ASUS ExpertBook P5 (P5405CSA) を実機レビュー。Core Ultra シリーズ2採用ビジネスPC

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今回の記事では、ASUS JAPAN から初めてビジネス向けにリリースされた Copilot+ PC の「ASUS ExpertBook P5 (P5405CSA)」の実機レビューをお届けします。なお、レビューにあたり実機の貸出を受けています。

ASUS ExpertBook P5 (P5405CSA) は、最新の Intel Core Ultra Series 2 プロセッサーを搭載した ASUS 初のビジネス向け Copilot+ PC となります。NPU の処理能力は最大 47TOPS となっていて、従来のビジネス向けPC に比べて AI 処理能力が向上し、ASUS の会議アシスタント機能や議事録機能、字幕機能といった ASUS 独自の AI ツールを使うこともできます。

今回レビューしている ASUS ExpertBook P5(P5405CSA) のスペックは次のとおりです。実機の仕様は太字にしてあります。

目次

スペック

OSWindows 11 Pro
ディスプレイ14インチ 広視野角
2,560×1,600
144Hz リフレッシュレート
ノングレア
CPUCore Ultra 5 226V
Core Ultra 5 228V
Core Ultra 7 258V
GPUIntel Arc Graphics 130V (Ultra 5)
Intel Arc Graphics 140V (Ultra 7)
RAM16GB (226V)
32GB (228V / 258V)
* LPDDR5X-8533
内部ストレージ512GB
1TB
* NVMe M.2
外部ストレージ
Web カメラFHD 1,080p (2MP)
プライバシーシャッター
IR カメラ (Windows Hello 対応)
ポートUSB-C (TB4) ×2
USB-A (3.2 Gen 2) ×2
HDMI 2.1 ×1
3.5mm ジャック ×1
バッテリー最大10.9時間 (動画再生時)
最大18時間 (アイドル時)
* JEITA 3.0
ネットワークWi-Fi 6E
Bluetooth 5.3
その他指紋認証 / 顔認証
キーボードバックライト
MIL-STD 810H
NIST SP 800-155 準拠 BIOS
サイズ312×223.2×14.9~16.9mm
重さ1.27kg

ExpertBook P5 (P5405CSA) には3つの構成があり、それぞれの構成は次のようになります。

  • Core Ultra 5 226V / 16GBRAM / 512GB
  • Core Ultra 5 228V / 32GBRAM / 512GB
  • Core Ultra 7 258V / 32GBRAM / 1TB

なお、Core Ultra 5 の2つはどちらも Intel Arc Graphics 130V 内蔵グラフィックスを搭載しており、Core Ultra 7 は Intel Arc Graphics 140V 内蔵グラフィックスとなります。

今回の実機は最上位モデルとなり、Core Ultra 7 258V と 32GBRAM、1TB ストレージを搭載しています。ビジネス向けノート PC としてはハイスペックで、エクセルなどによるローカルのデータ処理やコーディングといった負荷のかかる作業でも安心して使える性能です。

デザイン

ASUS ExpertBook P5 の本体はアルミニウム製となっており、剛性感と高級感があります。サラッとした触り心地で、指紋や油脂などは目立ちにくく扱いやすい筐体です。

天板部分には「ASUS EXPERTBOOK」と大人しめのロゴが入っており、ビジネスシーンでも違和感なく使うことができます。

本体のサイズは 312×223.2×14.9mm (足を含めると 16.9mm) と14インチサイズとしては一般的ですが、MIL-STD 810H の堅牢性に準拠しながらも重さは約1.27kgとなっていて、ASUS のビジネスノートパソコンのなかでは軽量です。

本体の左側面には Thunderbolt 4 規格の USB-C ポートが2つ、USB-A ポートが1つ、HDMI と 3.5mm コンボジャックがあります。右側面には USB-A ポートとケンジントンロックホールがあります。

左側面にポートを集めたのは右利きユーザーが右側でマウス操作をするときにスペースを確保するためとしています。ポートは充実しているためこれに文句はありませんが、USB-C ポートが1つ右側にあるほうがデスク上で位置取りを気にしなくても良く、左利きユーザーにもフレンドリーだと思いました(筆者は左利き)。

ディスプレイ

ディスプレイは最近のビジネス向けノートパソコンで採用が広がっているアスペクト比 16:10 を採用した14インチです。しかし、2,560×1,600 と高解像度かつ 144Hz と高リフレッシュレートを採用している点が特長です。

高解像度なことで必要に応じて作業領域を広げることもでき(文字は小さくなるが)、とくにエクセルやスプレッドシートを広く表示させたいときに便利です。拡大している場合にはテキストや画像ははっきりと見ることができます。また、高リフレッシュレートのおかげでスクロールやカーソルの移動が滑らかに見えます。

ノングレアタイプなので映り込みも少なく、長時間作業している場合でも目への負担は少なめです。画面の明るさがそこまで高くありませんが、ノングレアのおかげで日当たりの良い場所での作業もそこまで苦ではありませんでした。ただ、そういう場所だと画面の明るさは常に MAX にする必要があるため、バッテリー駆動時間に影響が出る可能性があります。

なお、ヒンジは180度フラットまで開くタイプで、残念ながらタッチスクリーンではありませんがなくても特に問題はありません。

キーボード

ASUS ExpertBook P5 のキーボードは日本語配列となっていて、今回も ASUS らしいキー配列となっています。

ビジネス向けノート PC として良い点は、電源ボタンに指紋センサが内蔵されていること、ファンクションキーの左側 F1~F4 に会議などで使うキー(スピーカー オン/オフ、スピーカー音量 減/増、マイク オン/オフ)が集まっていることです。

また、ASUS ExpertWidget を使うことで F10 と F11 の機能をカスタマイズすることができます。ここにはいくつかのプリセット機能もしくはユーザーが自由にフォルダー、ファイル、URL、インストール済みのアプリケーションを割り当てることができ、常に使うアプリや機能のショートカットを設定できるため便利です。

一方、キー配列そのものに関してですが、相変わらずエンターキー周りの幅が詰まっているタイプで、「エンター」と隣り合っているキーの間隔がほぼなく、「Back space」キーと「¥」キーの間隔もほぼない上に、BackSpaceキーは他のキーよりも小さくなっています。

ASUS のデバイスは毎回これがネックで、エンターキーの幅を確保してくれているのは良いですが、BackSpace はビジネス向けモデルとしてはどうでしょうか。

せめて他の文字キーと同じサイズであればまだ良いのですが、やや小さい上に隣接キーとの間隔がないことで、意識しないと誤タイプが多くなります。慣れるかもしれませんが、煩わしいのでビジネス向けモデルなのでここは調整して欲しかったと思います。とは言え、こういうキーボードに慣れているユーザーであれば、さほど問題にはならないかもしれないので、ユーザーによりけりです。

ちなみにChromebook とは違って無変換と変換キーはスペースキーを削って搭載されているため、スペース左側のキーに影響が出なくて良かったです。ただ、右側に「カタカナ/かな/ローマ字」キーが置かれたせいで Alt キーが犠牲になっています。

Copilot キーも搭載されており、Copilot を使って仕事をするユーザーには便利です。現在は Copilot 呼び出しの機能の固定ですが、今後の Windows Updates でこのキーを別のキーへと置き換える機能が実装される予定です。

パフォーマンス

ASUS ExpertBook P5 のパフォーマンスについてですが、今回の実機は最上位モデルで Core Ultra 7 258V と 32GBRAM を搭載しているため、作業中のパフォーマンスについては申し分ありません。参考までに実機で測定したベンチマーク結果を紹介しておきます。

ベンチマークソフトスコア
Geekbench Single2,738
Geekbench Multi11,114
Geekbench OpenCL29,686
Geekbench Vulkan33,647
PCMARK 106,105
PASSMARK6,545
Octane 2.0 Plus Single103,445
Octane 2.0 Plus Multi476,609
JetStream2377
Speedometer 2418
Speedometer 330
FF14 最高品質 FHD5,025 (普通)
FF14 高品質 (ノートPC FHD)9,023 (快適)
FF14 標準品質 (ノートPC FHD)9,523 (快適)
3DMARK (Night Raid)25,918
3DMARK (Steel Nomad Light)2,972
3DMARK (TimeSpy)3,919

CPU の処理能力はノートパソコンのなかでは優れており、グラフィックスの処理能力も内蔵 GPU としてはとても優れています。大規模なデータセットを使う作業やローカルでのコーディング作業、Adobe Photoshop や Lightroom 、Illustrator などを使う作業などでも安定したパフォーマンスを期待できます。

私の場合、ブラウザベースの作業が中心となりますが、Chrome でタブを30個近く開いた状態でも動作は快適で、Google Meet を使用したビデオ会議などを行っても不安定になったりカクつくことはほぼありませんでした。ローカルで Microsoft Office ソフトを使うなどビジネスの基本的な作業内容であれば、パフォーマンスにまず問題はありません。Intel チップなのでアプリの相性や使用可否を気にせず使えるというのもメリットです。

AI 関連機能

ビジネス向け ASUS 製品限定として、独自の AI 機能が使える AI ExpertMeet が搭載されています。

例えば、AI Meeting Minutes は会議の内容をリアルタイムで文字起こししたり、参加者ごとの発言と識別、翻訳付きの全文文字起こし、内容の要約をすることができます。この機能は当初日本語非対応でしたが、2025年に入ってから日本語の音声を流しながらリアルタイムでの文字起こしが可能になりました。

一方、AI Translated Subtitles 機能は、オンライン会議や動画などの文字起こしができたり、リアルタイムで翻訳することもできます。ただし、こちらは英語の音声に対して日本語の字幕をつける(翻訳)ことはできますが、日本語の音声に対して英語の字幕をつける機能は非対応です。

この他の機能では、画面共有時に画面内にウォーターマーク(透かし)を入れることのできる機能や、本体に内蔵された AI カメラと AI ノイズキャンセリングを使用して、会議参加中にオートフォーカスやノイズキャンセリングの効果を高める ASUS AI Studio があります。

これらの機能はタスクバーに表示される ASUS Expert Panel の画面からすべての機能にアクセスすることができるため便利です。日本語環境のユーザーは、現時点では会議向けの AI 機能が中心になるかと思いますが、会議システムなどは使わずノートパソコンだけで会議に参加することの多いユーザーには嬉しい機能です。

ただ、少し気になったのはウェブカメラで、1080p の映像に対応しているもののイメージしていたよりも色が白っぽく映るというか、ノートPCのウェブカメラらしい映像になってしまいました。

オフィスや自宅など落ち着いた場所での会議であれば外付けウェブカメラを使うほうがより良いとは思いますが、出先などで急遽会議に参加するといった場合であれば特に問題はないと思います。

バッテリー

バッテリー駆動時間については、新しい Intel Core Ultra Series 2 プロセッサーはこれまでの Intel Core チップセットに比べてバッテリー駆動時間が延びているため、パフォーマンスの割に長く使えます。

システムで「最適な電力効率」に設定しChrome でタブを15個前後開き、明るさを最大、バックグラウンドで Google ドライブと ASUS Expert Panel、McAfee (プリインストール)を起動させた状態で使ってみたところ、1時間あたり15%~18%のバッテリー消費となりました。そのため、実働で6~7時間が期待できます。

JEITA 3.0 で測定した公称値から比較すると、おおよそ動画再生時の3分の2、アイドル時の3分の1の駆動時間となりました。「最適な電力効率」の設定でもパフォーマンスに特に不満は感じませんでしたが、より快適さを求めたり処理能力が必要になって「バランス」に変更した場合、バッテリー駆動時間が短くなる可能性があります。

とは言え、出先で高負荷な作業をする機会というのも限られていると思いますので、ブラウザベースや Microsoft Office を利用するなどの軽作業が中心であれば、1日中の外出でも問題なく使える可能性は高いと思います。

価格

最後に価格についてですが、3つの構成は次のような価格になっています。

  • Core Ultra 5 226V / 16GBRAM / 512GB (NZ0052X) : 199,800円
  • Core Ultra 5 228V / 32GBRAM / 512GB (NZ0150X) : 219,800円
  • Core Ultra 7 258V / 32GBRAM / 1TB (NZ0054X) : 249,800円

案外手頃な価格だと思いますが、グラフィックスの性能をそこまで求めないのであれば真ん中の P5405CSA-NZ0150X が最もバランスが良いと思います。クラウドベースの作業が中心で、そこまで負荷が高くない場合にはベースモデルでも問題はないと思いますが、価格差を考えると32GBRAM搭載モデルを購入するほうが余裕があるため、おすすめです。とくにエクセルなどでローカルでデータセットを扱う場合など負荷が高い場合には 32GBRAM あると安心です。

まとめ

「ASUS ExpertBook P5 (P5405CSA)」は ASUS 初のビジネス向け Copilot+ PC となりますが、デザインやパフォーマンス、機能などビジネス向けモデルとして全体的に良くできています。

キーボードを含めていくつか気になる点はあるものの、パフォーマンスとバッテリーのバランスがとても良いため、マイナス点が気にならないのであればおすすめです。とくに営業や出張など出先でも作業をする機会のあるビジネスユーザーにはちょうど良い1台になります。

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Product Marketing Manager

Professional ChromeOS Administrator 取得者。これまでに40台以上の Chromebook を試し、業務でも Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行う。本業はアクセス解析や広告運用、ときにPMM。プロフィールはこちら

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