MediaTek は 2026 年 9 月 15 日、モバイルデバイス向けの新型フラグシップチップセット Dimensity 9600 Pro を発表しました。
Dimensity 9600 Pro は、MediaTek 初となる 2nm プロセスを採用したフラグシップチップで、CPU・GPU 性能の向上に加え、オンデバイス AI 機能を大幅に強化しています。
MediaTek によると、ネイティブ AI アーキテクチャと性能・電力効率の両面での改善により、新たなエージェント型 AI 機能を実現するとしています。
2+3+3 構成の第 4 世代オールビッグコアを採用
Dimensity 9600 Pro は、最大 4.55GHz 動作の 2 つの C2-Ultra コア、最大 4.35GHz 動作の 3 つの C2-Pro コア、最大 3.1GHz 動作の 3 つの C2-Pro コアからなる 2 + 3 + 3 構成のオールビッグコアアーキテクチャを採用しています。


L2 キャッシュ全体の容量は前世代比 21% 拡大し、L3 キャッシュは 16MB、SLC は 10MB を搭載しています。
MediaTek によると、シングルコア性能は前世代比で 17% 向上、マルチコア性能は 15% 向上する一方、マルチコア時の消費電力は 61% 削減されるとしています。
メモリは LPDDR6 と LPDDR5X の両方に対応し、LPDDR6 では同一周波数条件下で実効メモリ帯域幅が 33% 向上するとしています。
ストレージは UFS 5.0 を採用し、従来の 2 チャネル UFS 4 と比較して読み書き速度が 2 倍に向上、キャッシュ容量は 34.5MB に拡大しました。
デュアル NPU でエージェント型 AI 機能を強化
Dimensity 9600 Pro は、生成 AI・エージェント型 AI ワークロード向けの「MediaTek NPU 1090」と、常時稼働のバックグラウンド AI 処理に特化した「Super Efficient NPU 2.0」からなるデュアル NPU 構成を採用しています。
MediaTek NPU 1090
新設計の「Dimensity Agentic AI Engine」と組み合わせることで、オンデバイスデータの分析やユーザーの好みを学習した先回り応答など、エージェント型の AI 機能を実現するとしています。
NPU 1090 は、前世代比で 2 倍の INT4 演算性能、55% 高いトークン生成の電力あたり性能、51% 高速な LLM プリフィル性能を実現したとしており、最大 300 億パラメータのモデルをオンデバイスで実行できます。
Super Efficient NPU 2.0
Super Efficient NPU 2.0 は常時稼働の AI 処理における消費電力を 40% 削減するとしています。
新設計のハードウェア圧縮エンジンにより KV-cache 圧縮技術を採用したほか、MoE(Mixture of Experts)LLM のオンデバイス推論にも対応しました。
Dimensity Scheduling Engine 3.0 との組み合わせにより、LLM のトークン生成速度は 40%、オンデバイス AI モデルの起動速度は 27%、それぞれ高速化したとしています。
GPU・カメラ・通信機能も強化
GPU には「Arm Mali-G2 Ultra NX」を採用し、NPU との直接連携によるニューラルグラフィックスアーキテクチャで、ピーク性能を 27%、ピーク時の電力効率を 24% それぞれ向上させたとしています。レイトレーシング性能も最大 18% 向上し、最大 185fps でのゲームプレイに対応しています。
カメラには新設計の ISP「Imagiq 1290」を搭載し、NPU と連携する「AI Imaging Fusion Architecture」により高度な計算写真・映像処理を実現するとしています。
最大 200MP のセンサーに対応するほか、17EV の HDR 動画撮影、コンテンツに応じたセマンティック処理による 4K60 動画撮影、4K120fps でのシネマティック LOG 撮影、最大 4K240 のスローモーション撮影に対応しています。
ストリーミング向けに H.266 のハードウェアデコードに対応した初のスマートフォン向けプロセッサになるとしています。
ネットワークについては、5G Advanced モデムが最大 350MHz 幅の 5CC 対応となり、下り速度は 7.4Gbps 超に達し、Wi-Fi ローミングの切り替え時間は 90% 短縮したとしており、Bluetooth は最新の 6.2 に対応しました。
廉価版「Dimensity 9600M」も発表
MediaTek は、Dimensity 9600 Pro に加えて、より幅広いユーザー層向けの Dimensity 9600M も発表しました。
Agentic AI Engine や Dimensity Scheduling Engine など上位モデルと共通の技術を採用し、フラグシップ級の性能と電力効率を提供するとしています。ゲーミングでは、MediaTek HyperEngine により最大 185fps でのスムーズな動作に対応します。
Dimensity 9600 Pro および Dimensity 9600M を搭載したスマートフォンは、2026 年中の登場が予定されています。











