Android のユーザー補助機能機能(アクセシビリティ機能)の一つである画面拡大ツールが、長年の課題であったキーボードの非対応問題を解消するアップデートを準備していることが明らかになりました。これにより、視覚に障碍を持つユーザーなどが、より快適に文字入力を行えるようになることが期待されます。
Android Authority によると、この新機能は現在、開発者向けの Android Canary リリースで有効になっており、将来的に Pixel スマートフォンなどに提供される可能性があることを報じています。
新機能「キーボードを拡大」とは
Android に標準搭載されている「拡大」機能は、これまで画面全体または一部をズームできるものの、キーボードとナビゲーションバーは拡大の対象外でした。
これは、Android のシステムがアプリの上に重なって表示されるレイヤーの拡大をサポートしていなかったためとされています。そのため、ユーザーは画面をどれだけ拡大しても、キーボードの文字や絵文字は小さいままで、視認性の面で大きな課題となっていました。

今回、この問題を解決するのが、新たに追加される「キーボードを拡大」オプションです。
設定方法と機能
この新機能は、[設定] > [ユーザー補助] > [拡大] の中にトグルスイッチとして追加されます。デフォルトではオフになっていますが、有効にすると、全画面拡大モードを使用している際にキーボードとナビゲーションバーも一緒に拡大できるようになります。
これにより、ユーザーは文字や絵文字を大きく表示させ、タイプミスを減らすといった恩恵を受けることができます。

現在は開発中の機能
この「キーボードを拡大」機能は、現在 Android Canary リリースで有効になっています。Canary ビルドは、一般公開されているベータプログラムのベータ版とは異なる開発者向けのものであり、ここでテストされている機能が必ずしも次の四半期プラットフォームリリース (QPR) に含まれるとは限りません。
実際に、最新のベータ版である Android 16 QPR1 Beta 2 では、機能の基盤となるコードは含まれているものの、まだ有効化されていません。そのため、正確なリリース時期は不明ですが、将来的に Pixel スマートフォン向けの Android アップデートで提供されることが期待されます。
なお、この機能は昨年、Amazon のエンジニアによって Android オープンソースプロジェクト (AOSP) で貢献されたものです。Google の開発プロセスの変更により、この貢献が受け入れられたことが最近になって明らかになりました。これは、Google 外部の開発者による貢献が、時間差はあれど製品に統合される良い事例となります。
まとめ
今回の報告により、Android の画面拡大機能における一つの課題が、ようやく解消される可能性があります。
キーボードが拡大できるようになることで、特に視覚にサポートを必要とするユーザーにとって、スマートフォンの操作性が大幅に向上することは間違いありません。この機能が、いつ正式にリリースされるかは分かりませんが、早く安定版として多くの Pixel ユーザーに届くことに期待です。