GEEKOM IT15 の Core Ultra 9 285H モデルを実機レビュー。性能は文句なし、静音性はトレードオフ

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今回の記事では、GEEKOM の最新ミニ PC「GEEKOM IT15」の実機レビューをお届けします。

この「GEEKOM IT15」は、Intel の最新プロセッサである Core Ultra 5 225H または Ultra 9 285H、最大 32GB RAM、最大 2TB ストレージの構成を選択できる、ハイエンドなミニPCとなっています。

なお、レビューにあたり実機の提供を受けていますが、内容についてメーカーからの関与はなく、実際に使用したうえでの率直な感想をまとめています。

目次

GEEKOM IT15 のスペック

まずは、今回レビューする  GEEKOM IT15 のスペックです。

OSWindows 11 Pro
CPUCore Ultra 9 285H
GPUIntel Arc 140T
RAM32GB DDR5-5600MHz
内部ストレージ2TB NVMe SSD
(+ M.2 SATA 2242 空きスロット)
外部ストレージSD カード (側面)
前面ポートUSB-A (3.2 Gen 2) ×2
3.5mm ヘッドセットジャック
背面ポートUSB-C (USB 4.0) ×2
USB-A (3.2 Gen 2) ×1
USB-A (2.0) ×1
HDMI 2.0 ×2
Ethernet (2.5Gb) ×1
ネットワークWi-Fi 7 (Intel BE200)
Bluetooth 5.4
その他VESA マウント
サイズ117×112×49.2mm

ベースモデルは Core Ultra 5 225H と 1TB SSD を搭載していますが、今回は上位モデルのため、Core Ultra 9 285H と 2TB SSD を搭載しています。下位モデルと上位モデルのどちらも、32GB RAM 搭載は共通しています。

記事執筆時点では、Amazon.co.jp でベースモデルが 87,920 円、上位モデルが 119,920 円で販売されています。

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外観とデザイン

今回レビューしている GEEKOM IT15 も、過去の GEEKOM のミニ PC と同様にボックス形状で、背の高いモデルになります。筐体の色はシンプルな黒系なので、自宅や職場などでも使いやすいです。

サイズもコンパクトなので、机の上に置いても邪魔になりません。また、付属の VESA マウントキットを使うことで、モニターの裏などに取り付けることもできます。

金属製フレームとボトムケースを採用しており、最大 200kg の圧力や落下にも耐える堅牢性を備えています。メーカー公式では、温度、湿度、衝撃、騒音、長時間使用といった負荷テストもクリアしており、信頼性が高いとされています。

GEEKOM IT15 もポート類は充実しており、特に背面には 40Gbps の高速データ転送に対応した USB4 (USB-C) ポートが 2 つ搭載されており、eGPU や高速な外付け SSD の接続に活用できます。 さらに、2 つの HDMI ポートと合わせることで、最大 4 台の 4K ディスプレイに同時出力が可能です。

Ethernet も搭載しているので、オンライン会議のときなど安定したネットワーク接続を利用したいときなどに便利です。ただ、背面の USB-A 2.0 ポートに関しては、電波干渉を考慮すると 2.0 のほうが都合が良いかもしれませんが、そろそろ 3.0 以降のバージョンに変わってもいいかと思います。

側面にはフルサイズの SD カードスロットが搭載されており、例えばデジカメから SD カード経由で写真を取り込み、Adobe Lightroom などを使用した写真編集用のデバイスとしてもちょうど良いです。

なお、このモデルも底面のネジを外すだけで簡単に内部にアクセスすることができます。蓋を取り外すときのケーブルに注意する必要がありますが、RAM やストレージの増設・交換は簡単にできます。

パフォーマンス

今回レビューしている GEEKOM IT15 の CPU には Core Ultra 9 285H が搭載されており、内蔵グラフィックスには Intel Arc 140T GPU が搭載されています。以下は実機で測定した各種ベンチマークスコアです。

ベンチマークソフトスコア
Geekbench Single2,989
Geekbench Multi15,345
Geekbench OpenCL40,675
Geekbench Vulkan38,251
PCMARK 107,636
PASSMARK7,976
CINEBENCH Single2,097
CINEBENCH Multi15,099
Octane 2.0 Plus Single115,897
Octane 2.0 Plus Multi811,642
JetStream2456
Speedometer 2613
Speedometer 3.039
Speedometer 3.139
FF14 最高品質 FHD4,284 (普通)
FF14 高品質 (ノートPC FHD)6,928 (やや快適)
FF14 標準品質 (ノートPC FHD)7,361 (やや快適)
3DMARK (Night Raid)30,203
3DMARK (Fire Strike)7,623
3DMARK (Steel Nomad Light)2,905
3DMARK (TimeSpy)4,087

いわゆるハイエンドなデスクトップやゲーミング PC とは異なりますが、モバイルノート PC やミニ PC などの小型デスクトップとしては、かなり高い性能を備えています。

過去の GEEKOM のミニ PC シリーズで比較すると、Geekbench の各種スコアで言えば、Intel Core i9-13900H や Ryzen 9 8945HS よりも高く、前世代の Core Ultra 9 185H をわずかに上回る性能を備えています。

CPU のパフォーマンスだけでなくグラフィックスの性能も高く、内蔵グラフィックスで言えば AMD の Radeon 780M に近い性能を持っています。とは言え、あくまで内蔵グラフィックスでは、という点には注意してください。

使用感

実際に GEEKOM IT15 を日常使いや仕事で使用してみましたが、ほとんどの作業において快適に動作します。

筆者はほとんどの作業をブラウザベース (Chrome) でこなしていますが、タブを 30 枚くらい開いた状態で Google Meet のオンライン会議に参加した状態でもカクついたり、フリーズするようなことはありませんでした。そのため、一般的な事務作業やビジネスユースで性能不足を感じることはまずないと思います。

また、少し負荷のかかる作業として、Figma での簡単なプロトタイピングや、WSL (Debian) を利用したフロントエンド開発も試してみましたが、こちらもスムーズに行うことができました。

ローカルでの写真編集や画像編集も特に問題はなく、フルHD 程度の簡単な動画編集であっても問題なく使うことができるため、軽めのクリエイティブな作業であれば十分だと思います。SD カードスロットもあるため、どちらかと言えば CPU の負荷がかかる写真編集に向いているかもしれません。

なお、Core Ultra プロセッサの目玉機能の一つである NPU (Neural Processing Unit) ですが、現状ではその恩恵を感じられる場面は限定的かもしれません。とくに筆者のように Google Workspace をはじめとしたクラウドベースで業務を行っている場合には、なかなか NPU を活用する機会がないことも事実です。

グラフィックス性能

一方で、グラフィックス性能を使ったゲームプレイですが、いくつかのゲームを試して見たところ、軽めのタイトルであれば十分可能でした。

  • ファンタジーライフ i (Steam): 4K 設定では動作が重いものの、FHD でグラフィック設定を「中」にすれば問題なくプレイできました
  • FC25 (Steam): ムービーシーンで若干カクつきますが、プレイ自体は可能でした
  • FF14: 設定を変更すれば普通にプレイ可能です

正直なところ、内蔵 GPU の割によく頑張ったという印象です。比較的軽めの 3D ゲームであれば問題なく遊ぶことができます。もちろん、本格的なゲーミング PC には及ばないため、重量級のゲームを快適にプレイしたい場合は素直にゲーミング PC を選ぶべきです。

ただ、最近であれば GeForce NOW や Xbox Cloud Gaming といったクラウドゲーミングサービスを利用することで、GEEKOM IT15 でも対応する AAA タイトルなど重たいゲームをプレイすることができます。

あくまで高い基本性能を活かした作業がメインで、息抜きに軽めのゲームあるいはクラウドゲーミングサービスで遊ぶといった用途に向いています。

なお、Google Meet を使ったオンライン会議などでは CPU だけでなく GPU も使用するため、グラフィックス性能が高いことで安定している側面もあると思います。

パフォーマンスの面では、過去に使用してきた同サイズの GEEKOM のミニPC のなかでも最高の性能といえるので、より高いパフォーマンスを必要としつつ、場所を取らないコンパクトな筐体が欲しいというユーザーにはおすすめです。

静音性と冷却性能

一方、高性能であるがゆえに、冷却ファンの動作音が気になる場面もありました。

アイドル状態であれば、耳を済ますと駆動音が聞こえるといったレベルで静かですが、負荷がかかりはじめるとファンの音はかなり聞こえてきます。これは、常に安定したパフォーマンスを発揮するためにファンを積極的に回しているようです。例えば、セットアップ時などで Windows Update などが動作すると、「サー」というファンノイズがはっきりと聞こえてきます。

とは言え、大型のデスクトップ PC ほどではなく、ゲーミングノート PC かそれよりも少し静かな程度なので、イヤホンやヘッドホンをしていたり、オフィスなどの雑音が多い環境、近くで扇風機や空気清浄機など音の出る物がある場合にはほとんど気にはなりません。

GEEKOM の AMD を搭載したモデルなどは、比較的音が小さいもの(多少の負荷でも無音に近いレベル)もありますが、今回の GEEKOM IT15 は高い性能を維持するためのトレードオフとなっているため、静音性を最優先するユーザーは注意が必要です。

まとめ

GEEKOM IT15 は、コンパクトな筐体ながら Core Ultra 9 プロセッサによる非常に高いパフォーマンスと内蔵グラフィックス性能、eGPU にも対応する豊富なポート類を備えた、完成度の高いミニ PC です。

ファンノイズという点で静音性を重視するユーザーには不向きな面もありますが、それも高い性能を安定して引き出すためのトレードオフとなるため、それを許容できれば十分です。

例えば、高負荷なプログラミングや開発作業を行うユーザー、写真編集や簡単な動画編集など軽めのクリエイティブ作業を行うユーザー、多数の周辺機器やマルチディスプレイ環境を構築したいユーザーにおすすめです。オフィスなどビジネス用途でも安定したパフォーマンスを維持したいかつ場所を取りたくないというユーザーにも向いています。

価格については、ベースモデルが通常 104,900 円、上位モデルが 149,900 円で販売されています。どちらも 32GB RAM を搭載しているため、CPU の性能差などを考慮するとベースモデルがお買い得です。

なお、記事執筆時点ではベースモデルが 87,920 円、上位モデルが 119,920 円で販売されており、この価格であれば上位モデルも狙い目です。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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