Google が、主力スマートフォン「Pixel」シリーズの生産体制に大きな変更を加える可能性が浮上しています。米国の関税政策への懸念から、これまで生産を拡大してきたベトナムからインドへ、特に米国市場向けの生産を移管することを検討していると報じられました。
この動きは、グローバルなサプライチェーンの再編が進む中で、今後の製品供給や価格にも影響を与える可能性があります。
背景:Pixel 生産拠点の変遷と新たな動き
Google は近年、地政学的リスクの分散やコスト削減のため、スマートフォンの主要な生産拠点だった中国への依存度を減らし、生産体制の多様化を進めてきました。その一環として、Pixel スマートフォンの生産は主にベトナム、そして部分的にインドへと移管されてきました。
しかし、インドの経済紙 The Economic Times が2025年4月22日付で報じた内容によると、Google はこの戦略をさらに推し進め、生産の一部をベトナムからインドへシフトさせることを検討しているとのことです。報道によれば、Google は過去数週間にわたり、インド国内の受託製造パートナーである Dixon Technologies や Foxconn のインド法人と、この生産移管について具体的な協議を開始したとされています。特に、米国へ輸出される Pixel デバイスが移管の主な対象となる模様です。
関税問題が影響
この生産拠点シフト検討の最大の要因とみられているのが、米国の複雑な関税政策です。現在、中国からの輸入品の多くには高関税が課されていますが、スマートフォンは今のところ対象外となっています。
一方で、新たな懸念となっているのがベトナムからの輸入品に対する関税です。報道によると、ベトナム製品には 46 %の関税が課される可能性があり、現在は 90 日間の適用猶予期間にあるとされています。これに対し、インドからの輸入品に対する米国の関税は 26 %にとどまります。この関税率の差が、Googleにとって生産拠点をベトナムからインドへ移す大きな動機となっていると考えられます。
Google は単に最終組み立ての場所を移すだけでなく、インド国内での部品調達率を高めることも視野に入れているようです。The Economic Times は、Google が製造パートナーに対し、充電器、バッテリー、指紋認証センサー、筐体といった主要部品をインド国内で調達・生産する計画を共有したと報じています。
まとめ
Google による Pixel 生産拠点のインドへのシフトが実現した場合には、とくに米国の消費者においては、関税引き上げの影響を回避することで、Pixel スマートフォンの価格上昇を抑えることができる可能性があります。
日本を含む他の市場への影響は現時点では不明ですが、グローバルな供給体制の変化は、長期的には価格や入手のしやすさに関わってくる可能性があります。
とはいえ、現状では協議段階とされているため、今後どのようになるかはまだわかりません。今後のGoogleの正式な発表や、サプライチェーンの具体的な変化に注目です。