Google は 2025 年 6 月 30 日(現地時間)、教育現場における学習と指導を強化するため、ChromeOS 向けの新しいツールとデバイスを発表しました。生徒中心の探求と批判的思考を促進することを目指し、コンテンツ共有を効率化する「クラスツール」や、AI 機能を搭載した新しい「Chromebook Plus」などが登場します。
なお、今回発表された新機能やデバイスの多くは、今年 1 月にロンドンで開催された「BETT 2025」や 5 月に東京で開催された「EDIX (教育総合展) 2025」など、以前のイベントで紹介されていた内容を更新し、正式に提供を開始するものとなります。
教育者と生徒のための新しい ChromeOS ツール
今回、教育者と生徒の双方にとって有用な、新たなツールのリリースが発表されました。
授業時間を最大限に活用する「クラスツール (Class tools)」
本日発表された「クラスツール」は、管理対象の Chromebook 向けの新しい指導モードです。この機能により、教育者は生徒の画面との間でコンテンツを簡単に共有できます。
Google Classroom または共有コードを介して生徒と直接接続し、動画や記事、スライド、クイズといったリソースをまとめたワークブックを配布できます。
また、クラスツールには、教師の指示を生徒の画面にキャプション付きでブロードキャストする機能も含まれています。これにより、生徒は自分のペースで読み進めることができ、キャプションの言語を変更することも可能です。この機能は、第二言語として学習している生徒や、聴覚に障碍のある生徒、実行機能スキルを構築中の生徒にとって特に役立ちます。
さらに、生徒の成果をクラス全体に紹介したり、生徒の画面のライブビデオフィードを通じて進捗を確認したりすることもできます。
パイロット導入を行った Burnt Hills-Ballston Lake の技術担当アシスタントディレクターである Michael Steinberg 氏は、「生徒のデバイスをフォーカスモードに設定し、教師がブラウジングを特定のタブに制限できる機能は、生徒をタスクに集中させる上で非常に価値があります」と述べています。
クラスツールは、Google Workspace for Education Plus のライセンスを割り当てられた教師で、かつ教育者を含むクラスルーム全体が Chromebook を使用している場合に利用可能です。
ユニバーサル書画カメラアプリ「Camera Studio」
これまで多くの書画カメラに付属するアプリは Chromebook との互換性に課題がありましたが、まもなく ChromeOS に最適化されたユニバーサル書画カメラアプリ「Camera Studio」が登場します。
このアプリは、一般的なすべての書画カメラで動作するように設計されており、インタラクティブフラットパネルディスプレイ (IFPD) を使用して、資料の提示、保存、共有、注釈付け、拡大、ミラーリングなどを行うことができます。
Camera Studio は、今後数ヶ月以内に Google for Education App Hub で利用可能になる予定です。また、管理者は管理コンソールから教師の Chromebook にアプリを強制インストールすることもできます。Works with Chromebook プログラムでは、書類だけでなく、科学実験などの立体物を撮影できるカメラも認定されています。
12 機種以上の新しい Chromebook、Chromebook Plus、Chromebox OPS
ハードウェアに関しても、教育現場のニーズに応える新しいデバイスが発表されました。
ただし、これらはすでに発表されているもので、全く新しいデバイスではありません。そのため、ここでは簡単に紹介し、興味のある方は個別記事をご覧ください。
Chromebook Plus
Chromebook Plus は、最新のコンバーチブル、タッチスクリーンとスタイラスペンを備えたモデル、または着脱式モデルとして提供されます。これにより、教育者は教室内を自由に移動しながら指導できます。また、標準的な Chromebook と比較して最大2倍のメモリとパフォーマンスを提供します。
さらに、高度な AI 機能を搭載しており、教育と生産性を向上させます。
- クイックインサートによる画像生成・挿入機能: メールや授業計画に高品質な AI 画像を自動で生成・挿入できます。
- テキストキャプチャ: 画面上のあらゆるものから情報を素早く抽出し、編集可能なテキストに変換します。
- 文書読解サポートの「簡略化」: 複雑なテキストを簡略化し、読みやすくします。
- かこって検索 画面上のものをすばやく特定し、関連情報を取得します。
今回、世界で初めて MediaTek Kompanio Ultra プロセッサを搭載した「Lenovo Chromebook Plus (14”, 10)」が発表され、このデバイスには様々な独自 AI 機能も搭載されています。
教室の大型ディスプレイを活用する「Chromebox OPS」
Chromebox OPS は、既存のインタラクティブフラットパネルディスプレイ (IFPD) などをアップグレードし、ChromeOS で動作させるためのプラグインデバイスです。これにより、教育者は教室の大型ディスプレイを、生徒と同じ OS とアプリが使える巨大なタッチスクリーンコンピュータとして活用できます。
クラスツールと組み合わせることで、生徒の優れた成果をクラス全体に簡単に提示し、共有することも可能です。さつき、LG、AOpen、CTL、Newline から新しい Chromebox OPS デバイスが提供されています。
まとめ
Google は、これらの新しいツールとデバイスによって、教育現場における学習と指導がこれまで以上に簡単になることに期待を寄せています。更新された Chromebooks のウェブページやデバイス検索ページ、教育者向けのトレーニングコースなど、多くの関連リソースも提供されています。
出典: Google