させ、点灯している時間の割合(パルス幅)を変えることで、人間の目には明るさが変わって見えるようにする技術です。
しかし、この点滅の周波数(PWM レート)が低いと、ちらつき(フリッカー)として知覚されやすくなり、一部のユーザーにとっては目の疲れ、頭痛、場合によっては吐き気などの原因となることがあります。PWM レートが高ければ高いほど、このちらつきは抑制され、目への負担が軽減されると考えられています。

これまで Google Pixel シリーズの PWM レートは、他社のデバイスと比較して低い傾向にあり、例えば、Pixel 8 Pro の PWM レートは 246Hz でした。一方で、同世代と言える Samsung Galaxy S24 シリーズは 492Hz、中国メーカーなどでは最大 3,840Hz を採用するデバイスもあり、ほとんどのデバイスが Pixel 8 Pro より高いレートを採用しています。
輝度や色の再現性といった点では高い評価を得てきた Pixel ですが、この PWM レートの低さは、一部のユーザーにとっては見過ごせない弱点といえました。
Pixel 10 での改善が期待
今回、Google の担当者は Android Central の取材に対し、PWM 問題について「我々のチームはこの問題を認識し、調査している」、「今年後半にアップデートが期待できる」とコメントしました。
これは、Google がこれまで公には触れてこなかった PWM 問題について、初めて公式に対応を示唆したことになります。コメントでは「Pixel 10」シリーズと明言されたわけではありませんが、タイミングとしては Pixel 10 シリーズでの改善が期待でき、少なくともディスプレイの品質とユーザーの健康への影響も考慮した改善に取り組む可能性は高いと思われます。
現時点では、Google がどのように改善するかは不明ですが、ソフトウェアによってフリッカー(ちらつき)を低減する機能を追加するか、ハードウェアを変更して PWM レートを向上させる可能性があります。あるいは、最近中国メーカーで採用が進んでいるハイブリッド調光(高輝度は DC 調光、低輝度は PWM 調光を組み合わせる)という可能性も考えられます。
まとめ
これまで Google は Pixel シリーズで多くの改善を実施し、ディスプレイについても同様でしたが、PWM 問題に関しては他メーカーより何歩か出遅れていました。しかし、今回の報告によって、これも改善することが期待できます。
実際に「Pixel 10」シリーズで改善されるかはわかりませんが、Google がこの取り組みを行うことは間違いありません。PWM 問題が改善されれば、長時間の利用でも目の疲れを感じづらくなるため、とくにスマートフォンの利用時間が多い日本のユーザーにとっては、Pixel を選ぶ 1 つの理由となるかもしれません。
Pixel 10 シリーズは、今年も 8 月頃に発表すると予想されていますので、今後数ヶ月の間にさらに詳しい情報が明らかになるはずです。
出典: Android Central