Google は、Chrome 157 に関する企業および教育機関の管理者向けのリリースノートを公開しました。
今回のアップデートでは、管理対象外デバイスにおける拡張機能のインストール制限、子プロセスへの動的なセキュリティパッチ適用、Chrome 以外のブラウザに対するセキュリティ拡張機能の提供など、多数のセキュリティや生産性向上のための機能が追加されています。
Chrome ブラウザの主な変更内容
Chrome 157 では、AI を活用した新機能の追加や、ブラウザのセキュリティとパフォーマンスを向上させるための変更が多数行われています。
Gemini in Chrome の機能拡張
Chrome に組み込まれた Gemini について、これまでのリリースで自動ブラウジング機能やファイルアップロード、バーチャル試着などが段階的に展開されてきました。Chrome 157 では、これまでの AutofillPredictionSettings ポリシーが AutofillGenAiSettings ポリシーに置き換えられます。管理者は GeminiSettings や GenAiDefaultSettings などを使用して機能を制御できます。
Chrome のその他メニューの新しいデザイン
パソコン版 Chrome では、今後数回のリリースにわたって UI のモダン化とすっきりとしたデザインへの刷新が行われています。Chrome 157 では、その他メニューのデザインが刷新され、あらゆる機能を網羅した包括的なメニューとして展開されます。
既定の検索エンジンまたは新しいタブページの設定のオーバーライドの防止
管理対象外のデバイス上で、拡張機能が既定の検索エンジンや新しいタブページを変更することを制限します。Chrome Settings Overrides API などを利用してポリシーでインストールされたと特定される拡張機能は無視され、実行できなくなります。
管理者は新しい ExtensionForceInstallWithSearchOrNewTabOverridesEnabled ポリシーでこの動作を制御可能です。
デフォルトの検索エンジンの AI チャットボタン
アドレスバーにサードパーティ検索エンジンの AI チャットボタンが表示されるようになり、ユーザーはワンクリックで AI チャットにアクセスできます。
管理者は新しい ThirdPartyAiChatSettings ポリシーと既存の AIModeSettings ポリシーを組み合わせて管理できます。Android の Chrome 157 で展開されます。
Android でのアプリ評価メッセージ
一部の Android ユーザーに対して、Google Play ストアのアプリ内評価に関するメッセージが表示されるようになります。
管理者は必要に応じて AppStoreRatingEnabled ポリシーで無効化できます。
バックグラウンド フェッチに対する CORS の適用
Background Fetch API において、クロスオリジン リソース シェアリング (CORS) が適用されます。通常のフェッチリクエストと同じセキュリティポリシーが適用されるようになり、セキュリティポリシーチェックの回避を防ぎます。
BFCache エントリでの WebSocket の切断
アクティブな WebSocket 接続があるページをバックフォワード キャッシュ (BFCache) に保存できるよう、ページ保存時に WebSocket が自動で切断されるように動作が変更されました。以前の動作に戻すための BackForwardCacheForWebSocketsAllowed ポリシーは非推奨となり、Chrome 157 で削除される予定です。
子プロセスへの動的なパッチ適用
ブラウザを再起動することなく、新しく起動した子プロセスにステージングされたセキュリティアップデートを動的に適用します。管理者は DynamicPatchingEnabled ポリシーを使用して制御できますが、有効にするには ComponentUpdatesEnabled によるコンポーネント更新も許可されている必要があります。Windows の Chrome 157 で展開されます。
新しい自動入力の設定
Chrome 137 以降で段階的に展開されてきた「より高度なフォーム認識」や「高精度の自動入力」が拡張されます。Chrome 157 では、Gmail やフォトからの情報を使用した AI による高精度の自動入力が一部のユーザー向けに利用可能になり、AutofillGenAiSettings ポリシーで制御できます。
Chrome Enterprise Core の主な変更内容
Chrome Enterprise Core においては、認証スキームの管理をより細分化するための新しい制御ポリシーが導入されています。
HTTP 認証スキームでのプロキシ サポートの個別制御
HTTP 認証スキームに対する管理制御において、オリジンとプロキシの設定が分離されました。Chrome 157 ではプロキシ認証を個別に管理するための新しい AllHttpAuthSchemesAllowedForProxies ポリシーが導入され、後のリリースで既存のポリシーからプロキシサポートが削除されます。
Chrome Enterprise Premium の主な変更内容
Chrome Enterprise Premium では、Chrome 以外のブラウザ環境に対しても企業向けのセキュリティポリシーを適用するための機能が導入されます。
Chrome 以外のブラウザに対応したセキュアな企業向けブラウザの拡張機能
IT 管理者が設定することで、Chrome 以外のブラウザにアクセス制御を適用できる「セキュアな企業向けブラウザの拡張機能」が利用可能になります。Chrome 157 では macOS および Windows 版の Microsoft Edge 向けに提供され、インラインユーザーガイダンスや一元管理をサポートします。
今後の変更点
リリースノートでは、今後の Chrome バージョンで予定されている機能追加や仕様変更についても言及されています。これらは実験的または計画中のアップデートであり、安定版に導入される前に変更または延期される可能性があります。
Chrome ブラウザの今後の変更点
- XSLT のサポート終了と削除: Chrome 158 の Stable リリースで機能が完全に停止します。
- 古い OS のサポート終了: macOS 11 以前および Windows 8.1 以前の Chrome リモート デスクトップのサポートが終了し、Chrome 168 で接続が完全にブロックされます。
- WebRTC ピア接続メソッドのサポート終了と削除: 非標準の RTCPeerConnection.createDTMFSender() のサポートが Chrome 160 で終了します。
- file:// 以外の URL ホストでのスペースの禁止: URL 標準仕様への準拠のため、Chrome 167 より適用されます。
- HTML インストール要素と Web Install API: クロスオリジンのウェブアプリをインストールするための新しい要素と API が Chrome 158 で提供されます。
- Digital Credential API のプロトコル フィルタリング: 未指定のプレゼンテーションプロトコル等のサポートが Chrome 160 で削除されます。
- WebRTC の DTLS 向けポスト量子暗号: Chrome 168 で WebRtcPostQuantumKeyAgreement ポリシーが削除されます。
- プロファイル作成フローのデザイン変更: 初回起動時の機能紹介やウェルカムステップが Chrome 159 (Windows) および Chrome 161 (Mac、Linux) で追加されます。
Chrome Enterprise Core の今後の変更点
- ローミング プロファイル ポリシーのサポート終了: Chrome 161 で RoamingProfileSupportEnabled などのポリシーが完全に削除されます。
- Chrome Management API を使用したブラウザ管理: ベータ版の Takeout API と Enrollment Token API が Chrome 167 で非推奨となり、新しい API へ移行します。
Chrome Enterprise Premium の今後の変更点
- Chrome プロファイル シグナルの共有 (iOS): Chrome 158 で管理対象プロファイルがデバイスのポスチャーと ID シグナルを共有できるようになります。
- カスタム HTTP ヘッダー: Android 向けの Chrome 160 で、特定の URL パターンに対してカスタムヘッダーの挿入機能が提供されます。
- DLP コピー防止トリガー: Chrome 160 でローカルアプリケーションへのコピー操作に対する新しいルールトリガーが導入されます。
- CAA シグナル レポートの証明書: Chrome 159 で、企業発行のクライアント証明書の情報の収集とレポート機能が追加されます。
まとめ
Chrome 157 のアップデートでは、管理対象外デバイスにおける拡張機能の強制的な設定変更の制限、子プロセスへの動的なセキュリティパッチ適用、Gemini in Chrome の継続的な機能強化など、利便性とセキュリティを向上させる重要な変更が多数導入されています。
また、Chrome Enterprise Premium においては Chrome 以外のブラウザに対するアクセス制御機能が追加され、企業環境での一貫したセキュリティ管理がさらに強化されます。
今後のアップデートで予定されている XSLT のサポート終了や古い OS のリモートデスクトップ接続ブロックなどに向け、管理者は組織の環境やポリシー設定を早めに見直すことをお勧めします。











