Google は、ChromeOS デバイスの安定版リリースに先立ち、企業および教育機関の管理者向けに ChromeOS 135 のリリースノート を 2025 年 4 月 9 日付で公開しました。
このリリースノートには、今後のアップデートで実装される新機能やポリシー変更、重要なサポート終了に関する情報が含まれています。管理者の方は、内容を確認し、今後の展開に備えることが推奨されます。
ChromeOS 135 の変更点
バッテリー寿命のための ChromeOS ポリシー
Chromebook のバッテリー寿命を延ばすことを目的とした新しいポリシー DevicePowerBatteryChargingOptimization が導入されます。管理者は、バッテリーの最大充電レベルをデフォルトの 100% から引き下げて設定することが可能となり、これによりバッテリーの劣化を抑制し、デバイスの長期的な信頼性を向上させることが期待できます。

このポリシーは、特に多数のデバイスを管理する環境において、デバイスのライフサイクル管理に貢献します。エンドユーザーへの影響を考慮し、充電制限の変更について事前に通知することが推奨されます。
なお、この機能については ChromeOS 133 のリリースノートで最初に登場し、134 での導入が予定されていたものの、ChromeOS 135 に延期されていました。
外部ストレージ許可リストポリシー
外部ストレージへのアクセス制限をより柔軟に行うための新しいポリシー ExternalStorageAllowlist です。既存の外部ストレージ制限ポリシーを補完し、管理者は、許可する外部ストレージデバイス(USB メモリ、SD カード等)のベンダーID (VID) とプロダクトID (PID) のペアを指定できます。

これにより、原則として外部ストレージへのアクセスを制限しつつ、業務上必要な信頼できるデバイスに対してのみ読み書きアクセスを許可する、といった柔軟なセキュリティ運用が可能になります。
ChromeOS Flex における Android Bluetooth スタック
ChromeOS 122 より段階的に展開されている Android ベースの Bluetooth スタック「Fluoride」が、ChromeOS Flex デバイスにも導入されます。ユーザーのログイン時にシームレスに移行され、既存のペアリング済みデバイス情報は保持されます。
これにより、ChromeOS Flex 環境における Bluetooth デバイスとの互換性および接続安定性の向上が期待されます。問題が発生した場合の対応については、関連ドキュメントを参照してください。
画像コンテンツ検索
ランチャー検索において、ファイル名だけでなく、画像内に含まれるテキストなどのコンテンツに基づいた検索が可能になります。これにより、ユーザーは目的の画像ファイルをより効率的に発見できます。

マウスの Fast Pair サポート
Fast Pair に対応したマウスを Chromebook に近づけることで、通知からワンクリックでの簡単なペアリングが可能になります。これにより、セットアップの手間が軽減されます。すでにヘッドホンやイヤホン、キーボードではサポートされています。
ChromeOS におけるマウスキー
キーボード(テンキーなど)を使用して、マウスポインターを操作できるユーザー補助(アクセシビリティ)機能が追加されます。これは、マウスの物理的な利用が困難なユーザーを支援します。
フェイスコントロールの改善
顔のジェスチャーでデバイスを操作するユーザー補助(アクセシビリティ)機能「フェイスコントロール」について、機能が有効な際の表示がより明確になり、無効化する手順も簡略化されました。

UI 上に「Face control active」という目立つメッセージと閉じるボタンが表示されるようになり、機能がオンになった際には通知も表示されます。また、意図しないセッション遷移ユーザー切り替えなどを減らすため、管理対象デバイスのログイン画面からはフェイスコントロールのユーザー補助設定が削除されました。
今後 のChromeOS の変更予定
ユーザーインストール Chrome アプリの廃止予定 (M139〜)
2025 年 8 月 19 日 に安定版リリースが予定されている ChromeOS 139 以降、ユーザーが Chrome ウェブストア等からインストールした Chrome アプリは機能しなくなります。 ChromeOS 135 より、この廃止を予告する通知がユーザーに表示され始めます。
現在 Chrome アプリを利用している場合は、代替となる PWA (プログレッシブウェブアプリ) や Android アプリへの移行 を計画・準備する必要があります。詳細は「Chrome アプリのサポート終了」に関する公式情報を参照してください。
ChromeOS フリーフォーム壁紙 (M136〜、Chromebook Plus 限定)
テキストプロンプトを入力することで AI が壁紙画像を生成する機能が登場予定です。この機能は Chromebook Plus デバイスのみ で利用可能になります。管理者は GenAIWallpaperSettings ポリシーを使用して、この機能の利用可否やデータ収集の有無を制御できます。なお、利用可能なユーザーには年齢制限があります。
クイック共有の強化 (M136〜)
Android デバイスや他の Chromebook とファイルを共有する「クイック共有」機能において、「全員に表示」モードの持続時間が、従来の5分から最大10分に延長されます。

トラブルシューティングのためのイベントベースのデバイスログ収集 (M136〜、管理コンソール)
デバイスのクラッシュや OS アップデート失敗などの問題発生時に、関連するデバイスログが自動的に収集・アップロードされる機能が強化されます。(特定のレポート設定が有効な場合)管理コンソールのデバイス詳細ページに、アップロードされたログへの直接リンクが表示され、デバイスイベントの履歴も確認可能になります。これにより、リモートでのトラブルシューティングがより効率的になります。
まとめ
今回の ChromeOS 135 リリースノートには、デバイス管理の効率化やセキュリティ強化に繋がる重要なアップデートが含まれています。特に、間近に迫る Chrome アプリの廃止については、組織内での影響を確認し、計画的な対応を進めることが重要です。今後リリースされる安定版に向けて、組織内での準備を進めることをお勧めします。
本記事で解説した内容の詳細は、Google が公開している ChromeOS 135 の公式リリースノート(英語) をご参照ください。