Android 16 QPR3 Beta 1 の展開に伴い、Google はついに Pixel 10 シリーズ(Tensor G5 搭載)に向けた GPU ドライバーのアップデートを提供しました。
今回のアップデートでは、Imagination 製ドライバーがバージョン 1.634.2906 へと更新され、Vulkan 1.4 のサポートやパフォーマンスの改善が含まれています。
Pixel 10 Pro は、発売当初からフラッグシップモデルとしてはゲーム性能、特に GPU における力不足が指摘されていましたが、今回の更新によってどこまで改善されたのかについて、Android Authority が実機検証を行っています。
一般的な Android ゲームでのパフォーマンス向上
検証結果によると、「原神」や「Asphalt Legends」といった一般的な Android ゲームにおいては、平均フレームレートなどのパフォーマンス向上が確認されました。

「原神」では平均フレームレートが約 17.9%、「Asphalt Legends」では約 8.6% 向上したとしており、これまで見られたカクつきや動作の遅延が減少し、よりスムーズな描画が可能になっているようです。
一方で、「Call of Duty Mobile」のような元々最適化が進んでいるタイトルでは、改善幅は 2〜3% 程度と誤差の範囲です。
エミュレーター動作は OpenGL で改善、Vulkan には課題
ゲームエミュレーターを使用した検証では、OpenGL 環境下の「Wii 版マリオカート」(Dolphin エミュレーター)で6.6%、「Need for Speed: Most Wanted」(NetherSX2)で 9.5%、「F-Zero GX」では 27% といったパフォーマンスの向上が見られました。
しかし、Vulkan API を使用した場合、OpenGL 環境と比較するとパフォーマンスは低く、昨年の Pixel 9 シリーズ(Mali GPU 搭載)よりも劣る結果となっています。
ドライバの更新によってわずかに数値は改善していますが、Pixel 10 シリーズで Vulkan ベースのエミュレーションは快適に動作するとは言えない状況です。
まとめ
今回の Android 16 QPR3 Beta 1 によるドライバ更新により、Pixel 10 シリーズにおけるゲームプレイのパフォーマンスは平均して 5 〜 10% 向上し、タイトルによってはそれ以上の改善が見込めます。
とはいえ、これだけで Snapdragon 8 Elite Gen 5 などの競合チップに対抗できるゲーミング性能になるわけではありませんが、ソフトウェアのアップデートにより、明確に差が出ることが期待される点は Pixel ユーザーにとって大きなメリットだと考えられます。
Android 16 QPR3 安定版は、2026 年 3 月にリリースが予定されているため、Pixel10 シリーズユーザーはいましばらく待つ必要があります。


