Google の Android 純正デスクトップモードの初期ビルドがリーク

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Samsung Galaxy Tab S9 FE の DeX モードの写真

以前から、 Google は「Samsung DeX」のようなに Android デバイスを外部モニターに接続すると、PC のようなデスクトップ UI を利用できる機能の開発に取り組んでいます。今年 3 月には開発に取り組まれていることを示す新しい開発者向けオプションが発見されましたが、現在この機能の初期バージョンの様子がリークされました。

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Samsung DeX と Google の取り組み

Samsung DeX は、対応する Galaxy スマートフォンやタブレットをモニターやテレビに接続することで、デスクトップ PC のようなユーザーインターフェースを実現するソフトウェア機能です。キーボードやマウスを接続すれば、複数のアプリケーションをウィンドウで同時に開いて作業でき、スマートフォンの生産性を大きく向上させます。しかし、この機能は Samsung 製デバイス限定のものでした。

今年 3 月、Google は Android 16 Beta 3 のアップデートで「Desktop view」と呼ばれる開発者向けオプションが導入しましたが、当初実際に動作させることはできませんでした。

しかし今回、Android Authority の Mishaal Rahman 氏によって、Google が開発中の Android 標準デスクトップモードの初期ビルドが Pixel スマートフォン上で動作する様子が確認されました。これは、将来的により多くの Android デバイスで DeX のような体験が可能になる可能性を示唆しています。

リークされたデスクトップモードの機能

今回、有効化に成功した開発中のデスクトップモードはまだ未完成ですが、現在の Pixel スマートフォンを外部ディスプレイに接続した際のシンプルな表示とは異なり、開発中のデスクトップモードでは、画面下部にタスクバー、上部にステータスバーが表示されます。

タスクバーには、ピン留めしたアプリや最近使用したアプリが表示され、アプリドロワーへのアクセスも容易になります。これにより、アプリ間の切り替えや起動がスムーズになります。

マルチタスク機能も強化されており、複数のアプリをフローティングウィンドウで同時に起動できます。これらのウィンドウは、PC のように自由に移動、サイズ変更、画面の左右へのスナップが可能です。対応するアプリ間であれば、ドラッグ&ドロップによるコンテンツのコピー&ペーストも簡単にできます。

なお、この新しいデスクトップモードの基盤となっているのは、Android 15 QPR 1 Beta 2 でタブレット向けに導入された「Desktop Windowing」機能のようです。この機能は、タブレットの内蔵ディスプレイ上で複数のアプリをフリーフォームウィンドウで表示するものでしたが、外部ディスプレイには対応していませんでした。Google は今回、このウィンドウイング環境を外部ディスプレイ接続時のスマートフォンにも拡張しようとしていると考えられます。

今後の展望と課題

開発中のデスクトップモードは有望ですが、まだいくつかの課題があります。

  • スマートフォン本体画面との連携: 外部ディスプレイ接続中も、スマートフォンの画面は利用可能です。そのため、キーボードやマウスといった同じ入力デバイスで、外部ディスプレイとスマートフォン画面の両方をシームレスに操作できる仕組みが必要です。Rahman 氏は以前、Google がディスプレイ配置の変更機能や、マウスカーソルを画面間でスムーズに移動させる機能などを開発していることも報じています。
  • リリース時期: この機能はまだ開発初期段階であり、Android 16 の正式リリースには搭載されない可能性が高いと見られています。Android 16 の QPR アップデートで開発者向けオプションとして先行提供されるか、あるいは Android 17 (2025年リリース見込み) での正式実装を目指している可能性があります。

Google がこのプロジェクトを本格的に進め、中途半端な状態ではなく完成度の高い機能としてリリースすることが期待されます。実現すれば、Android スマートフォンの活用シーンがさらに広がり、大画面での操作性向上にも期待ができます。

期待される活用シーンと Chromebook との関係性

このデスクトップモードが実用化されれば、ホテルやオフィスのモニターにスマートフォンを接続し、キーボードとマウスを使えば、PC ライクな環境で文書作成やメール返信、プレゼンテーション資料の修正などが可能になるほか、PC がない場合の代用、大画面でのマルチメディア鑑賞などにも使うことができるはずです。

一方、Google は既に、Linux カーネルの共通化の試みや、ChromeOS 上で Android アプリを動作させるための仮想化技術 (ARCVM など) の改良を通じて、両 OS の技術的基盤の統合を進めています。

そのため、このデスクトップモードは、単にスマートフォンを PC のように使えるようにするだけでなく、Google が進める ChromeOS と Android の技術的な基盤統合という大きな流れの一部と見ることができます。

Google は両 OS の垣根を低くしようとしており、このデスクトップモード開発により、将来 OS 基盤が共通化されたときのユーザーへの影響(特に使用感)を抑えることや、開発者に Android アプリの大画面対応を促すことなどの狙いがあると考えられます。

これが完全な OS 統合につながるか、あるいは連携強化に留まるかはまだ分かりませんが、いずれにせよ Android にネイティブなデスクトップ環境を整備することは、OS 間の連携をスムーズにし、ユーザー体験を高める上で重要です。

現在、Android と ChromeOS の連携という点では、Chromebook には「スマートフォンハブ (Phone Hub)」機能があります。これは Chromebook 側から Android スマートフォンにアクセスしていくつかの操作を行ったり、対応するスマートフォンのアプリをストリーミングすることができます。今後、Android と ChromeOS の技術的な統合がさらに進むことで、こういった機能も連携が強化されることも期待できます。

まとめ

Google が開発中の Android 標準デスクトップモードは、Samsung DeX の対抗馬となりうる可能性を秘めた注目の機能です。まだ開発途上ではありますが、タスクバーの搭載や本格的なウィンドウ操作など、PC ライクな体験を実現するための基礎が着実に作られています。

リリース時期は未定ですが、今後の Android アップデートで段階的に機能が明らかにされていくことが期待されます。

出典: Android Authority

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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