Google はキーボードアプリ「Gboard」用に、新たに AI を活用してミームを生成するツール「ミームスタジオ」の開発に取り組んでいる可能性が報告されています。
Android Authority の報道によれば、開発中とされる AI ミームジェネレーター「ミームスタジオ」は、利用者が選択した画像や既存のテンプレートに対し、AIが文脈に応じたキャプション(テキスト)の候補を複数提示する機能を持つとされています。
機能の概要と課題など
この「ミームスタジオ」では、ユーザーがミームを作成するために以下のステップを提供するようです。
- 利用者がミーム化したい画像を選択、もしくは提供されるテンプレートを利用
- 対象画像の内容や、生成したいミームの主題に関する指示を簡潔なテキスト(プロンプト)でAIに入力
- AIが入力された指示に基づき、ユーモアを含むと考えられるキャプション候補を複数生成
- 利用者は提示された候補の中から選択、あるいは編集を加えることでミームを完成させる
この機能が実現した場合、従来は画像編集アプリの操作や一定の知識・技能を要したミーム作成作業が、より広いユーザーが作りやすくなる可能性があります。そのため、スキルがなくても AI がサポートすることで簡単にミームを作成できるようになり、これによりコミュニケーションツールの1つとなる可能性があります。
しかし、人々が面白いと感じるミームをAIが生成できるのか、不適切なコンテンツを生成してしまうリスク、著作権の問題、面白さが均質化してしまうといった課題も考えられます。そもそも「ミーム」による表現がどこまで流行し続けるかという問題もあります。
開発版の評価と現状の品質
さらに、Android Authority は実際に開発中のバージョンを試用した上で、現時点での品質にはいくつかの課題があるとも指摘しています。これによると、AI が生成するキャプションは時に意味が通らなかったり、選択される画像が入力したテーマや文脈と全く合っていなかったりするケースが見られたとのことです。また、ミーム作成に欠かせないテキストの編集機能も、現状ではフォントや色の変更ができず、かなり基本的なものに限られているようです。


加えて、不適切な表現を避けるための安全フィルターが設けられているものの、その基準が厳しすぎるのか、問題ないはずの指示でもフィルターに引っかかり、ミームが生成されないこともあると報告されています。
今後の展望
Google がこの「ミームスタジオ」の開発を進める背景には、AI 技術をより日常的なコミュニケーションに応用し、Gboard の利便性を向上させたいという意図があるのかもしれません。特に若年層を中心に人気の高いミーム文化を取り込むことに狙いがあるとも考えられます。
現時点では、この機能がいつ、どのような形で正式にリリースされるかは不明です。もしリリースされるのであれば、今回指摘されているような品質面での課題(ユーモアの精度、編集機能、フィルターのバランスなど)がどの程度改善されているかが、ユーザーに受け入れられるかの鍵となりそうです。
一方で、日本国内では「ミーム」という文化は一時期注目されましたが、もともと独自の文化などもあるため、この機能がリリースされたとしても、日本国内でどの程度利用されるかはわかりません。
出典 : Android Authority