今回、Google は Android アプリのパフォーマンス向上のため、2025年11月1日以降、Google Play に送信され、Android 15 以降のデバイスを対象とするすべての新規アプリと既存アプリのアップデートにおいて、16KB のメモリページサイズのサポートを義務付けることを発表しました。
Android におけるメモリ管理と「ページサイズ」とは?
Android スマートフォンやタブレットがアプリを動かす際、メモリと呼ばれる作業スペースを使います。このメモリは、「ページ」という小さな区画に分割して管理されています。この「ページ」の大きさを「ページサイズ」と呼びます。
これまで Android は、基本的に 4KB(キロバイト)という比較的小さなページサイズで動作するように設計されてきました。これは、当時のスマートフォンのメモリ容量などを考慮した上での最適なサイズでした。
しかし、最近のスマートフォンは搭載される RAM 容量が増え、より高性能になっています。これに伴い、より大きな 16KB というページサイズを採用することで、全体のパフォーマンスを向上させようという動きがデバイスメーカーの間で広がってきました。ページサイズを大きくすることで、メモリ管理の効率が上がり、結果としてアプリの動作が速くなるなどのメリットが期待できるためです。
このデバイス側の進化に対応するため、Android 15 では、OS の仕組みを調整し、この新しい 16KB というページサイズを正式にサポートできるようにしました。これにより、Android 15 以降を搭載した新しいデバイスでアプリを実行する際に、パフォーマンス向上の恩恵を受けられるようになります。
この機能は、すでに Google の Pixel 8 や Pixel 9 といったスマートフォンで利用可能になっており、開発者は実際にテストすることができます。

16KB ページサイズによるパフォーマンス向上
Google によると、16KB ページサイズへの移行は、以下のようなパフォーマンス向上が期待できるとしています。
- アプリ起動の高速化: アプリによって 3% から 30% の改善が見られます。
- バッテリー使用量の改善: 平均で 4.5% の改善が期待できます。
- カメラ起動の高速化: カメラの起動が 4.5% から 6.6% 速くなります。
- システム起動の高速化: Android デバイスの起動が約 8% 速くなります。
これはページサイズを大きくすることで、メモリ管理の効率が上がり、結果としてアプリの動作が速くなるなどのメリットが期待できるためです。例えるなら、一度にたくさんの荷物を運ぶ際に、大きな箱を使った方が作業がスムーズに進むのと同じようなイメージです。
Google Play での要件化とその影響
このようなパフォーマンス向上の恩恵をより多くのユーザーに届けるため、Google は 2025年11月1日から、Android 15 以降を搭載したスマートフォンやタブレット向けの新しいアプリや、既存アプリのアップデートは、この 16KB ページサイズに対応するように義務付けました。
これによりユーザーは、Android アプリでの動作が快適になり、バッテリーの駆動時間も多少長くなることが期待されます。また、アプリ開発者がこの新しいルールに対応することで、将来的にアプリが新しいデバイスでうまく動かないといった問題を防ぐことにも繋がります。
一方、Google によればほとんどのアプリは、大きな変更なしに対応できるか、または比較的小さな調整で対応できるとしており、開発者にかかる負担は大きくないとしています。開発者は、Play Console を通じて、自身のアプリが対応済みかを確認できるため、早めの確認と対応をおすすめします。

まとめ
今回の Google の取り組みは、Android スマートフォンやタブレットを、これまで以上に快適に、そしてバッテリーを気にせず使えるようにするための大切な一歩です。ユーザーにとっては、よりストレスフリーな使用が期待できる、嬉しい変更です。