Google の AI 搭載ノートツール NotebookLM が、基盤となる AI モデルを「Gemini 2.5 Flash」にアップグレードしたことが明らかになりました。これにより、NotebookLM の思考能力が向上し、特に複雑な質問に対する回答の質が高まることが期待されます。
Gemini 2.5 Flash へのアップグレード
NotebookLM は、2024 年 12 月の発表時点からこれまで Gemini 2.0 Flash を利用していましたが、今回、より新しい Gemini 2.5 Flash へと移行しました。Google によると、Gemini 2.5 モデルは「思考モデル」であり、プロンプトに応じて高度な思考能力を発揮するとしています。
このアップグレードにより、NotebookLM は以下のような点で改善が見られる可能性があります。
- より包括的な回答: 特に、複数のステップを踏む必要のある複雑な推論を含む質問に対して、より詳細で網羅的な回答を生成できるようになります
- 高度な思考: Gemini 2.5 Flash の持つ思考能力により、単なる情報検索だけでなく、提供された情報に基づいた深い分析や考察が可能になります
実際に NotebookLM の X アカウントも、Gemini 2.5 Flash の搭載を正式に発表し、複雑な多段階の推論質問に対する回答の向上が期待できるとしています。

Gemini 2.5 Flash の向上した思考力・推論力によって、例えば、研究・分析の場面では複数の複雑な資料から関連性や矛盾点をより深く、高い精度で抽出することが可能になるかもしれません。
学習支援としては、難しい概念について多角的な説明を生成したり、内容の理解を促す応用的な問題を作成したりする能力が向上すると考えられます。また、コンテンツ作成においても、複数の情報源を統合して論理的で分かりやすい文章を生成する支援などが、より効果的になるかもしれません。
音声概要機能の言語サポート拡大とアプリの提供も
NotebookLM は最近、アップロードした資料の概要を音声で生成する「音声概要」機能の対応言語を日本語を含む 50 以上に拡大しました。Google はこの言語サポート拡大について、Gemini のネイティブな音声処理能力によって実現したと説明しており、今回の Gemini 2.5 Flash へのアップグレードも、こうした機能の強化に貢献していると考えられます。
また、Google はユーザーがモバイルデバイスでも NotebookLM を使いやすくするため、Android と iOS のネイティブアプリの提供も発表し、現在事前登録の段階で展開待ちとなっています。
Gemini 2.5 Flash の現状と今後
Gemini 2.5 Flash は現在、Gemini アプリにおいて、実験的な (experimental) モデルとして提供されており、その全機能を利用できます。
Google は、Gemini 2.5 Flash が安定版となれば、現在標準の Gemini 2.0 Flash を置き換える可能性があるとしています。なお、9to5Google は、そのタイミングで現在無料ユーザーにも提供されている Gemini 2.5 Pro の提供が終了する可能性も指摘しています。
開発者向けには、gemini-2.5-flash-preview-04-17 というモデルがプレビュー版として提供されています。Google は先月、このプレビュー版について、正式版として一般提供される前に、さらなる改善が行われる予定であると述べています。
NotebookLM が最新の AI モデルである Gemini 2.5 Flash を採用したことは、Google がこのツールを研究、学習、コンテンツ作成のための強力なアシスタントとして位置づけていることを示唆しています。
ビジネスや研究の現場ではすでに活用され始めていますが、今後教育現場での利用や一般ユーザーでも学習、情報収集などでの活用が拡大されることを考慮すると、今回のアップデートは、NotebookLM を通じて、高度な AI による思考サポートをより多くの人々が利用できるようにし、AI アシスタントの活用範囲を専門家だけでなく、学生や一般のユーザーへと拡大していく狙いがあるのかもしれません。
いずれにしても、今後も継続した機能の改善や、より高度な AI 機能の統合などが期待されます。
出典: 9to5Google, NotebookLM (X)