Google は 2025 年 8 月 19 日 (米国時間)、Chromebook などのサポートされる ChromeOS デバイスおよび ChromeOS Flex デバイスに向けて、ChromeOS 139 安定版のメジャーアップデートをリリースしました。このアップデートは今後数日かけて、順次展開される予定です。
今回のアップデートにより、Chrome ブラウザのバージョンは 139.0.7258.137、プラットフォームのバージョンは 16328.55.0 へと更新されます。
現時点では、今回のアップデートに関するリリースノートには、主にセキュリティ修正に関する内容が記載されています。
新機能や変更点に関する詳細な情報はありませんが、すでに管理者向けリリースノートが公開されており、変更点を確認することができます。
ChromeOS 139 の変更点
ChromeOS 139 の管理者向けリリースノートから、ユーザーに影響のある変更点を抜粋して紹介します。
Chrome アプリのサポート終了
Windows、macOS、Linux といった主要な OS の Chrome ブラウザではすでにサポートが終了していますが、ChromeOS 139 からは、Chromebook でもユーザーが Chrome ウェブストアからインストールしている「Chrome アプリ」が動作しなくなります。
該当する Chrome アプリを起動すると、以下のような通知が表示されます。

そのため、Chrome アプリを利用している場合には、PWA (プログレッシブ ウェブアプリ) や Android アプリといった代替手段に移行してください。
ただし、Google がプリインストールしている「Text」アプリなど一部の Chrome アプリや、Google Workspace アカウントで企業の管理下に置かれている場合などは、引き続き Chrome アプリを使用できる場合があります。
詳細については、以下の記事で紹介していますので、特に管理者の方はご一読ください。
「デスク同期」の導入
ChromeOS の「デスク同期」機能は、ChromeOS 138 でも一部導入が開始されていましたが、ChromeOS 139 でも改めて告知されました。

「デスク同期」は、ユーザーがデバイスを切り替えた際に以前の作業環境を素早く復元できる機能です。前回のセッションで開いていたすべてのウィンドウ、タブ、さらには Cookie まで復元されるため、デバイスを切り替えて作業するユーザーには非常に便利な機能です。
ただし、この機能は一般ユーザーには公開されておらず、Google Workspace アカウントで管理者が設定した場合にのみ使うことができます。
詳細については以下の記事をご覧ください。
タッチスクリーンのキャリブレーションツール導入
Chromebook に接続された外部のタッチスクリーンディスプレイの境界線を調整(キャリブレーション)するツールが利用可能になりました。
この機能は、[設定] > [デバイス] > [ディスプレイ] から、該当する外部タッチスクリーンディスプレイを選択し、「タッチスクリーンを調整」にアクセスすることで利用できます。
ChromeOS 139 のセキュリティアップデート
今回のアップデートでは、ChromeOS 本体と、内蔵されている Chrome ブラウザの両方で脆弱性が修正されています。
ChromeOS のセキュリティ修正
ChromeOS に関する脆弱性として、サードパーティコンポーネントで発見された以下の内容が修正されました。
- CVE-2025-0932 (High): GPU ドライバの脆弱性
- 画面表示やグラフィック処理を担う GPU (グラフィックプロセッサ) のドライバに関する問題です。この脆弱性を悪用されると、アプリケーションがクラッシュしたり、システムの深い部分へ不正にアクセスされたりする恐れがありました。
- CVE-2025-38349 (Medium): Linux システムの脆弱性
- ChromeOS の基盤である Linux システムに関する問題です。デバイスにログインしているユーザーが、本来許可されていない操作を実行し、システムを不正に変更できてしまう可能性がありました。
これらの修正により、OS レベルでのセキュリティが強化されています。また、この他に Android 関連のセキュリティ修正も含まれています。
Chrome ブラウザのセキュリティ修正
ChromeOS に内蔵されている Chrome ブラウザにおいても、V8 (JavaScript エンジン) や ANGLE (グラフィックエンジンライブラリ) などに関する複数の脆弱性が修正されています。
- CVE-2025-8901 (High): ANGLE における範囲外の書き込み。
- CVE-2025-8880 (High): V8 (JavaScript エンジン) における競合状態 (Race)。
- CVE-2025-8879 (High): libaom におけるヒープバッファオーバーフロー。
- CVE-2025-8578 (Medium): Cast における解放済みメモリの使用 (Use-after-free)。
- CVE-2025-8881 (Medium): File Picker における不適切な実装。
発生している問題について
記事執筆時点では、ChromeOS 139 へのアップデートに関連する、ユーザーに影響を与える大きな問題は報告されていないようです。今後、問題などが発生した場合には改めてお知らせします。
もし、アップデート後に一般的なトラブルシューティングでも解決できない問題に遭遇したときには、以下の手順で Google にフィードバックを送信してください。
- ChromeOS の [設定] > [ChromeOS について] > [フィードバックを送信]
既知の問題について
一部のユーザーに影響を与える問題として、ChromeOS 138 以降で次のような問題が発生しています。これについては、記事執筆時点では未解決となっています。
- 一部の Chromebook から Play ストアが消えるバグ: ChromeOS 138 へのアップデート後、一部のデバイスで Play ストアのアイコンやインストール済みアプリが消える問題が報告されています。Google はこの問題を認識し修正に取り組んでいますが、具体的な修正時期はまだ不明です。
この他にも細かい問題が報告されていましたが、再現できないものやユーザーに大きな影響を与えるものではないもの、すでに修正済みのものとされています。
まとめ
今回の ChromeOS 139 へのアップデートは、複数のセキュリティ問題への対処が中心となっています。特に GPU ドライバや V8 エンジンに関連する深刻度の高い脆弱性が修正されているため、アップデートが利用可能になり次第、適用することをおすすめします。
アップデートはすべてのデバイスに同時に配信されるわけではなく、数日かけて順次展開されるため、まだ通知が届いていない場合でもしばらく待ってみてください。
お使いの Chromebook でアップデートを確認するには、[設定] > [ChromeOS について] > [アップデートを確認] に進んでください。
なお、組織で管理されているデバイスの場合は、管理者がアップデートを制限していることもあります。
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出典: Chrome Release