ChromeOS LTS (長期サポート)に ChromeOS 132 のメジャーアップデートが展開

当サイトは Google Adsense、Amazon アソシエイト等 アフィリエイト広告を利用して収益を得ています.
実機の Google の Chromebook のカラフルなロゴの写真

Google は、ChromeOS LTS (Long Term Support / 長期サポート) チャンネルの Chromebook などに向けて、ChromeOS LTS 132 のメジャーアップデートを展開しました。この展開はスケジュールどおりとなります。

このアップデートにより、ChromeOS LTS 126 に固定されていない限り、サポートされ ChromeOS LTS デバイスは 126.x から 132.0.6834.214 へと更新されます。

今回の ChromeOS LTS 132 では、安定版のChrome および ChromeOS バージョン 127 から 132 までの、過去半年間における機能追加や変更点がまとめて適用されます。

その内容は多岐にわたるため、すべてを把握するのは大変ですが、特に企業や教育機関など、LTSチャンネルを利用している環境で影響が大きいと考えられる、いくつかの重要な変更点をピックアップします。

目次

LTS 132の主な変更点まとめ

セキュリティ・プライバシーの強化

  • データ損失防止(DLP)機能が進化: 機密情報の保護に役立つDLP機能が強化されました。管理者は、クリップボード経由での意図しない情報持ち出しを制限したり(v131)、ダウンロードするファイルを自動的に暗号化したり(v132)、コピー&ペーストできる情報のソースを細かく制御したり(v132)といった設定が可能になり、情報漏洩リスクへの対策をより強化できます。 (主にChrome Enterprise Premium向け機能)
  • 古いEntrust証明書の信頼停止: セキュリティ強化の一環として、特定の古いEntrustルート証明書が段階的に信頼されなくなります(v127, v131)。もし組織内のシステムやアクセス先のWebサイトで該当証明書が利用されている場合、接続エラーが発生する可能性がありますので、インフラ担当者は念のため確認が必要です。
  • プライバシー保護と規制対応: EUのGDPRなどに対応する「データ処理者モード」が展開された(v128)ほか、OSレベルでの位置情報利用に関するプライバシー管理も強化されており(v128)、コンプライアンス遵守とユーザープライバシー保護の両立を支援します。

管理機能とアプリ互換性の変更

  • 迫るManifest V3への移行期限: Chrome拡張機能の基盤であるManifest V2のサポート終了(2025年6月予定)が近づいています(v127)。LTS環境で業務に不可欠な拡張機能を利用している場合、それらがManifest V3に対応済みか確認し、未対応の場合は開発元への確認や代替策の検討を早めに開始することが推奨されます。
  • NaCl (Native Client) のデフォルト無効化と段階的終了: 長らく非推奨だったNaCl技術について、このLTS 132からデフォルトでは無効になります。ただし、管理者はポリシー設定によって M138 (次期LTS) まではNaClの利用を延長することが可能です(さらにLTS 138を利用すれば、そのサポート期間である2026年4月まで延長可能)。とはいえ、これはあくまで猶予期間であり、NaClを利用しているアプリやシステムがある場合は、WebAssemblyなどへの移行計画を本格的に進める必要があります。
  • 管理コンソールの機能が大幅向上: 管理者にとって嬉しい改善も多数あります。Googleグループを使ったポリシー設定の効率化(v127)、インストールされている拡張機能のリスク評価(v129, v130)、Chrome環境全体のセキュリティ状況を把握できる「セキュリティ インサイト」(v130)、古い技術からの移行を支援する「レガシー テクノロジー レポート」(v132)など、より効率的で安全なデバイス・ユーザー管理を支援するツールが強化されています。

ログイン・認証機能の改善

  • パスワードレス認証と生体認証の活用: セキュリティキーなどを用いたパスワードレス認証への対応が強化された(v132)ほか、パスワードマネージャーにアクセスする際に指紋認証などの生体認証を利用できるようになり(v132)、フィッシング詐欺への耐性を高めつつ、ログインの手間を削減できます。

ここでご紹介したのは LTS 132 に含まれる変更点のごく一部ですが、いずれも LTS 環境の運用やセキュリティに影響を与える可能性のある項目です。すべての変更点の詳細については、以下の公式リリースノートをご確認ください。

なお、ChromeOS LTS は昨年 10 月に ChromeOS LTS 126 のアップデートが展開されています。次回の ChromeOS LTS 向けのアップデートは、2025 年 10 月 14 日に ChromeOS LTS 138 への更新が予定されています。

一方、長期サポート候補(LTC)チャンネルは、2025 年 2 月初めに ChromeOS LTC 132 へとアップデートされています。記事執筆時点では、安定版チャンネルには、2025 年 3 月 19 日に ChromeOS 134 が展開されています。

ChromeOS 127 から ChromOS 132 までの変更点やアップデートについては、以下の記事でもまとめています。

出典 : ChromeOS 長期サポート (LTS: Long-term support) リリースノート

この記事をシェア

著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

目次