Google が販売を開始した Pixel 11 シリーズには Tensor G6 が搭載されていますが、Geekbench 6 のシングルコア性能が前世代比で約 18%、マルチコア性能が約 21% 向上していることが明らかになりました。
前世代 Tensor G5 から比べて CPU や TPU の処理能力は向上したものの、競合他社の最新フラッグシップチップとの性能差は埋められず、GPU は旧世代アーキテクチャを採用しており、ベースモデルの RAM 容量も前世代の 16GB から 12GB に減少しています。
Tensor G6 の CPU 性能とベンチマーク結果
Android Authority が Pixel 11 Pro XL の実機で Geekbench 6 のベンチマークを測定した結果、Tensor G6 のシングルコアスコアが Tensor G5 比で約 18%、マルチコアスコアが約 21% 向上しています。
CPU は 1 つの Arm C1-Ultra (4.11 GHz)、4 つの Arm C1-Pro (3.38 GHz)、2 つの Arm C1-Pro (2.65 GHz) を組み合わせた 7 コア構成を採用し、前世代の 8 コアから減少したものの、CPU アーキテクチャが 2 世代進化したことで処理性能の向上が確認されました。
競合フラッグシップチップとは 1 世代の差がある
処理性能は向上しているものの、Qualcomm や MediaTek などが展開する最新のチップセットと比べると、性能の差はほとんど埋められていません。
- Snapdragon 8 Elite Gen 5 : シングルコアで約 37%、マルチコアで約 52% 上回る
- Exynos 2600 : シングルコアで約 18%、マルチコアで約 51% 上回る
- Apple カスタム CPU : シングルコアで約 44% 上回る
Tensor G6 の CPU 性能水準は 2025 年の Dimensity 9400 に近く、処理能力においては約 1 世代程度遅れていると言えます。
TPU 性能は前世代比で大幅に向上
第 5 世代となる TPU (Tensor Processing Unit) は、演算能力が前世代比で約 50% 向上しています。
Google はこの性能向上について、オンデバイス AI モデル「Gemini Nano」と Gemini Intelligence の動作に対応するためと説明しており、ベンチマーク上の CPU・GPU 性能よりもオンデバイス AI 処理の実行効率を優先する設計方針を継続しています。
そのため、高負荷な作業やゲームをプレイしないユーザーであれば、日常使用に不便のない性能と AI を活用しやすいデバイスと言えますが、AI 機能をどこまで活用するかで評価は分かれます。
GPU 性能とゲームプレイへの影響
Tensor G6 は、コスト削減のために Tensor G5 で採用していた PowerVR DXT-48-1536 から旧世代のアーキテクチャに基づく CXTP-48-1536 に変更されているものの、3DMark Wild Life および Wild Life Extreme でのスコアは前世代から約 7% ~ 10% の向上でした。
しかし、競合チップセットと比較した場合、グラフィック処理能力の開きは CPU 以上に大きくなっています。
- Snapdragon 8 Elite Gen 5 (Adreno 840) : Tensor G6 の 2 倍以上のスコア
- Dimensity 9500 : Tensor G6 を約 135% 上回る
- Exynos 2600 (AMD Xclipse 940) : Tensor G6 を約 90% 上回る
一方、3DMark の 20 回連続ストレステストにおいて、競合チップが 50% ~ 75% 程度まで性能が落ちるものの、Tensor G6 はピーク性能の約 79% を維持しました。しかし、元のピーク性能の差が大きいため、特に優位性があるわけではありません。
Pro モデルも 12GB RAM から
Pixel 11 Pro および Pixel 11 Pro XL における RAM 容量は 12GB となっており、前世代の一律 16GB RAM から減少しました。
Google はこの RAM 容量の見直しについて、半導体業界全体で進むメモリ価格の高騰が背景にあると説明しており、UI システムやメモリの使用方法、ソフトウェアとハードウェアの構成をチームで最適化することで対応しているとしています。
しかし、128GB ストレージモデルがなくなり、ベースとなる 256GB ストレージモデルは 12GB RAM が上限となっていることから、実質的に値上げされています。
まとめ
高負荷な作業や重いゲームのプレイなどグラフィックス性能を求める場合は、Tensor G6 以外のモデルも選択肢となりますが、日常使用の性能やオンデバイス AI 機能を重視する用途であれば Pixel 11 シリーズは不足のないスペックを備えています。
また、最新の機能よりも Pixel デバイスの使い勝手とコストパフォーマンスを重視する場合、Tensor G5 を搭載する Pixel 10 Pro シリーズを選ぶという方法も一つです。
筆者は Pixel 10 Pro と Pixel 10 Pro Fold を愛用しており、現状で十分満足していることから、今回初めて Pixel 11 Pro への乗り換えを躊躇しました。記事執筆時点で日本でも販売を開始しましたが、まだ購入はしていません。












