Google は 2025 年の Global Accessibility Awareness Day (GAAD) に合わせて、Android および Chrome のアクセシビリティ(ユーザー補助機能)に関する多数のアップデートを発表しました。
この発表には、Android 版 Chrome における新しいページズーム機能やデスクトップ版でスクリーンリーダーを使用した PDF の操作と読み上げのほか、Talkback への Gemini 機能の導入、Expressive Caption (表現豊かな字幕)に長音表現の追加などが含まれています。
この記事では、特に Android 版 Chrome に搭載された新しい「ページズーム」機能に焦点を当てて紹介しています。
Android 版 Chrome の新しい「ページズーム」機能
Android 版 Chrome の「ページズーム」機能は、従来はウェブページ全体を拡大または縮小するもので、サイトによってはレイアウトが崩れてしまい、左右にスクロールする必要が生じることがありました。
しかし、今回導入される新しいページズーム機能では、テキストサイズのみを大きく調整することができるようになりました。これにより、ウェブページのレイアウトや操作性を損なうことなく、文字を読みやすくすることができます。

この新しいページズーム機能は、デスクトップ版 Chrome と同様に、閲覧するすべてウェブページに対してデフォルトのズームレベルを設定できるほか、特定のウェブサイトに対して個別のズームレベルを設定することも可能です。普段よくみるウェブサイトの文字だけ大きくしたい、あるいは小さくしたいという場合には便利な機能です。
とくに小さなスマートフォンでもテキストを大きくしたい場合、特定のサイトだけ文字が小さい場合、長文の記事を読むとき、一時的に文字を大きくして使いたい場合などに便利です。
設定方法
ページズーム機能を利用するには、以下の手順で設定を有効にします。
- Android 版 Chrome ブラウザを開きます
- 画面右上にある3点リーダー(オーバーフローメニュー)をタップします
- メニューの中から「ズーム」を選択します。
- 表示されたスライダーを調整して、好みのテキストサイズに変更します
Chrome のその他のユーザー補助機能のアップデート
Chrome だけでなく、Android OS 自体のアクセシビリティ機能も AI の活用により進化しています。
表現力豊かな字幕がさらに進化
Android のリアルタイムキャプション機能「表現力豊かなキャプション」がアップデートされ、人々が言葉の音を伸ばして感情を表現する際(例:「最高ーーー!」や「いやーーー」など)のニュアンスを捉えられるようになりました。

また、口笛や咳払いといった認識できる音の種類も増えています。この機能は Android 15 以降のデバイス向けに、米国、英国、カナダ、オーストラリアで英語で提供が開始されます。
TalkBack と Gemini の連携で画像や画面の内容を質問可能に
視覚障碍者向けのスクリーンリーダー「TalkBack」と Google の AI「Gemini」の連携がさらに強化されました。これまでも alt テキストがない画像の AI による説明が可能でしたが、新たに画像について質問したり、画面全体のコンテンツについて質問したりできるようになります。

例えば、友人が送ってきたギターの写真について、メーカーや色、あるいは背景に写っているものについて質問できます。また、ショッピングアプリで商品の素材や割引情報を Gemini に尋ねることも可能です。
まとめ
今回の Android 版 Chrome の「ページズーム」機能のアップデートは、特にテキストの視認性向上を求めるユーザーにとって、かなり実用的な改善となりました。
ウェブページのレイアウトを維持したままテキストサイズを柔軟に変更できるようになったことで、より多くの人が快適にウェブブラウジングができるようになります。
Google は GAAD 2025 に合わせて、今回紹介した機能以外にも、開発者向けの音声認識ツールリソースの提供や、学生向け Chromebook のアクセシビリティオプションの拡充なども発表しています。