Google Pixel 10 Pro XL で、人気ゲーム「原神 (Genshin Impact)」のプレイ中に発生するグラフィックの不具合が Reddit などで話題となっています。
一部の投稿では、画面のちらつきや操作不能、描画崩れなどが確認されており、Google が採用した PowerVR GPU に対する懸念が再燃しています。
しかし実際の検証では再現しない例も報告されており、今回の問題は特定条件下で発生している可能性もあります。
SNS で拡散した「原神」の不具合動画
週末にかけて、Pixel 10 Pro XL で「原神」の最新版を実行中に発生する不具合動画が SNS 上で拡散されました。
これにはテクスチャのちらつきや操作の遅延、画面が分断されるようなティアリングなどが確認されており、視覚的にもゲームプレイに支障が出るレベルです。
これらの現象を受けて、Pixel 10 シリーズで採用された PowerVR GPU の互換性やパフォーマンスへの懸念が改めて指摘されています。
原因は PowerVR GPU?互換性の問題が浮上
Pixel 10 シリーズでは、これまでの ARM Mali GPU から、Imagination Technologies 製の PowerVR DXT-48-1536 に変更されました。
一方で、「原神」の開発元は 2025 年 8 月のアップデート (v5.0) で PowerVR GPU へのサポートを終了しており、この変更との互換性が今回の問題の一因ではないかと見られています。これにより「Pixel 10 では原神が動作しない」といった不安が拡大する要因となりました。
実機の検証では正常に動作
Android Authority などの海外メディアや HelenTech での実機検証では、Pixel 10 Pro (10 Pro XL) 上で「原神」を含む複数の人気ゲーム (Call of Duty: Mobile、Honkai: Star Rail、PUBG Mobile など) は正常にインストール・動作しており、報告されている不具合は確認されませんでした。
このことから、不具合が必ずしも Pixel 10 すべての個体で発生しているわけではなく、特定の条件 (ゲームのビルド、地域設定、古いドライバなど) に起因している可能性が高いと考えられます。
以前から指摘されていた GPU パフォーマンスの課題
今回の不具合をきっかけに再び注目されていますが、Pixel 10 シリーズの GPU に関する課題は以前から一部で話題になっていました。
当初、一部のユーザーから「Pixel 10 シリーズの GPU は意図的にアンダークロックされているのでは?」という指摘がありましたが、これについても Android Authority は別途検証を行っています。
その結果、実際には GPU は状況に応じて 396MHz〜1.1GHz の範囲でクロックを動的に調整しており、意図的な性能制限ではなく、「race to idle」と呼ばれる熱・電力効率を最優先とした設計が採用されていることが明らかになっています。
ただし、この設計は高負荷が長時間続くゲームプレイでは、発熱やパフォーマンス低下につながりやすい側面もあります。
古い GPU ドライバと Google の今後の対応
Pixel 10 シリーズに搭載されている PowerVR GPU には、現時点で古いバージョン (v24.3) のドライバが適用されています。
Imagination Technologies はすでに Android 16 互換や Vulkan 1.4 をサポートする最新版 (v25.1) を 8月にリリースしており、Google がまだこれを展開していないこともパフォーマンスへの影響要因と考えられます。
Google は通常、Pixel Drop を通じてドライバ更新を行っているため、次回 12 月の Android 16 QPR2 アップデートで改善される可能性があります。
今後の焦点は「開発側のサポート継続」
現時点では、Pixel 10 シリーズが全体として高負荷ゲームに対応できる性能を備えていることは確かです。
しかし、「原神」のように PowerVR GPU のサポートを終了するタイトルが増えれば、Google は次世代 Pixel での GPU 戦略を見直す必要に迫られる可能性があります。
ゲームを重視するユーザーは、引き続き GPU ドライバの更新やサポート状況を注視する必要があります。