Qualcomm は、2025 年 5 月 15 日(米国時間)、スマートフォン向けの新しいチップセットとなる「Snapdragon 7 Gen 4」を発表しました。このチップセットは、AI 性能の向上、カメラ機能の強化、ゲーム機能の向上、新しいネットワーク規格などのサポートを備えています。
Snapdragon 7 Gen 4の主な進化点
Snapdragon 7 Gen 4は、前世代のSnapdragon 7 Gen 3と比較して、以下の通り性能が向上しています。
- CPUパフォーマンス: 27%向上
- GPUグラフィックレンダリング: 30%高速化
- AIパフォーマンス: 65%向上
Qualcomm のモバイルハンドセット担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるクリス・パトリック氏は、「Snapdragon 7 Gen 4 は、ハードウェアに直接組み込まれた AI 主導の体験により、7 シリーズの可能性を新たなレベルに引き上げ、ユーザーがこれまで以上に簡単にキャプチャ、作成、共有できるようになります」と述べています。
Snapdragon 7 Gen 4の主要機能
以下は、Snapdragon 7 Gen 4 の主な機能です。
パフォーマンスと AI 機能
まずパフォーマンス面では、Snapdragon 7 Gen 4 には最大 2.8GHz のクロック周波数を備えた Qualcomm Kryo CPU、Qualcomm Adreno GPU による高速なグラフィックレンダリングを提供することで、ゲームからコンテンツ作成まであらゆる用途で快適な動作をサポートします。
AI処理においては、Qualcomm AI Engine が前世代よりも 65% 高速化され、とくにオンデバイスによる AI 処理を大幅に強化しました。これにより、インターネット接続なしでも高速かつ安全な対話が可能なオンデバイス生成 AI アシスタントの利用や、シリーズ初となる Stable Diffusion 1.5 に対応したリアルタイムでの画像生成が可能になります。
カメラ機能
カメラ機能も AI によって大幅に強化されており、オートフォーカス、ホワイトバランス、露出調整機能に加え、ハードウェアレベルで新たに統合された電子式手ブレ補正(EIS)により、不安定な環境でも滑らかな映像撮影を実現します。
Qualcomm Spectra トリプルISPは、最大200MPのシングルカメラ、または64MP(MFNR、ZSL、30fps)のシングルカメラ、32MP+21MPのデュアルカメラ、21MPのトリプルカメラ構成をサポートし、動画撮影は4K HDR(30fps)、スローモーション撮影は1080p(120fps)に対応しています。さらに動画超解像技術も搭載されています。
ゲーム、オーディオ、ネットワーク
ゲーム向け機能においては、一部の Snapdragon Elite Gaming 機能を搭載。Snapdragon Adaptive Game Configuration が CPU と GPU の設定をリアルタイムで最適化し、電力消費を抑えながらカクつきを低減します。また、Qualcomm Adaptive Performance Engine 4.0 が、要求の厳しいゲームシーンで電力とパフォーマンスを自動的に調整し、効率を高めます。
オーディオ面では、Snapdragon 7 シリーズとして初めて Qualcomm Expanded Personal Area Network (XPAN) テクノロジーをサポートしました。これにより、Wi-Fi 経由でイヤホンを接続し、離れた部屋からでもクリアで途切れにくくなります。さらに、Qualcomm Aqstic Hi-Fi DAC が、デバイスのスピーカーから忠実なサウンドを実現します。Snapdragon Sound テクノロジースイートもサポートしています。
接続性に関しても、Snapdragon 5G Modem-RF System により、最新の 3GPP Release 17 5G に対応し、最大 4.2Gbps のダウンロード速度を実現します。Qualcomm FastConnect Mobile Connectivity System は、Wi-Fi 7 と、Snapdragon 7 シリーズ初となる Bluetooth 6.0 を提供し、Bluetooth Channel Sounding による紛失物発見機能も備えています。
今後の展開
HONOR、vivo、realmeなどの主要OEMメーカーが、今後数ヶ月以内にSnapdragon 7 Gen 4の採用を発表する見込みです。最初の搭載デバイスは、HONORおよびvivoから今月中に発表される予定です。
HONORの製品担当プレジデントであるフェイ・ファン氏は、「この強力なプラットフォームにより、比類のないパフォーマンスと最先端の機能を提供し、ユーザーの日常生活におけるモバイル体験を向上させることができます」とコメントしています。
vivoの製品担当バイスプレジデントであるウェイフェン・オウヤン氏も、「次世代のSnapdragon 7 Gen 4モバイルプラットフォームを搭載した今後のスマートフォンは、ユーザーを革新的で効率的なモバイル体験に没頭させるように設計されています」と述べています。


Snapdragon 7 Gen 4 仕様概要
機能項目 | 仕様 |
---|---|
AI Engine | Qualcomm AI Engine (Qualcomm Hexagon NPU: AI性能65%向上, Qualcomm Sensing Hub) |
CPU | Qualcomm Kryo CPU (64-bit, 最大2.8 GHz) |
GPU | Qualcomm Adreno GPU (OpenGL ES 3.2, Vulkan 1.3, OpenCL 2.0 FP 対応) |
モデム | Snapdragon 5G Modem-RF System (最大ダウンロード速度: 4.2 Gbps, 4×4 MIMO (Sub-6), 5G NR, LTE, Wi-Fiなど多数のセルラー技術をサポート, DSDA 5G+5G および 5G+4G) |
Wi-Fi | Qualcomm FastConnect Mobile Connectivity System (Wi-Fi 7対応, 最大5.8 Gbps, 6 GHz/5 GHz/4 GHz帯, 320 MHzチャネル, 4K QAM, MU-MIMO, OFDMA) |
Bluetooth | Bluetooth 6.0, Bluetooth Low Energy, Bluetooth Channel Sounding |
ロケーション | Qualcomm Location Suite (QZSS, Galileo, Beidou, GLONASS, NavIC, GPS, GNSS対応, トリプル周波数サポート) |
NFC | 対応 |
カメラ (ISP) | Qualcomm Spectra トリプル ISP (AI ISP, 12-bit) |
カメラ (ISP) – トリプルカメラ | 21 MP (MFNR, ZSL, 30 fps) |
カメラ (ISP) – デュアルカメラ | 32+21 MP (MFNR, ZSL, 30 fps) |
カメラ (ISP) – シングルカメラ (MFNR ZSL 30fps) | 64 MP (MFNR, ZSL, 30 fps) |
カメラ (ISP) – シングルカメラ | 最大200 MP |
カメラ (ISP) – 機能 | AIベースのオート露出・フォーカス・顔検出, EIS, 低照度撮影, MFNR |
ビデオ撮影 | 4K @ 30 fps, スローモーション 1080p @ 120 fps, HLG, HDR10, HDR10+ 対応 |
ビデオ再生 | 4K @ 30 fps, HLG, HDR10, HDR10+, VP9, AV1, H.265 (HEVC) 対応 |
ストレージ | UFS 4.0 |
ディスプレイ – 最大オンデバイス解像度 | WQHD+ @ 144 Hz |
ディスプレイ – 最大外部ディスプレイ解像度 | 4K Ultra HD @ 60 Hz |
ディスプレイ – HDR機能 | HDR10, HDR10+, HDR Vivid, 10-bit色深度, Rec. 2020色域 |
オーディオ | Qualcomm Aqstic スマートスピーカーアンプ, オーディオコーデック, Qualcomm aptX Adaptive/Voice/Lossless, Snapdragon Sound テクノロジー |
充電 | Qualcomm Quick Charge 5 テクノロジー |
セキュリティ | Qualcomm 3D Sonic Sensor Max, Qualcomm Trusted Execution Environment (TEE) など |
メモリ | LPDDR5x (最大4200 MHz) |
USB | USB-C, USB 3.1 Gen2 |
プロセスノード | 4 nm |
部品番号 | SM7750-AB |