MediaTek は Chromebook 向けに新しいチップセット MT8196 を開発しており、すでに Google Rauru としてベンチマークも登場しています。これまでの開発状況から、おそらく2025年にリリースされる Chromebook に搭載されることが期待できますが、現時点ではチップセットの詳細など仕様についても明らかになっていません。しかし、新たな報告により、MediaTek MT8196 はスマートフォンのフラッグシップ向けチップセット Dimensity 9400 と同じコア構成を採用することが確認されました。
これは Chrome Unboxed が Chromium Gerrit の開発コードから発見したもので、MT8186 には1つの Cortex-X925 コア、3つの Cortex-X4 コア、4つの Cortex-A720 コアが採用されていることが確認できます。以下がそのスクリーンショットです。
このコア構成は MediaTek がプレミアムスマートフォン向けに昨年10月にリリースした Dimensity 9400 と同じです。
一方、これまで発見されている MT8196 の Geekbench のベンチマークと上のコードから、Cortex-X925 コアの周波数は 3.6GHz、Cortex-X4 コアは 2.8GHz、Cortex-A720 が 2.1GHz であることも確認できます。しかし、スマートフォン向けの Dimensity 9400 に比べ、各コアの周波数が下げられていることから、同じコア構成を採用しているものの全く同じではないこともわかります。
コア | MT8196 | Dimensity 9400 |
---|---|---|
Cortex-X925 | 3.60 GHz | 3.63GHz |
Cortex-X4 | 2.80 GHz | 3.30GHz |
Cortex-A720 | 2.10 GHz | 2.40GHz |
これによりベンチマークスコアもスマートフォン向けと差があり、とくにマルチコアスコアで大きな差が出ています。以下は参考に、MT8196 を搭載した Google Rauru と Dimensity 9400 を搭載した OPPO Find X8 のベンチマークです。
とは言うものの、MT8196 はこれまでの Chromebook 向け MediaTek チップセットのなかでは間違いなく最上位のパフォーマンスが期待できます。
GPU の仕様についてははっきりとわかりませんが、Dimensity 9400 と同等であれば Arm Immortalis-G925 MC12 GPU となるため、グラフィックスパフォーマンスの大幅な向上も期待できます。当然、NPU も搭載されるはずなのでオンデバイス AI にも良い影響を与えるはずです。仕様的には Chromebook Plus デバイスとしてリリースされる可能性も高くなります。
現時点ではまだ MT8196 を搭載する Chromebook がいつリリースされるかはわかりませんが、多数のベンチマークが登場していることなどから、間違いなく2025年中にはリリースされるはずです。早ければ今年春に開催が期待される Google の Chromebook のリリースイベントなどで発表されると思われます。