Google の最新スマートフォン Pixel 10 シリーズですが、Pro モデルである「Pixel 10 Pro」と「Pixel 10 Pro XL」には、Google が公式に発表していない隠れた動画撮影機能があることが明らかになりました。
この機能はシリーズ初となる 12-bit 4K RAW 動画撮影に対応するもので、特定のサードパーティ製アプリを介して利用できます。
Pixel 10 Pro の隠された動画撮影機能
この機能は Reddit ユーザーが発見したもので、「Pixel 10 Pro」と「Pixel 10 Pro XL」が 12-bit 4K RAW 動画撮影に対応していることを示しました。

ただし、デフォルトの Pixel カメラアプリでは、従来の Pixel スマートフォンと同様に 10-bit 動画撮影に制限されています。
しかし、「MotionCamPro」のような高度な撮影モードを備えたサードパーティ製のカメラアプリをインストールすることで、この 12-bit 撮影機能を利用できるようになります。
12-bit 動画撮影のメリットとは
ビット深度が高いほど、スマートフォンはより広いダイナミックレンジを捉えることができます。
例えば、10-bit が約 10 億 7000 万色を記録できるのに対し、12-bit はその 64 倍となる約 687 億色の情報を記録可能です。
これにより、明るい部分の白飛びや暗い部分の黒つぶれのリスクが大幅に低減され、シャドウとハイライトのディテールがより豊かに表現された映像を撮影できます。また、編集時の自由度も格段に向上します。
12-bit 撮影を可能にする技術
この高度な動画撮影機能は、「Pixel 10 Pro」と「Pixel 10 Pro XL」に搭載されている Samsung 製イメージセンサー「ISOCELL GNV」とその技術によって実現されています。
このセンサーは「Smart-ISO Pro」という技術を備えており、これは実質的に Dual Conversion Gain (DCG) と呼ばれるものです。
DCG は、時間差で複数枚の画像を撮影して合成する一般的な HDR 技術とは異なり、2 つの異なる ISO 感度の画像を「同時に」捉えて合成します。この仕組みにより、モーションブラー(被写体ブレ)のリスクをなくし、低 ISO 感度での鮮やかな色と高 ISO 感度での豊かなシャドウディテールを両立した、ダイナミックレンジの広い映像を生成します。
そして、このセンサーは撮影されたデータを 12-bit RAW ファイルとして出力することが可能です。
Pro モデル限定の機能
この 12-bit 動画撮影機能は、前述の Samsung ISOCELL GNV センサーを搭載する「Pixel 10 Pro」と「Pixel 10 Pro XL」のメインカメラでのみ利用可能です。
ベースモデルの「Pixel 10」も DCG と 12-bit 出力に対応した Samsung GN8 センサーを搭載していますが、4K 動画撮影に必要なデータ転送の帯域幅が不足しているか、あるいはセンサーサイズが比較的小さいため、品質や電力消費の制約からこの機能が有効化されていない可能性があります。
まとめ
「Pixel 10 Pro」と「Pixel 10 Pro XL」は、サードパーティ製アプリを利用するという一手間は必要ですが、コンテンツ制作者にとって非常に魅力的な 12-bit 4K RAW 動画撮影に対応していることが明らかになりました。
Google がこの優れた機能を発表時にアピールしなかった理由は不明ですが、今後のアップデートで標準のカメラアプリでも高ビット深度撮影がサポートされることが期待されます。
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