Google が開発を進めている Android のデバイス間連携機能、通称「Handoff」の開発に進展が見られ、デバイスを超えてファイルやアプリを共有するための新しい設定画面が発見されました。
この情報は Android Authority (Assemble Debug 氏) が、Google Play 開発者サービス v25.29.31 ベータ版の APK を解析したところ発見したものです。
デバイス間の「ファイルとメディアの共有」
Android には既に、インターネット共有やデバイス間の通話転送といった連携機能が「複数デバイス間サービス」として提供されています。今回発見されたファイル共有やアプリ共有の機能は、これをさらに強化するものと考えられます。これは、 Apple のエコシステムが持つ強力な連携機能に対抗する動きと見られます。
新たに追加された「ファイルとメディアの共有」というトグルは、有効にすることで同じ Google アカウントでログインしているデバイス間でファイルにアクセスできるようになると説明されています。
現在はまだ機能しませんが、この UI の存在は、 Google が Nearby Share とは異なる、よりシームレスなファイル共有の仕組みを準備していることを示唆しています。

他のデバイスのアプリも操作可能に?
さらに、他のデバイスにインストールされているアプリをリモートで操作できる可能性も報告されており、アプリドロワーの上部にドロップダウンメニューが表示される UI が見つかりました。
現状では「ローカルデバイス」しか表示されませんが、将来的にはここに接続されている他のデバイス(タブレットや PC など)がリストアップされ、スマートフォンにしかないアプリをタブレットから起動する、といった操作が可能になることが期待されます。
この機能は、以前発見された以下の文字列からも裏付けられます。
<string name="feature_multidevice_sync_summary">Continue tasks and access apps, media, and notifications across your devices</string>
※ デバイス間でタスクを継続し、アプリ、メディア、通知にアクセスします
この記述にある「アプリ、メディア、通知へのアクセス」のうち、今回の発見はメディア共有(ファイル共有)とアプリへのアクセスの UI に当たると思われます。残る「タスクの継続」が、 Apple の Handoff の最大の特徴である「アプリの状態を引き継ぐ」機能に相当するのかどうかは、まだ確認されていません。
Chromebook の「スマートフォンハブ」に近い?
これらの機能の説明から考えると、現在 Chromebook などの ChromeOS デバイスで利用できるスマートフォンとの連携機能「スマートフォン ハブ(Phone Hub)」に近い機能になる可能性もあります。
「スマートフォン ハブ」は、Chromebook の画面から Google Pixel など一部のデバイスの機能を使用することができます。たとえば、Chromebook でスマートフォンの通知を確認することや、モバイルの Chrome ブラウザで開いているタブを表示したり、最近使ったアプリをストリーミングしたりすることが可能です。また、最近の 4 件の写真であれば Chromebook から直接操作(ダウンロード)することが可能です。

とはいえ、Chromebook の場合はかなり限定的な動作になるため、今回 Android で開発されている「Handoff」はさらに便利な機能となる可能性があります。
まとめ
今回設定 UI が発見されたことで、 Android 版「Handoff」が単なるコンセプトではなく、具体的な実装段階にあることを示唆しています。ただし、これらの機能はまだ開発の初期段階にあり、最終的にどのような形でリリースされるか、あるいはリリースされない可能性も残されています。
しかし、今後 ChromeOS と Android の統合が近づくにつれて、ファイル共有やアプリのリモート起動が実現すれば、 Android スマートフォン、タブレット、将来的には PC / Chromebook も含めたデバイス間の利便性が飛躍的に向上することは間違いありません。