Google Pixel 9a は先月グローバルで発表され、日本でも 4 月 16 日から発売となりますが、Pixel 9 シリーズとは異なる新しいデザインについて、どのようなアップデートがあるかを Google が公式ブログで明らかにしました。
この記事では、過去数世代にわたって特長的だったカメラバーがなぜ廃止されたか、新しい構造がもたらした思わぬ変化や、新色 Iris カラーについて語られています。
カメラバー廃止の理由
Pixel 9aのデザインプロセスは、まず「遊び心」、「親しみやすさ」、「家族向け」といったデバイスの個性を定義することから始まったといいます。

プロダクトマネジメントディレクターの Soniya Jobanputra 氏は、「デバイスの個性に合わせた物理的な解釈をしたかった」と語っており、長年 Pixel の象徴だったカメラバーを廃止するという大きな決断に至りました。
新しいデザインは、Pixel らしさを残しつつシンプルさと使いやすさを優先したミニマリズムを追求し、その結果、カメラ部分の突起が大幅に縮小され、ポケットへの収まりや机上での安定性が向上しました。

工業デザイナーの Yomi Matsuoka 氏が「ケースを装着すれば、カメラの突起は全くなくなる」と語るように、実用面でのメリットも大きい変更です。もちろん、48MP メインカメラ、13MP 超広角カメラ、Aシリーズ初のマクロフォーカスといったカメラ性能は妥協されていません。
新構造とディスプレイ
デザイン変更の背景には、実用的な目標もありました。「本体の厚さを維持しながらバッテリー容量を増やしたかった」という Soniya 氏の言葉通り、開発チームは内部構造の最適化に取り組みました。
その鍵となったのが、より薄い pOLED ディスプレイの採用です。これにより内部スペースを確保し、バッテリー容量の増加とカメラ突起の最小化を両立しています。

さらに、この pOLED を採用したことにより、Aシリーズ史上最も明るく、電力効率も向上したディスプレイ (120Hz アダプティブリフレッシュレート) が実現したとしています。これは Soniya氏 も「意図したわけではなかった」と語っていますが、結果的に良い方向に進んだようです。また、耐久性のあるミッドフレーム構造は維持されています。
新色「Iris」の誕生
Pixel 9a で採用された新色の「Iris (アイリス)」は、かつて Pixel 3a で人気だった「Purple-ish」へのオマージュであり、長年のファンに向けたメッセージでもあるようです。
CMF (色・素材・仕上げ) デザインマネージャーの Jess Ng 氏によれば、「ユーザー調査では、楽しさと機能性を両立するものへの要望が見られた」とのこと。

多くの試行錯誤を経て、見る角度によって青にも紫にも見える、落ち着きがありながらも個性的で、幅広い層にアピールする Iris が誕生したと伝えています。また、「穏やかでありながら自信があり、個性的でありながら広く魅力的」と Jess 氏が語っています。
また、純正ケース装着時にもカメラ部分から本体色が覗くデザインになっており、ユーザーが色の組み合わせを楽しめる工夫も凝らされています。
まとめ
今回 Google ブログで明かされた開発の裏側からは、先日発表された Pixel 9a のデザインが、単なる見た目の変更ではなく、開発チームの深いこだわり、ユーザーへの想い、そして機能性向上のための試行錯誤の結果であることが伺えます。
筆者はカメラバーも嫌いではありませんが、厚みが出てしまうことやケースを付けずに裸で使うときに傷が付きやすいことなどが気になっていました。フラットなデザインであればその心配はなくなります。ただ、一般的に薄型化と高性能カメラの両立は難しい面もあるため、実際の使い勝手がどうなのかは気になるところです。
あとは、筆者は Pixel 3 から Pixel スマートフォンを使っているため、Pixel 9a のようなフラットなカメラデザインは何となく懐かしい気持ちになります。カラーも Pixel 3a の Purple-ish に似た Iris は、そういった昔のデザインを懐かしむユーザーにちょうど良い1台になるかもしれません。