2020年のアマゾンプライムデーセールで突如国内投入されることとなったASUSのハイスペックモデル「ASUS Chromebook C425TA」。
このモデルは昨年8月末に海外でも突然販売が開始され、ハイエンドモデル「ASUS Chromebook Flip C434FA」の廉価版的な位置づけの機種となっています。
国内で販売されたモデルは、海外モデルからスペックが一部変更されており、海外モデルよりも使い勝手の良い機種へと変化しているため、プライムデーで購入できた方はスペックの割にかなりお得だったと思います。もちろん、定価で購入した場合でもこのスペックであれば損はしないものとなっています。
ということで、そのあたりに触れつつ「ASUS Chromebook C425TA」のレビューをまとめていこうと思います。
スペック
まずは国内で販売されているモデルのスペックを紹介。
ASUS Chromebook C425 | |
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ディスプレイ | 14インチ グレア 1,920 × 1,080 タッチスクリーン ※クラムシェルタイプ |
CPU | Core m3-8100Y |
RAM | 4GB (※2022/02/10に8GBRAM版登場) |
内部ストレージ | 64GB eMMC |
外部ストレージ | microSD |
Webカメラ | 720p |
ネットワーク | Wi-Fi ac Bluetooth 4.2 |
ポート | USB-C(3.2) ×2 USB-A(3.2) ×1 イヤホンジャック |
バッテリー | 最長12時間 |
サイズ | 320×208.2×17.8mm |
重さ | 1.44kg |
その他 | 英語配列 (バックライトキーボード) |
自動更新ポリシー | 2026年6月 |
価格 | 45,800円 |
海外で発売されたモデルは、同じ14インチの広視野角ディスプレイを搭載していたものの、タッチ非対応でノングレアとなっていましたが、国内モデルはタッチスクリーンに対応し、グレア液晶へと変更されています。
なお「C425TA」は、コンバーチブルタイプ(360度ヒンジ)ではなく一般的なノートパソコンスタイルのクラムシェルタイプとなっています。
CPUはm3-8100Y、ストレージは64GB eMMCを搭載し、RAMについては海外モデルが8GBRAMだったことに対して4GBRAMへと変更されていますが、基本性能自体は日本で販売されている「C434」のベースモデルと同じとなっています。なお「C425TA」はバックライト付きキーボードですが、英語配列のため日本語(かな)配列が良い方は気をつけてください。
海外モデルからポート類に変更はありませんが、USBのバージョンが更新されている点に違いがあります。また、ディスプレイが変更になったことで重さも海外モデルより増加し、1.44kg(実測値)となっているわけですが、個人的には「C434TA」よりも軽いという優位性を失ってしまったことは、あまり嬉しくないなと思っている点です。
ということで、さっそく実機をチェックしていきます。
筐体は高級感あり
14インチディスプレイを収めつつ、13.3インチクラスのノートパソコンサイズになっているのが「C425TA」の特徴です。
天板は金属になっていると思いますが、キーボード部分と底面はプラスチック製になっています。
5万円以下で購入できるChromebookとしても高級感はあるので、安っぽく見られることはないですし、全体的にしっかりとしたボディになっているので、普段使いから仕事、学校でも十分に使えると思います。
ディスプレイは普通だが十分
ノングレアタイプのディスプレイは、その質によって当たり外れが大きいわけですが、幸いにも国内販売モデルはグレア液晶の広視野角タイプ(IPS相当)に変更されているおかげで、色味も十分キレイで見やすくなっています。
ただグレアなので反射がある程度ありますし、若干ですが明るさを最大にしても物足りないと感じることがあります。
180度フラット、エルゴリフト
タッチス操作にも対応していますが、コンバーチブルではなく180度フラットまで開くクラムシェルタイプで、天板の開度が増えるとキーボード側が持ち上がるエルゴリフトのスタイルを採用しています。
このおかげでキーボードに傾斜がつき文字入力がしやすくなりますし、底面に熱が溜まりにくくなるのも良いところだと思います。
最大開度でここまで開きます。
ただ「C425TA」はファンレスなので、そこまで気にする気にする必要もなかったりするわけですが。
キーボード、トラックパッドも問題はないが…
キーボード側ですが、海外レビューの反応から思っているより、しっかりとしている印象です。
キーの打鍵感は、なんとなくバネ感というか反発感がそれなりにあり、ちょっと重たい感じもありますが、そこまで安っぽい感じはありません。
ただ残念ながらキーボードバックライトがいまいち物足りないことと、キーの印字部分がグレーになっているので若干文字が見にくいのが難点だと思います。
トラックパッドについては、横幅のある大きめのタイプで反応も良く滑らかな滑り心地なので、悪くないと思います。
押し込んだときのクリック感はしっかりありますが、そこまで音もうるさくないので価格的にはスタンダードな感じです。
ポートも必要十分
USB-Cが2つ、USB-Aが1つ搭載されているわけですが、こちらは海外モデルからバージョンが更新されていて、それぞれ3.2となっています。
左側面にはUSB-C、A、イヤホンジャックが搭載され、右側面にはCポートとmicroSDカードスロットがあります。
クラムシェルタイプなので電源ボタンやボリュームボタンがなく、わりとスッキリとした感じになっていますね。
ちなみに本体の手前側の側面部にもちゃんと指をかける窪みがあります。
ただ今回も片手で開くのは厳しいので、ちゃんと両手で開きましょう。
こういうところも、片手でスッと開くことができるとスムーズな感じが演出できて良いと思うんですが、まあ仕方ないところでしょうか。
サイズは良いが、重たい
片手で開けにくい理由のひとつでもありそうですが、日本モデルはグレア液晶を搭載したことが影響したためか、重さが1.3kgから1.44kgへと増加しています。
軽量ハイスペックというのが海外のウリでしたが、重さが増えたことで他のメーカーの機種と選択の優位性が減ったと思っていますが、ディスプレイの質が上がったことを考えると、ユーザー側の気持ちというか用途次第では悪くないと思います。
重たいと言っても持ち運びが不可能なものではないですし、どこかに置いて使うことを前提とするのであれば、そこまで気にすることもなくなります。
バッテリーはしっかり持つ
また、バッテリーも公称値最長12時間というだけあって、実働も8時間程度はあると思います。
家の中でですが、フル充電の状態からダラダラと1日、7~8時間使っていてもバッテリーがなくならなかったので、使い方次第では10時間近く持つ可能性もあります。
この点も、重いと言っても1.5kg以下には収まるので、ちょっとしたときに持ち出して、外や電源の取れない場所で作業するにも安心なモデルだったりします。
性能面は文句なし、だが敵は多い
「ASUS Chromebook C425TA」には、インテル第8世代のCore m3-8100Yと4GBRAMが搭載されています。
Chromebookとしては現状でもハイスペックに分類されるため、日常使いから仕事、学校でもクラウドをベースにGoogle Workspaceなどを使っていくのであれば十分にゆとりある性能だと思います。
AndroidアプリのLightroomを利用しても、10~30枚程度の写真であれば十分に編集して書き出してと余裕を持った動作をしてくれました。
ただ、これまでのChromebookレビューでも申し上げているとおり、Linuxを利用した開発用途などを考えている方は、少なくともCore i5のUシリーズ以上を選択する方が良いです。
各ベンチマークスコア
まずは実機で測定したベンチマーク結果を紹介。
さらに参考として、近い価格帯のChromebookで使用されているCPUの平均的なスコアと比較してみました。
※Pentium N5030を搭載する機種も登場していますが、調べたところN5000と大きな差はないため、同程度のスコアと判断して頂いて良さそうです。
第10世代のCoreシリーズ搭載モデルと比較するとスコアは落ちますが、さすがは第8世代のCore m3だけあって、2020年のスタンダードといえるCeleron N4000やN4020などと比較すると、その差があることがわかります。
一方で、ここ最近になって同価格帯に採用されはじめたPentium N5000などと比較すれば、マルチコアスコアの差は縮まっていることがわかります。
実際の使用感で言えば、Pentium N5000を搭載するモデルとm3-8100Yを搭載するモデルはほとんど同じような動作感ですが、個人的にはm3の方がなにかと底力というか、重たい処理をしても安定している感覚があります。
そうはいっても、新しいモデルは自動更新ポリシーが長いなどのメリットも多いですし、今後CPUの世代が進むごとにこの差も縮まっていくことは容易に想像ができます。
そのため、これらのCPUを搭載するモデルと比較した場合、現時点では価格差が主なポイントになると思います。
ライバルは「HP Chromebook 14a」
価格で考えると、例えばPentium N5000(N5030)を搭載するHPの「Chromebook 14a(公式ストアモデル)」は定価が約48,000円(税込)ほどとなっています。
それよりも少し上の性能となる「ASUS Chromebook C425TA」が45,800円であることを考えると、悪くない選択肢だと言えますが、「HP Chromebook 14a」はセールで激安になる可能性があるため、そうすると分が悪いというのも事実ですね。一方、定価ベースで考えれば「ASUS Chromebook C425TA」は、国内で登場してきたハイエンドモデルとしてはかなりバランスが取れているモデルです。
ちなみに自動更新ポリシーの期限については、どちらのモデルも2026年6月までとなっているため、ここに差はありません。そうは言うものの「14a」と構成がかぶってしまうのは惜しく、価格面も逆転される可能性があるため、かなり悩ましい選択肢になると思います。
ただ「HP 14a」になくて「ASUS C425TA」にあるものといえば、何よりも英語配列キーボードの存在です。
私のように、もし日本語(かな)配列に抵抗があって、5万円以下でハイエンドの英語配列モデルが欲しいとなれば「ASUS Chromebook C425TA」はまさにベストなモデルになると思います。
過去に販売されていた「HP Chromebook x360 14」のように、英語配列も併売されていたらとても不利な戦いになったと思いますが、ここは救われたという感じでしょうか。
意外と価格は悪くない、用途に合えばオススメ
ということで、ここまで「ASUS Chromebook C425TA」のレビューをまとめてきました。
価格については、国内で投入されるハイエンドモデルとしてはお手頃といえ、重さが増加したもののディスプレイの質がよくなったことで、この価格でも十分選択肢としてアリだと思います。
重さがあるため、持ち運びよりもどこか一つの場所に置いて使うような使い方を考えていて、ハイスペックかつお手頃のChromebookがほしいと思っている方には「ASUS Chromebook C425TA」はオススメです。
また、英語配列で5万円以下のハイエンドChromebookが欲しいという方も、現行では「C425TA」が最有力候補になります。
ライバルになる「HP Chromebook 14a」が英語配列じゃないからスルーした人は、「ASUS Chromebook C425TA」を検討してみる価値はあると思います。
反対に、かな(日本語)配列でなければイヤな方やコンバーチブルタイプのChromebookが欲しい方は、他のモデルを選択するべきですね。
思っている以上に良い機種に仕上がっていると感じましたので、5万円以下のChromebookに興味を持っている方は、ぜひ「ASUS Chromebook C425TA」も候補に含めてみてはどうでしょうか。