今回の記事ではオーディオ製品メーカーである1MOREの新しいオープンイヤータイプのワイヤレスイヤホン「1MORE Fit SE S30」の実機レビューをお届けします。なお、本レビューにあたり実機の提供を受けています。
1MOREのオープンイヤータイプのイヤホンは上位モデル「S50」と「S30」の2つがあり、どちらもオーディオ&ビジュアル機器の総合アワードの「VGP2024」で部門賞を受賞しています。今回レビューしている「S30」は1万円未満という価格で買える手頃なモデルです。
「1MORE Fit SE S30」の主な特長は次のようなものがあります。
- 14.2mm DLCダイナミックドライバー
- 通話向けENC(環境ノイズキャンセリング)搭載
- 最長10時間連続再生(ケース込みで30時間)
- 左右分離型
- IPX5 防水(イヤホンのみ)
- SBC コーデック
- Bluetooth 規格 HFP/A2DP/AVRCP
- Bluetooth 5.3
- タッチコントロール対応
- 1MORE アプリ対応
実機レビュー
オープンイヤータイプのイヤホンとしては割りとコンパクトな見た目で、バッテリー駆動時間が約10時間という点が魅力の一つです。ケースも同様で握りやすいサイズ感となっており、ポケットに入れることもできますが元々の厚みもあるためバッグなどに入れて持ち運ぶ方が安心です。
ケースはヒンジ側に充電用のUSB-Cポートがあり、隣にはボタンがあります。このボタンを使ってケースのバッテリー残量を確認したりペアリングモードに移行します。手前側にはLEDインジケーターがあり、ここに残量やモードが点灯して表示されます。
残念ながらワイヤレス充電や急速充電には対応していません。ワイヤレス充電があれば取り回しがしやすくなるので個人的には搭載して欲しかったところ。とは言え、バッテリー駆動時間は長めですのでそこまで充電の手間はないことが救いです。
ケースの中には取り出してすぐに耳にかけられる向きでイヤホンが収納されています。たまに向きが逆になっているタイプもありますが、ケースから出して装着するまでの動作が違和感なくできるので良いですね。
イヤホン本体の重さは片耳約10gとなっていて、見た目もコンパクトでスッキリとしています。耳にかける部分はシリコン素材で覆われており、挟み込む力もそこまで強いという感じではないため着け心地は悪くありません。
ホールド感も程よく、頭を振ったりランニングをしていてもズレたり落ちるということはありませんでした。ただ、耳の形や装着時にずれているとによっては耳から離れているような感覚になり、音も少し遠く感じてしまうこともあるため注意が必要です(これはオープンイヤータイプならではです)。
ロゴが書かれている平面部分はタッチセンサになっており、タップで音楽等の操作をすることができます。操作はダブルタップ、トリプルタップから設定することができます。デフォルトでは以下のような操作が設定されています。
- 2回タップ : 再生/一時停止 (L/R)
- 3回タップ : 音声コントロール (L/R)
2回と3回、左と右のタップ操作はアプリを介して変更することができるため、合計4種類の操作を設定することが可能です。設定できる操作には、上の2つ以外に音量の増減、トラックの戻し・送りがあります。設定できる操作が少ないですが需要の高そうなものに対応しており、変更することも可能なので許容範囲かと思います。また、タッチに反応するエリアも広めに感じるので操作性も悪くありません。
音質
音質についてですが、低音はしっかりと出ているので軽いとまでは感じなかったものの、若干高音が目立つように思いました。アプリでイコライザーの調整をしても高音が少し強調されているような印象はありましたが、比較的スタンダードな音だと思います。ここには音の好みなどもあるかもしれませんが、音質を重視するユーザーだと気になるかもしれません。とは言え、1万円以下であることとオープンイヤータイプイヤホンであることを考えれば十分良い音だと思います。
カナル型やヘッドホンなどと比べて装着したときにズレたり耳の形などによっても音が遠く感じたり、やたらと軽く感じることもあるため筆者が悪かった可能性も当然あります。このあたりはオープンイヤータイプの難しいところですね。
オープンイヤのため周囲の音はしっかりと聞こえますので自宅や職場、運動中に周囲の声や音に気を配りたいときにはピッタリです。コンパクトサイズのため耳への負担もそこまで大きくなく、蒸れにくいので特に運動中には便利です。
アプリ
ここでアプリについて紹介しておきますが、アプリではタップ操作の変更とイコライザー、ファームウェアアップデート、クイックガイド、落ち着くサウンドを利用できます。
ボタン操作に関しては左右それぞれに2回または3回タップに操作を割り当てることができます。イコライザー(カスタマイズEQ)は10項目からカスタマイズすることができますが、プリセットなどは用意されていないのでユーザーが手動で調整する必要があります。
最低限の設定ができるというだけなので、タップ操作もEQもデフォルトで良ければアプリを入れないという選択肢もあります。ただファームウェアアップデートをする必要があるので悩ましいところ。ちなみに登録等を必要とせずアプリを使うことができるのはGoodです。
マイク
マイクについては、今回も自宅とカフェでテストしてみましたが、周囲の雑音はしっかりとカットしており実用的だと思います。自宅では隣の部屋で音楽を流していましたが取り込まれておらず、通話や会議でも十分使えそうです。ただ、自分が喋っているときに時折周囲の人の声も取り込んでしまっており、人の声が入りやすいオフィスやカフェだと少し不安があります。
どちらの場合でもちゃんと声を届けることはできていますので、使うのであれば人の声が入りにくい静かな部屋や屋内外での運動中などが良いと思います。
最後に実際に使っていて気になったというか、あれば良かったと思う点は以下の2つでした。
- ワイヤレス充電非対応
- マルチポイントペアリング非対応
ワイヤレス充電については、わざわざケーブルで充電することが面倒なためあったほうが取り回しがしやすかったと思います。マルチポイントペアリングがあれば、自宅やオフィスでの作業中にスマホとPCなどに同時接続しておけるので通話対応などの切り替えが楽になったと思います。
とは言え、マルチポイントペアリングについては例えば移動や運動中のみで使う場合には不要だと思うので、使い方次第でデメリットにはなりません。もちろんワイヤレス充電も同じことは言えます。このあたりはイメージする使い方次第ですので、用途に合っているのであれば問題はないでしょう。
あと、ユーザーによっては高音質コーデックに対応していないことも気になるかもしれませんが、運動中に使うことを考えたらそこまで重要かどうかは微妙なので、これもなくて良いというユーザーには問題になりません。
いずれにしても1万円以下のオープンイヤータイプのワイヤレスイヤホンとしては十分な機能を備えていると思いますので、手頃な値段でオープンイヤーイヤホンを求めているユーザーには良い選択肢になると思います。
まとめ
1MORE Fit SE S30 は1万円以下の価格で購入できるオープンイヤータイプのイヤホンとしてはスタンダードなもので、音や操作性、装着感などバランスの取れたモデルだと思います。一方、前述のように安価だからこそ不足している機能もありますが、それをデメリットに思わなければ検討する価値はあります。
販売価格は9,999円ですが、Amazonなどでは時折クーポンが発行されていて7〜8千円前後で購入できることもあります。そのタイミングで購入することができればコストパフォーマンスはさらに高くなるのでオススメです。