Google は今週開催された Cloud Next 2025 にて、アプリ間の作業を AI で自動化・調整する新機能 Google Workspace Flows をはじめ、ドキュメントやスプレッドシート、Meet、Chat などの Google Workspace ツールに、さらに多くの AI 機能を導入することを発表しました。
これらの機能は、Gemini を活用した AI 支援の強化により、業務の生産性と効率性を高めることを目的としており、すでに月間 20 億回以上の AI アシストが利用されているとしています。
Workspace Flow による業務自動化
Google Workspace Flow 自体は昨年の Google I/O で発表されており、AI を活用して複数ステップからなる業務プロセスを自動化する新機能です。従来のトリガーベースの自動化に比べ、Flows は文脈を理解し、分析・生成・判断まで処理を行います。

これには Gem (Gemini を使用して構築できるカスタム AI エージェント)を使用することで、Gemini アプリと同じように「必要なことを分かりやすい言葉で説明するだけで、Workspace Flows が洗練されたロジック駆動型のフローを設計・構築します。複雑なコーディングや設定は必要なく」処理できます。
たとえば、カスタマーサポートへの問い合わせを処理するフローでは、フォーム入力の内容を分析し、適切な回答案を作成、担当チームへのレビュー依頼までを一連で行うことができます。また、Gemsと連携することで、ブランドトーンの確認やドキュメントレビューなど、高度な処理にも対応可能です。
どこまで複雑な処理に対応できるかはまだわかりませんが、これまでサービス間の軽い連携でも Apps Script などを使う必要があったため、Workspace Flow が導入されることで、これを行う手間や作業量、技術も減ることが期待できます。
Workspace Flowsは現在、アルファプログラムを通じて提供を開始しています。
Google ドキュメントの音声機能と「Help me refine」
Google ドキュメントでは、NotebookLM で利用できる「音声概要」から着想を得て、ドキュメントの完全な音声版を作成したり、主要な部分をポッドキャスト形式の概要として聴くことができるようになります。これらの機能は今後数週間以内にアルファ版として提供される予定です。

また、Google ドキュメントで AI を活用した文章作成サポートとは別に、テキストを生成したり書き直すだけでなく、論点の強化、文章構成の改善、要点の明確化などの深い提案を提供してくれます。また、書式の統一にも役立ち、ドキュメントを修正するだけでなく、時間をかけてより効果的なコミュニケーションを取れるようサポートするとしています。
「Help me refine」は、今四半期後半にアルファ版として提供開始予定です。日本語名は何になるかはまだわかりません(文章改善サポート、とかでしょうか)。
おそらく、これまでの AI 機能と同様にどちらも最初は英語などから展開され、日本語への展開はしばらく待つ必要がありそうです。
Google スプレッドシートのデータ分析支援
スプレッドシートには「Help me analyze」が追加され、AI による傾向分析、グラフ作成、洞察の提案などが可能になります。これにより、専門知識のないユーザーでもデータから有益なインサイトを得られるようになります。スプレッドシートでデータを管理・分析していたマーケターや運用担当者には嬉しい機能ですね。こちらの機能は年内に提供予定です。

Google Vids による動画生成の拡張
AI でプレゼン動画などを作成できる Google Vids には、新たに高度な映像生成機能が追加されます。AI モデル「Veo 2」により、リアルなモーションと多様なスタイルを持つ動画クリップを生成可能になりました。この機能は、今後数週間以内にアルファ版ユーザーに展開されます。
Google Meet の AI 機能強化
Google Meet にも Gemini を活用した強化が加わります。会議中に「今何を話していた?」と尋ねることで要点を即座に取得できるほか、話す前に AI と内容を整理したり、会議の重要事項をまとめて取得したりすることが可能です。
すでに議事録を作成できる「メモを作成」などは導入されていますが、Gemini が組み込まれることで、会議中でも確認や整理ができるようになるのは便利です。これらの機能は今四半期中に一般提供されます。
Google チャットで Gemini が参加
チャットの会話に「@gemini」と入力するだけで、詳細な概要が表示され、未解決の質問、重要な決定事項、次のステップがハイライト表示されます。
会話の展開が早い場合や、複数のプロジェクトを進行している場合には便利な機能です。この機能は、今後数週間以内にLabsで利用可能になります。

ビジネスデータの保護とプライバシーを確保
これら Workspace と Gemini の機能は、人間によるレビューは行われず、使用者の許可なくドメイン外で Gemini モデルのトレーニングに使用されたり、外部の第三者に販売または利用されることもありません。
本日より、データ保存場所のオプションによる制御が強化され、GDPR や ITAR などの規制に準拠するために、Gemini がデータを処理する場所 (米国または EU 内に保持するなど) を制限できるようになるとしています。
以上が、今回の Google Cloud Next 2025 で発表された Google Workspace 関連の主な内容です。これらの新機能はすべて、Google Workspace のユーザーが日々の業務において、より効果的に成果を出すことを目指したもので、今後の一般提供にも期待したいですね。
出典 : Google