道のりが長いことは Google も発表していたとおりですが、残念ながら Google は ChromeOS 上から Chrome ブラウザを切り離してスタンドアロンで動作させる Lacros プロジェクトを中止したことが発表されました。
このプロジェクトは4年以上前から行われており、昨年 Chrome OS 向けの Lacros について Google は正式に発表し、実験的なプレビューを公開していました。プロジェクトの目的は Chromebook 上の Chrome ブラウザが OS アップデートに依存しないよう OS とブラウザを切り離すことで最新の機能をセキュリティアップデートを素早く取得できるようにするものでした。
最近では ChromeOS で Android スタックの一部を採用したことで Lacros もさらに進むかと思われましたが、残念ながらこのプロジェクトとサポートを終了することが決定しました。これにより、ChromeOS 用のスタンドアロン Chrome ブラウザ Lacros のサポートは ChromeOS 128 で終了することが明らかになりました。
非常に残念な情報ではありますが、Lacros が開始された当時から ChromeOS には大きな変化が起こっており、例えばメジャーアップデートの周期が4週間毎に変更され、毎週定期アップデートが提供されるようになったこと、Chromebook および ChromeOS のサポート期限(更新ポリシーの期限)を最長10年に延長したことが挙げられ、以前よりも新機能やバグ修正・セキュリティアップデートを受信しやすくなりました。
また、ChromeOS に Android Linux カーネルなどの Android スタックの一部が採用されたことにより、ChromeOS と Android の両方でアップデートや機能の提供が簡単に展開できるようになったことなども影響していると思われます。
Google は今回のプロジェクト終了について明確な理由を説明していませんが、これらの変化を考えると Google は Lacros を必要とする理由があまりなくなってしまったのかもしれません。これは非常に残念ですが、今までも実験的な機能として提供されていただけなのでこうなってしまう可能性は当然ありました。
なお、今回の変更における Chromebook ユーザーの影響はなく、これまでどおり Chrome と ChromeOS の両方で毎月のリリースとセキュリティ修正を展開し続けることに取り組まれます。
正直な話、私自身の Lacros におけるメリットは Chromebook の延命ではなく、複数の Google アカウントを Windows/Mac のように簡単切り替えられるようになる点にありました。現在では一度 Chromebook のログインからやり直し、アカウントを切り替えるときもクイック設定の電源ボタンをクリックしてから別のユーザーを選択するというアクションが必要です。しかもウィンドウを並列することはできないので、別アカウントを併用したいときには不便でした。
Lacros がなくなることは残念ですが、とは言えほとんどのユーザーが使えたわけではないので、大きな影響は確かにありません。
Source Google