Google は 2025 年 4 月 29 日、AI 搭載のノート作成ツール NotebookLM の機能である音声概要 (Audio Overviews) が、新たに日本語を含む 50 以上の言語に対応したことを発表しました。
NotebookLM の音声概要は、ユーザーがアップロードしたソース(文書、スライド、サイト、動画・音声、テキスト、サイトなど)の内容を要約し、AI ホスト 2 名が対話形式で解説する、ポッドキャストのような音声コンテンツを生成する機能です。昨年後半にリリースされて以来、移動中などに手軽に学習できるツールとして人気を集めていました。
今回のアップデートは、Gemini のネイティブ音声サポートにより実現したもので、日本語を含む多くのユーザーが母国語または好みの言語で音声概要を利用できるようになります。Google は、これが本機能の初期段階であり、今後もユーザーからのフィードバックに基づき改善を続けるとしています。
言語設定と利用方法
音声概要は、NotebookLM のアカウント設定で優先言語として選択されている言語で生成されます。今回のアップデートにより、設定メニューに新たに「出力言語」オプションが追加されました。
実際に、筆者も NotebookLM で確認してみましたが、各種設定と日本語で音声概要が出力できるようになっていました。


ユーザーはここから音声概要の生成言語を自由に選択・変更でき、音声とチャットの応答は選択した言語に反映されます。これにより、例えば以下のような活用が可能になります。
- 多言語コンテンツの作成: 異なる言語の資料を一つのノートブックにまとめ、指定した言語で音声概要を生成する
- 学習資料としての活用: 教師が様々な言語の資料(例: ポルトガル語のドキュメンタリー、スペイン語の研究論文、英語のレポート)を生徒と共有し、生徒は各自が理解しやすい言語で音声概要を生成して内容を把握する
- 移動中や時間がないときの概要把握: 学校、ビジネスなどにおいて必要な資料や情報を要約し、移動中や時間がないときに内容を把握するために音声概要を生成する
なお、上の画像では「オーバーライドする言語を選択」で「日本語」に切り替えていますが、おそらくデフォルトの言語で音声概要が作成されるため、他の言語に切り替えたい場合にのみ切り替えるだけで良さそうです。

実際に試してみた印象
実際に試してみたところ、想像よりも自然な話し方に近く、喋る前の「えー」とか相槌なんかも実際にありがちな話し方をします。抑揚やイントネーションなどは若干気になるところはありますが、「情報を聞き流す」という点についてはほぼ問題はありませんでした。
ただ、取り上げられるトピックをちゃんと指定しておかないと、よく分からない内容になっていたり、時々過剰な表現になる(Chromebook の話なのに、「人命を守るための極限とも言える安全性」みたいな)ことがあるため、音声概要だけで終わらせるのは少し不安かもしれません。
いずれにしても、日本語で聴くことができるようになったことは間違いないため、今後はこれを活用した学習や情報収集などが捗るはずです。
Google Workspace ユーザーもサポート
なお、この多言語対応は Google Workspace および Google Workspace for Education のユーザーにも提供されます。筆者は個人の Google アカウント(Gemini Advanced)と Google Workspace アカウントの両方で確認済みです。
音声概要は、あくまでアップロードされたソースコンテンツの内容を忠実に反映するように設計されており、AI が独自の解釈や意見を加えるものではありません。また、現時点ではユーザーが AI と対話できるインタラクティブモードはベータ版であり、英語のみの提供となっています。
利用可能な Google Workspace エディションは、以下のとおりです。
- NotebookLM: Business Starter, Frontline Starter/Standard, Essentials Starter/Essentials/Enterprise Essentials/Enterprise Essentials Plus, Nonprofits, Education Fundamentals/Standard/Plus
- NotebookLM Plus: Business Standard/Plus, Enterprise Standard/Plus, Gemini Business/Enterprise/Education/Education Premium アドオンを持つユーザー
まとめ
NotebookLM の音声概要が日本語を含む 50 以上の言語に対応したことで、これまで言語の壁によってアクセスが難しかった情報にも、手軽に触れられる可能性が広がりました。特に、多様な言語の情報を取り扱う必要がある研究者、グローバル企業、教育機関などでの活用しやすくなりました。
まだ初期段階の機能であり、今後の改善やインタラクティブモードの多言語対応などは待つ必要がありますが、AI を活用した新しい情報収集・学習ツールとして、NotebookLM はさらに便利になることが期待できます。