Samsung は 2025 年 5 月 6 日(米国時間)、米国の Samsung Wallet ユーザー向けに、新しいピアツーピア (P2P) 送金機能「Tap to Transfer」を同月下旬より提供開始すると発表しました。この機能により、友人や家族との送金を素早くかつ簡単に行えるようになります。
「Tap to Transfer」の大きなメリットは、タップするだけで送金が完了し、お金が数分以内に相手の口座に届くため、銀行口座間の送金にかかる時間を待つ必要がない点です。
主な機能と仕組み
Samsung は Visa および Mastercard と提携し、Samsung Wallet に保存されたデビットカードを使って、追加のアプリをダウンロードすることなく友人や家族の銀行口座に送金できる仕組みを構築しています。
- スマートフォン同士のタップで送金: Samsung Wallet ユーザー同士であれば、NFC 技術を利用して、互いのデジタルウォレットに保存されたデビットカードに接続し、スマートフォンをタップするだけで簡単に送金を開始できます。
- 物理的なデビットカードへのタップで送金: 相手がデジタルウォレットを持っていなくても、タップして支払い可能な物理的なデビットカードを持っていれば送金可能です。店舗での支払いと同様に、Samsung Wallet が相手のデビットカードのチップに接続して送金を実行します。
- 遠隔での送金: 送金したい相手が近くにいなくても、電話番号で Samsung アカウントを検索し、遠隔で送金を完了することができます。
Samsung Electronics America のモバイル製品管理担当シニアバイスプレジデントである Drew Blackard 氏は「Samsung Wallet は、何百万もの Galaxy スマートフォンですぐに利用できる強力なツールであり、このアップデートによって私たちはその体験を次のレベルに引き上げます。多くのユーザーは、最も頻繁に行う重要なタスクをモバイルデバイスで柔軟にこなしたいと考えています。Samsung Wallet は、友人や家族への支払いを迅速かつ便利にするのに役立つでしょう」と述べています。
Samsung Wallet は、運転免許証やクレジットカードといった重要な情報をモバイルデバイスで便利に利用できるようにすることで、ユーザーの生活をよりシンプルにすることを目指しています。Samsung Wallet 内では、学生証、搭乗券、ポイントカード、ジムの会員証、ギフトカードなど、様々なデジタルアイテムを簡単に閲覧・管理することが可能です。
ただし、この「Tap to Transfer」機能は現時点では米国内のユーザーに限定されており、利用には参加している米国の銀行が発行した、非接触型決済および支払い取引が可能な Visa または Mastercard ブランドのデビットカードを所有している必要があるなどの制限があります。そのため、現時点では日本でこの機能を利用することはできません。
まとめ
今回発表された Samsung Wallet の「Tap to Transfer」機能は、NFC を活用した新しい送金方法として注目されます。特に、相手が Samsung Wallet アプリやスマートフォンを持っていなくても、デビットカードへのタップで送金できる点は、利便性の大幅な向上に繋がる可能性があります。
日本国内においては、既に Samsung Wallet のサービスは開始されていますが、Google ウォレットなどと比較すると、現時点では Galaxy デバイスユーザーを中心とした利用に留まっている印象です。今後、Samsung が日本市場でのシェア拡大に注力する場合、このような便利な機能は国内でも展開される可能性は十分に考えられます。
しかし、日本では PayPay をはじめとする様々なキャッシュレス決済サービスが広く普及しており、個人間送金機能を利用することもできます。そのため、「Tap to Transfer」が日本に導入されたとしても、ユーザーが既存のサービスから Samsung Wallet に乗り換えるだけの明確なメリットを提示できるかだと思われます。
また、スマートフォンで NFC タッチ決済を利用するユーザーがどこまで拡大するかにも影響するため、今後の展開に期待したいところです。
出典: Samsung Newsroom