Google は 2026 年 3 月 25 日(現地時間)、将来的な量子コンピューターによるハッキングの脅威に備えるため、次期 OS である Android 17 に「耐量子計算機暗号(PQC)」を導入することを発表しました。
これは、米国国立標準技術研究所(NIST)が策定した最新の標準規格を採用したもので、直近に配信される Android 17 のベータ版(おそらく Android 17 Beta 3)からテストが開始され、最終的な正式リリース版での実装を目指して展開が進められています。
量子コンピューターの脅威と先回りの対策
現在、インターネットやスマートフォンで利用されている強力な暗号化技術は、非常に複雑な数学の問題をベースにしています。これは解読に膨大な時間がかかるため安全だとされていますが、根本的に異なる仕組みで動作する「量子コンピューター」が実用化されれば、既存の暗号が短時間で破られてしまうリスクが指摘されています。
Google のセキュリティブログによれば、この脅威が現実のものとなる前に、テクノロジー業界全体で新しい暗号化基準(PQC)への移行を進める必要があるとしています。
デバイスの起動からアプリの実行までを保護
Android 17 における PQC の導入は、単に一部の通信を保護するだけにとどまらず、プラットフォーム全体のアーキテクチャを刷新する大規模なものになります。
まず、デバイスが起動する際のセキュリティ(Android Verified Boot)がアップグレードされます。これにより、起動時に読み込まれるソフトウェアが改ざんされていないかをチェックする機能が、将来の量子コンピューターを用いた攻撃に対しても耐性を持つようになります。
さらに、Android システム内で安全に鍵を保管する「Android Keystore」も新しい規格にネイティブ対応します。少し専門的になりますが、限られたメモリ容量の安全な領域(TEE)でこの高度な暗号処理を行えるようにしたことは、技術的に大きな進歩だと言えます。
ユーザー視点で見れば、より強固な金庫がスマートフォン内に用意され、個人情報や認証データが確実に守られるようになるというイメージです。
開発者の負担を減らし、ユーザーへ安全なアプリを提供
OS 自体の保護に加えて、日々利用するアプリの安全性も強化され、Google Play を通じて配信されるアプリのインストールやアップデートが、将来にわたって改ざん不可能な状態であることを保証する仕組みが導入されます。
何十億台ものデバイス向けにこの変更を適用するのは非常に複雑な工程ですが、Google Play のアプリ署名機能(Play App Signing)を活用することで、開発者は複雑な手動管理を行うことなく、自動的に新しい安全基準(ハイブリッド署名)へアップグレードできるようになります。
これは開発者の負担を最小限に抑えつつ、ユーザーが気付かないうちにアプリの安全性が底上げされるアプローチと言えます。
まとめ
Android 17 への PQC 導入は、Google が 2016 年から進めてきたポスト量子暗号への移行における重要なフェーズとなります。目に見える新機能ではありませんが、今後数十年先も安心してスマートフォンを使い続けるために必要不可欠なアップデートと言えます。
とくに最新の Pixel デバイスなどにおいて、このハードウェア保護機能が最大限に発揮されることが期待されます。
これらのテストは、次の Android 17 ベータ版(Android 17 Beta 3)から順次開始される予定です。今後もベータ版のアップデートが配信され次第、新しい情報を追ってお伝えしていきます。
Android 17 のこれまでの新機能やベータ版でのその他の変更点については、以下の記事などでまとめています。
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