今回の記事では、Jabraブランドの業務用ヘッドセットから初となる折りたたみ式デザインを採用したヘッドセット「Jabra Evolve2 65 Flex」の実機レビューをまとめていきます。
「Jabra Evolve2 65 Flex」は、コワーキングスペースやカフェ、図書館など様々な場所で通話や会議を行うハイブリットワーカー向けとして位置づけ、マイクと音質、持ち運びのしやすさのバランスが良いことが特長となっています。
また、折りたたみ式で軽量・コンパクトなヘッドセットですがANC(アクティブ ノイズキャンセリング)機能を搭載、改善されたイヤーカップ、BluetoothとUSBレシーバーによる接続、マルチポイントペアリングをサポートするなど抜かりはありません。
これまでに筆者はEvolve2シリーズを数台使っていますが、コンセプトとターゲットとして想定するワークスタイルから、おそらく「Evolve2 65 Flex」が最も合うはずと期待を込めてポチリました。
デザイン・操作性
まずは実機のデザインと操作性についてです。
箱の時点で小さく軽いことに驚きましたが、実機も「Evolve2 85」などに比べても小さく、薄く、軽いです。箱を開けると本体はフェルト素材のケースに入っています。
ちゃんとケースにはJabra Linkを入れておく小さなポケットが付属しています。なお、今回もUC/USB-Cのモデルもを購入しています。この他の付属品は充電用のUSB-C to USB-Cケーブルだけでした。
折りたたんだ状態では確かに小さく、展開すると「Evolve2 65」に似たサイズ感となりますが、マイクが収納式かつ短めなので全体的に「Evolve2 65 Flex」はコンパクトな印象です。
「Evolve2 65」、「Evolve2 65 Flex」、「Evolve2 85」の大きさを実機写真で見比べると、たしかに「65 Flex」はコンパクトで薄いです。
また重さに関しても最も軽く、本体のみの実測値では次のようになりました。
- Evolve2 65 : 181g
- Evolve2 65 Flex : 138g
- Evolve2 85 : 285g
- Evolve2 Buds : 64g(ケース込み)
さすがにワイヤレスイヤホンの「Evolve2 Buds」と比べるまでもありませんが、同じJabra業務用ヘッドセットシリーズの中でもかなり軽量です。
折りたたむ操作自体は特に手間もなく慣れればスムーズにできると思いますが、軽さと本体の樹脂感の強さからポキっとやらないかやや心配にはなります。とは言え、よほどの力を加えなければ問題はないと思います。
続いて本体の操作ボタンですが、ヘッドセット左耳側に電源ボタンとモード切り替えボタンがあります。電源のオン・オフが「Evolve2 65」や「Evolve2 85」とは違ってスイッチ式ではなくボタンに変更され、位置も「65」や「85」に比べて耳の前側に移動しています。
そのため長押しでオン・オフの操作をしなければいけないこと、しかもボタンが前寄り過ぎるので頭に装着した状態での操作がしづらいというのが少々難点です。
また長押しでペアリングモードになりますが、ボタンに変更されたことで一度電源をオフにしたあと、再び電源をオンにするときに長押ししないとペアリングモードに切り替わりません。一度設定してしまえば気にするほどでもありませんが、これまでに比べて少し使いづらくなっています。
右耳側には音量操作ボタンと再生・停止ボタン、マイクがあります。マイクは「Evolve2 65」や「Evolve2 85」よりも短く、アームはそのまま下ろすだけのタイプです(85のようにクルっとしない)。
マイクの上げ下げや右耳側のボタン類はこれまでのモデルで変わらない感覚で使え、ビジーライトも搭載しており特に不満はありません。強いて言えば、マイクがプラスチックっぽすぎて何かに引っ掛けたときに心配という程度です。
頭に装着したときのフィット感もそこまで悪くなく、イヤーパッドは「65」に比べてふわっとした感じで柔らかくなっています。
また圧迫感も軽減されていると思いますので、長時間装着していてもそこまで気にはなりません。反面、「65」や「85」に比べて頭を動かしたときにずれやすくなったとも言えるため、装着したまま動き回る人には少し合わないかもしれません。
ちなみに充電はUSB-Cもしくは充電スタンドを用いて充電できますが、どうやらQiワイヤレス充電に対応しているようで、スマホのワイヤレス充電器に置くことでも充電は可能です。ただしバランスが悪く設置が難しいので、大人しく有線か専用スタンドを買うほうがよいでしょう。
音質・ANC・マイク
続いて音質についてですが、これは間違いなく「Evove2 65」よりも良くなっています。イコライザを触ることで多少の調整はできますし、ANCも搭載しているため公式のとおり音楽を聞くにもちょうど良いと思います。
しかし、オンイヤーというヘッドセットの性質上、カナル型イヤホンやオーバーイヤーに比べるとANCも音質もやや劣ります。カフェや少し騒がしいオフィスなどでは、低い機械音などはカットして、他の音もうまくマスキングされますが話し声とかはしっかり聞こえます。
とは言え、ANCもオンにすれば効果を実感するレベルですので外で会議をする合間に音楽を聞くといった使い方にはマッチすると思います。あと、周りの音や声も音楽を流していたり通話中であればそこまで気にはならない程度になります。
そして肝心のマイクですが、これが案外良くて出先でのWeb会議が多い人向きであると思います。恒例のマイクテストを掲載します。
マイクサンプル
カフェでJabra Linkを使った録音時にマイクが録音アプリに認識されないハプニングがあり、1つだけ違うアプリを利用して録音しています。そのためフェアな条件ではありませんが、最終的にちゃんと音を拾えているのでマイクの性能はそこまで悪くはないと思います。
「65」や「85」に比べると聞こえる声の質に関してはやや劣っていると感じましたが、周りの音のカット具合などは大きな違いは感じず、「Evolve2 Buds」よりも安定して声を拾えていますので、オフィスやカフェなどでも十分通用できるレベルだと思います。
声の拾い具合や声の小ささなどについては、マイクのアームが他の2つ比べて短いことが影響しているかもしれません。あと、録音を試しているうち冒頭の数秒だけ音が入っていないという現象が何度か起きていますので収録向きではなさそうです。
Evolve2 65 Flex の立ち位置
筆者はここ数年で「Evolve2 65」、「Evolve2 85」、「Evolve2 Buds」、そして「Evolve2 65 Flex」と使ってきましたので、実際に使ってみてシーンごとに合う合わないというのを筆者なりにまとめてみます。
通話 | Web会議 | 音楽 | 持ち運び | |
Evolve2 Buds | ○ | ◯ | ○ | ◎ |
Evolve2 85 | ◎ | ◎ | ◎ | ✕ |
Evolve2 65 | ◎ | ◯ | ✕ | △ |
Evolve2 65 Flex | ◎ | ◎ | △ | ○ |
まず、ここ最近持ち運びメインで使っていた「Evolve2 Buds」ですが、小型で持ち運びがしやすく、Jabra LinkがセットになっているのでBluetooth以外の接続ができる点は魅力です。取り回しがしやすい反面、ワイヤレスイヤホンの域を超える製品ではありませんので、PCでWeb会議に参加する場合などは他のモデルに比べて声を届ける力に劣るものの、通信は安定していると思います。
「Evolve2 85」は自宅で主に使っていますが、Web会議や通話だけではなく音楽を聞くにもちょうど良いです。反面、大きく重たいので持ち運びするには微妙。「Evolve2 65」はオンイヤーで音楽を聞くことには向きませんが、マイクの性能は他に比べて優れていると感じます。持ち運びもしやすい重さですが小さくはないのでやや不便。
こういう不便な点をうまくカバーしているのが「Evove2 65 Flex」で、持ち運びもしやすくWeb会議や通話にも使いやすく、音楽を聞くことにも使えます。ただ、ANCがあってもオンイヤーなので没入感を得られるわけではなく、どちらかと言えば会議や通話に集中したい人向けという感じです。他の3つに比べてバランス型と言えます。
なので、外出する機会にオンライン会議よりも電話の頻度が高く荷物は減らしたければ「Evolve2 Buds」、自宅やオフィスで長時間作業をしたり音楽を流すことで集中したければ「Evolve2 85」、とにかく通話とオンライン会議のために使うのであれば「Evolve2 65」、外出頻度も高く外でWeb会議や通話をする頻度も高い人は「Evolve2 65 Flex」というイメージです。
まとめ
ということで、今回は「Jabra Evolve2 65 Flex」を購入したので実機レビューをまとめました。
「Evolve2 65 Flex」は外に出る頻度が高く、外出時にWeb会議や通話をする機会が多い、荷物は少なく軽くしたいと考えているユーザーにオススメできるモデルです。持ち運びのしやすさとWeb会議や通話への対応のしやすさのバランスを重視する人はぜひ検討してみてください。
筆者は色々渡り歩いてしまいましたが、自宅では「Evolve2 85」、外ではワイヤレスイヤホンと会議・仕事用に「Evolve2 65 Flex」という組み合わせが現状ベストだと感じています。